芝刈り機はオメーがフェスタと芝刈り機レースだとか言って遊んでたからだろ！
　ほんと、珍しく人使って呼んできたと思ったらコイツは……。
　そんで何やってんの？　ダートで砂遊びとかオグリパイセンネタにしてもあんまりおもしろくないっスね。
　は？　ゴリラ？　ゴリラが攻めてきた？　あー、もう要領を得ない話をまた……。
　とにかく修行僧ごっこに飽きたらウマッターのDMなりで連絡してくれっス。
　じゃあウチ、フランス帰りで疲れてるから……。

「おねえちゃーん！　ワンワンがオルのお尻噛んできたー！」
　ゴルシ、てめぇっ！！　そんで、用ってなんだよ。
　あと呼んでくれたのはニシノフラワー先輩、覚えとこうな。
　……だからゴリラの話はどうでもいいって！
　ゴリラがすごいゴリラとかはどうでもいいって言ってんだろ！
　こっちは凱旋門で調子狂ってんだからさぁ……。
「悪かったって、あと凱旋門。残念だったな」
　……アヴェンさん、これっきりで進学に専念するんだってさ。

「そうか……また一人、抜けちまったか。悲しいな。　同期のゴリラ、マジでヤベぇからチェックしとけよ！」
　ゴリラの話はもういいって！
「真面目に聞け！　アタシを埋めたのそいつなんだ！」
　……学園を守る正義のゴリラっスね。
「お前っ！　ゴルシちゃんのサービス精神も在庫限りだぞ！」
　開店と同時に売り切れってやつな、それじゃ。
「ゴルシちゃんネットワークは迅速な流通が売りでサービス精神も無尽蔵でございますぅぅぅ！」
　まったく……ウチのサービス精神も天文学レベルっスよ……。そんで？　掘り起こしはしなくていいの、ゴルシ？
「ああ、そっちはジャスタにやってもらうからオルオルは気にしなくていい。アタシがオルフェに伝えたかったのはな」
　伝えたいのは？
「――ゴリラがヤバい」　――しっつけぇ！

「あとゴリラが勝つとトレセンが終わる人類が負けるあのトリプルティアラゴリラ女が調子に乗ってゴルシちゃんのQOLが異常重力場でインターテスラになる！」
　ウチはお助けロボじゃないっス、じゃあ。
「嘘だー、フェスタから褒められてたくせにー。それから凱旋門特別賞でゴルシちゃん特製クロックムッシュとマダムのバカップルをプレハブに置いてるからっ！」
　そっか、あんがと。そんじゃー練習の邪魔になる前に早くダートコースから出て行けよー。
「あと一か月もないからなー！　油断すんなよーオルフェー！」

「思った通り、やっぱりアドバイスをしたか……」
　開け放たれている校舎の窓、そこからゴールドシップとオルフェーヴルを見ているウマ娘がいた。
　同年代と比べてもあらゆる意味で出来上がっている身体。それを優雅さに包んでいる少女、ジェンティルドンナが空き教室の窓辺にたってオペラグラスを覗き込んでいる。
　拡大された像では首だけの葦毛から栗毛が離れ、それを見張っていたかのように鹿毛の……シャベルを担いだジャスタウェイが首だけゴルシに寄って行く。

（凱旋門でオルフェーヴルは調子を崩している……。卑怯に思えるけれど今しか勝つチャンスはないのよね、センスだけで走って勝てる連中には機会や細かい努力で勝つしかないんだから）
　視察を切り上げ、覗き込んでいたものを畳んでポケットに入れる。
　そして窓から離れると――。
「敵情視察？　らしくないね」

