血洗島のオープンセットで、とてもいい天気のなか撮影することができて本当によかったです。久しぶりに若いときの栄一のテンションに戻って、わぁーーーー!って叫んで、走って、とても楽しかったですね。あのラストシーンについては、格好つけてなくてとてもいいなと思いました。このドラマの栄一のキーワードには、死ぬまで若々しいというフレッシュさとか時代を駆け抜ける勢いが一貫してあったと思うのですが、ラストシーンも、泥臭く必死にカメラを追いかける撮り方で、エネルギーが全開になる最後になるんだと思って。どういうふうに編集されるのか、撮影しているときから出来上がりがすごく楽しみでした。
とても『青天を衝け』らしい最終回になったんじゃないかなと思います。
やっぱりあの姿になると自分が太ったことが丸わかりですね(笑)。晩年の栄一を演じるために体重を増やしていたので、その僕が若い頃の栄一のふん装をしたら、見た目が全然変わったなと。自分ではそんなふうに思いましたけど、どうですかね?(笑)
久しぶりにかなり長い距離を走って疲れましたけど、最初のロケを思い出しました。真夏のロケで、猛暑のなかを何度も何度も走って。もっともっと過酷だったもんなぁとか思い出したりして。当時の僕、よくあんなに走れたなって(笑)。
あのシーンの「生きていてよかった」という慶喜のセリフはこの物語のテーマだと思うんです。慶喜は、周囲からあれだけ恨まれたり責められたりしても、自分の奥にあるものを一切語らず、才能があるのに一歩引いた目線で自分のことを卑下しているような所もあって。そんな慶喜から初めて「生きていてよかった」という言葉を聞いて、長年仕えた栄一としては、心から「よかった!」と思った瞬間ですよね。
そのほかにも、「共にいてくれて感謝しておる」「楽しかったなぁ」など、感動的なセリフがバンバンきますから。慶喜との最後のシーンは涙なしでは迎えられないと思っていました。
あのシーンの草彅剛さんのお芝居は、もう少し熱いテンションで演じるのかなと想像していたのですが、全く力を入れず、晴れやかで楽しそうに「生きていてよかった」って。それが本当にすばらしくて、グッときてしまいました。「快なり!」の言い方も草彅さん独特の間合いがあって。僕も一緒に立って「快なり!」って言いそうになりました。
僕のなかには、常に草彅さんに対する緊張感がありました。その緊張感がほどよく芝居に乗っていたと思います。その緊張感は、栄一と慶喜の関係性に引っ張られているのかもしれませんが、最初から最後まで変わっていない気がします。
草彅さんのお芝居って、本当に何が出てくるか想像がつかないんです。芝居中の役者さんの意図というかプランみたいなものが、全く分からない。草彅さんという存在がゼロになって、その場に慶喜そのものがいるという感覚になります。それが緊張感となり、『青天を衝け』の栄一と慶喜を作り上げていたのだと思います。常に、その瞬間、その瞬間に出てくるものを拾ってキャッチボールするような、草彅さんとのお芝居でしか生まれない演技だったと思います。あの空気感は草彅さん独特のものなので、まねしたくてもできるものではないですが、すごく刺激になりました。
すてきなシーンですよね。獅子舞の踊りは一番最初の登場回のシーン(第2回)以来。見よう見まねで現場でやってみましたけど、うっすら覚えている所と完全に忘れている所がありました。栄一も喜作もだいぶ年を取っているから、若い頃のように軽やかに飛んだりもできないはずなので、そこも意識して踊りました。夕暮れのオープンセットに笛の音も響いて、いいシーンになったと思います。
栄一と喜作の関係性は、ずっと憎まれ口をたたきながら、どっちが兄でどっちが弟なのか分からない凸凹した感じ。それが最後まで変わらないのがいいですよね。最後にちょっと喜作が兄貴感を出してきて、それに対して栄一が「なんだこいつ!」みたいな(笑)。いつもの2人のあの空気感で終われたのがすごくよかったです。
この最後のシーンも好きだけど、その前の喜作と敬三が話をするシーンのセリフもすごく好きなんですよね。その場にいない栄一のことを、「引け目ばかり感じさせる腹立たしい男だ」と、喜作が憎まれ口っぽいことを言う。それが喜作らしくて、そこに「すごく愛があるな」と感じるんです。大森美香さんの脚本の、そういう描写がすばらしいなと思っていました。全編を通して、お互いあまり素直じゃないあの感じが、すごく好きです。喜作が出てくると、ホッとするんですよね。
「楽しかったなぁ」というのが一番に思うことですかね。もちろん、きついこともたくさんありましたけど。スタッフの皆さんもキャストの方々もプロフェッショナルな人たちばかりで、僕は、ただただ栄一と向き合うだけで現場にいられた。本当は座長ってもっといろんなことを気にしながらやらなきゃいけないものだと思いますが、栄一として全力で現場にいるということに注力させてもらえた。それは俳優として、とても幸せな時間だったと思います。苦しい瞬間は何度もありましたけど、皆さんに支えてもらえたからやり切れた1年半でした。
『青天を衝け』は、忘れることができない作品になりそうだと、感じています。
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