法人向けレンタルPCを扱う ひとり情シスの課題 まとめと改善策 2022.01.07

弊社、法人向けレンタルPCサービスのお問合せでは、情報システム部門の方からご連絡を多くいただきます。
今回はそんなひとり情シスと呼ばれる情報システム部門の実態や課題をご紹介させていただきます。
一人、もしくは少人数の情報システム部門で働いていて、人材不足のために社内からの問い合わせやトラブル、日常業務に対応しきれず困っていませんか。
・ひっきりなしに連絡、対応依頼があり、業務が多すぎて対処しきれない
・代わりがいないので、休みが取れない
・総務・人事等の部門にいながらひとり情シスとして動いている
・業務に支障が出るからと早朝深夜等の営業時間外での対応を迫られる 等々
同様でお困りの方がいらっしゃれば、整理の意味でもご覧いただけたら幸いです。
1.ひとり情シスとは
ひとり情シスとは、企業や組織に情報システム部門または情報システム担当者がひとり、しかいない状態のことです。
日常業務でパソコンを扱うのは一般的で、企業の中で、端末やインフラ等のシステムの整備や支えているのが「情報システム部門」になります。(パソコンの普及率を調べてみたところ、以下のように高い数字でした)
出典:出典:内閣府消費動向調査 パソコン保有数(総世帯、1世帯あたり、世帯主年齢階層別、率)
しかし、ITに詳しい人材というのは希少のため、中小企業や零細企業では常に人材が不足しています。
また、よくある事例として、人事部門や総務部門に従事しており、新規採用時に入社手続きの対応をおこなうと同時に入退時のカードキーと共にパソコン周辺の貸与も任されることになり、パソコン周辺の対応を任されることから始まり、修理やアカウント管理等も対応をおこなうようになり、気付けば一人で「情報システム部門」となっていることになる場合もあるようです。
弊社でも法人様からレンタルPCにセキュリティソフトは入っているか、Microsoft365はインストールされているか、Webカメラ・内蔵カメラはあるか等、パソコン周辺のお問い合わせをよくいただきます。
2.情報システム部門の業務範囲
そもそも情報システム部門とは、どんなことをやるのか、企業規模や業界、業種によっても異なりますが、今回は以下の5つに分類して、解説させていただきます。
・パソコン・スマホ・タブレット等の手配・管理
・Webツールアカウント・SaaS管理
・ヘルプデスク(社員からの問い合わせ)
・サーバ・サイト・ネットワーク保守運用
・CRM(顧客管理システム)をはじめとした、紙からデジタルへの移行作業全般
それでは、一つずつ、解説します。
パソコン・スマホ・タブレット等の手配・管理
社内で使用するパソコン(レンタルPC含む)・スマホ・タブレット等の手配、発注、パソコンのキッティング、IT機器の資産管理を担う。
Webツールアカウント・SaaS管理
Webツール・SaaS(サース)の代表例として、Zoom(ズーム)等のビデオ会議・Web会議、Chatwork(チャットワーク)等のビジネスチャット、Googleカレンダー等のスケジュール管理と、他にも多種多様なソフトウェアが存在するが、情報システム部門では、これら企業で導入しているツールのアカウント管理や、SaaS管理として機能の過不足、対応・デバイス対応確認、バージョンアップによる動作確認等を担う。
ヘルプデスク(社員からの問い合わせ)
自社の社員からパソコンの不良対応、使用方法について等、社内で発生したIT機器や製品トラブルの対応を担う。
サーバ・サイト・ネットワーク保守運用
自社サーバやサイト、自社のネットワークの保守と運用を担う。
CRM(顧客管理システム)をはじめとした、紙からデジタルへの移行作業全般
社内のシステム改善提案、ITツールの導入等、ITを使って紙からデジテルへの移行作業全般を担う。
以上が、主に情報システム部門として担う業務範囲5選になります。
これらをみてわかるように業務範囲は多岐にわたります。また、企業規模や業界、業種によってはさらに業務範囲が広くなる場合もあります。
3.ひとり情シスの課題5選
では、ひとり情シスとはどのような背景があり、何が問題で課題なのかを確認してみましょう。
・調べるところからはじまる。
・人手不足により、作業負担が増加しやすい。
・知識が属人化してしまう。ノウハウが残らない。
・休みが取りづらい。時間外業務が発生しやすい。
・IT部門ではない、人事・総務との兼任
以上、5つを課題としてあげました。それでは一つずつみていきます。
調べるところからはじまる。
ひとり情シスの担当者は該当業務の専門家ではなく、兼務でおこなうことが多いです。そのため、依頼事項を解決するための方法を自身でおこなえる範囲か、外注先に依頼する事なのかを調べるところから始まります。
該当業務が言語化しやすいものであれば、ネット検索で容易にみつかりますが、そうではない場合、単語探しから始まることもしばしばあります。
それでもわからない場合、該当業務に詳しそうな会社に電話で質問をする等、対処方法を知っていれば、すぐに解決できるような依頼事項でも1~2日以上かかってしまうということがあるのです。
人手不足により、作業負担が増加しやすい。
社内外からの問い合わせや日々の保守運用による監視業務に加え、昨今のDX化推進や、テレワークへの対応、また、トラブルが発生した時の復旧作業も行わなければならず、これらを一人で対応しなければならないため、必然と作業負担が増加しやすいという課題があります。
知識が属人化してしまう。ノウハウが残らない。
全ての業務を一人で行っているため、情報システム担当者がいなくなった場合、業務が回らなくなってしまいます。
また、上記でもお話しした通り、負担が増加しやすい傾向にあるため、手順書や説明書等の資料の作成できず、結果、ノウハウが残らないという課題があります。
休みが取りづらい。時間外業務が発生しやすい。
こちらも全ての業務を一人で行っているために、情シス担当者が休むと業務が滞り、会社全体に影響が出てしまうため、なかなか休むことができません。
また、トラブルの発生、システムのバージョンアップ等、業務に支障が出る大きな作業の場合は、業務時間外での作業が必要になり、その点においても担当者への負担が増加するといった課題があります。
IT部門ではない、人事・総務との兼任
情シス担当者の休みや作業負担増加により、担当者が一人で作業が回らず業務に影響が出る、またそもそも情報システム部門を設立できない場合等に、別部門でITに詳しい方が業務兼任という形で、PCの管理・トラブル対応を行わざるを得ないという課題があります。
ひとり情シスとは、どの企業でも起こりうる可能性があり、これだけのリスクと課題を抱えているということがわかるかと思います。
4.ひとり情シス脱却の道のり、対策3選
ひとり情シスの課題を踏まえ、どのようにしてこの状況を脱却するかを考えていきたいと思います。
・新規雇用による人材追加
・業務の整理効率化、マニュアル化、社員のITリテラシー向上
・情シス業務のアウトソーシング化
今回は、上記3つをひとり情シスからの脱却、対策として選びました。
新規雇用による人材追加
こちらは、人手不足による作業増加のための対策です。
メリットとして、外部費用が抑えられ、単純に人材が増えることにより、対応可能な作業量も増えます。
デメリットとして、スキルに見合った人材を探すことが困難であること、相応のスキルを持った人材を雇用するとなると費用がそれなりにかかることがあげられます。また、未経験の方等を雇用しても育成する余裕がないため、結果、即戦力の人材を探す必要があります。
さらに、情報システム担当者を追加したとしても退職等で人数が減ると、残っている他の担当者の作業量が増えてしまい、結局、以前の状況に戻ってしまうというリスクは拭えません。
業務の整理効率化、マニュアル化、社員のITリテラシー向上
こちらは、そもそもの問い合わせやトラブルを減らすという対策になります。
日々業務を行なっていると、何か起きたら情報システム部門に連絡、ヒアリングしても要領を得ず、ただ動かないとしか、教えてもらえず一から調査しないといけないことがよくあります。
そのような状況を減らせるよう、まずは、情報システム部門として何をやるか、どんなことやるのかを明確にして、基本的にそれ以外は受け付けないよう整理することが大切です。
情報システム部門だからといって、ITのことを何でも受けていると本当にやるべきことができません。また、FAQであったり、マニュアルを用意することで、何か問題があったとき、まずそちらを確認していただいて自力で解決していただけるような状況を作ることも必要です。
さらに社員皆様が社内セミナーや社外セミナーに参加していただき、ITリテラシーを向上していただくことで問い合わせやトラブルが減り、結果、情報システム部門の作業量、負担軽減につながります。しかしすぐに効果が出るものではないため、長期での視点が必要になります。
情シス業務のアウトソーシング化
こちらは、業務のアウトソーシングになります。
メリットとしては、業務量の軽減、一人で困っていた点、不得意な知識も聞ける環境ができること、会社によってはマニュアル作成をになってくれるところもあります。
デメリットとしては、外部費用が発生するという点です。こちらの対策が3つの中で一番対策として即効性があり、新たな人材を確保するよりも安価に、かつ低リスクでの運用が可能になります。
5.法人向けレンタルPCを扱うひとり情シスのまとめ
今回は、情報システム部門の業務、ひとり情シスの課題・背景、対策について、ご紹介させていただきました。
デジタルシフト・デジタルトランスフォーメーション(DX)といった言葉が世の中に出て業務効率を求め、早急に取り入れた方が良いと考えを国が旗振りをして進めています。その結果として、弊社、法人向けレンタルPCサービスでも日々多様なお問い合わせをいただいております。
本来であれば、情報システム部門とは、会社の縁の下の力持ちとして、とてもやりがいのある仕事なのですが、現状、このようなことになっていることも事実です。
企業の予算や体制などから、上記のような対策がすぐに取れないこともあるかもしれません。しかし、「情報システム部門としての仕事だからなんとかしろ。」というような押し付けや、やりがい搾取のようなことが起こらないよう、企業や組織全体の問題、共有すべき課題として考え、取り組んでいただきたいと願っております。
情シスでひとりになってしまった背景や問題点を改めて理解した上で、今後の対策をぜひ考えてみてください。