　後ろにヴィクトリアマイルの女王、ヴィルシーナが立っていた。
　ドンナの同級にして好敵手であるが、春秋で華を散らせてやった今は敵とも思えない。
「相手は栗毛の怪物ですからね、背中ばっかり見ていたあなたと違って私は前を見るのよ」
　安い挑発を一笑に付して、女王ヴィルシーナも窓際に立つとドンナのポケットをまさぐってオペラグラスをそこからとる。
「余裕ぶる割には必死ねー」
「必死よ、センスの塊だけで勝てる化け物を倒すためですもの。それお気に入りのやつだから窓から落とさないでよ？」
　トリプルティアラの化け物が何か言ってるわ、と嘯いてオペラグラスを取ったヴィルシーナが窓にかぶりつく
　教室から出たいがしばらく彼女に付き合うしかないだろう。

「それでどう？　オルフェーヴルには勝てそう？」
「勝つわ、今しか勝てないんだから絶対に勝つ。背中を見るのはあの女よ」
「ふーん……」
　ヴィルシーナは何をしに来たのやら、話を膨らませるわけでもなく興味がなさそうにドンナへ相槌を打つだけだった。
「オルフェーヴルはもういないけど、いつまで見てらっしゃるの？」
「終わるまで」
「なにが？」

「キレたジャスタがゴルシたたくのやめるまで」
「えー！　うそ！　見たい見たい見たい見たい！　変わって変わって！」
「ダメダメー、あいつには部屋をウシガエルだらけにされた恨みあるし」
「トリプルティアラ祝いとかでパイぶつけられまくったから私も見る権利ありますぅー」
「あ、ゴルシがドロップキックした」
「もー意地悪しないで見せてー！」

　ギャー、シャベルが肩に刺さった！　とかヒー、顔面蹴ってきた！　とか。
　そんな嬌声の聞こえ始める練習場を背にして、オルフェーヴルはプレハブへと向かう。

　フランスには慣れなかった、この身に今も惜敗の香りが染みついている。
　サポートできなくてごめんね、オルフェちゃん。私、早くないからさ……。
　入学以来世話になりっぱなしだった、寮で同室のアヴェンティーノ先輩。
　良かれと思って声をかけたのだ、凱旋門へ自分が出場するというのならばと、
　彼女の思い出作りになればと。
　しかしオルフェーヴルの惜敗で彼女は自分を責めはじめ、楽しかったはずの思い出は悲しいものとなり……そして。

「私、もう走るのやめる。か……」
　平凡、というには出走数の多いウマ娘。
　彼女が競争生活から降りても別に不思議なことではない。当たり前が当然に起きて、平凡な終わりを少しスパイシーでビターに迎えただけとも言える。
　……そんな風に冷めた視点で賢しらぶり、オルフェーヴルは飲み込めるのだろうか？

（無理っスね……）
　とても悔しかった。クビ差で負けたことが。
　これくらいの水準だったら勝てるんじゃないかな？　と出場者を見切ったつもりだったが、相手も同じように見ていたのだ。
　その結果で数年間、迷惑ばかりかけていた同室の先輩に勝利の背中を見せられず、自責の念まで抱かせてしまった。

（ゴルシにフォローされるくらいには凹んでるんだなー、ウチ）
　己の至らなさに苦笑する。とんだ天才様だ。
　同じ苦境に立ち向かった先輩の心配をしているようで、情けなさに潰れて彼女へ声をかけやしない。

（あー、もうほんと！　先輩になにかお礼をしないと）
　考えながら歩いているうちにチームプレハブへ着いた。中からは歓談が聞こえてくる。
　今の時間、屯して被るようなメンツがいただろか？
　不思議に思いながらドアを開く。

「とれびやーん、このサンドイッチおいしー！」
　小学生くらいのウマ娘が手と口の周りをべたべたにしてパンを……おそらくゴルシが置いたであろうクロックマダムを食べていた。
「あ、おかえりプイ」
　傍らにはプイ先輩がおり、女児の口元を拭いてやったりとしている。
　プイ先輩と女児はどことなく面影が通っていた。
「親戚の子っスか？」
　ドアわきの洗面台で手を洗いつつオルフェーヴルは先輩に女児の誰何をする。

「そう、ウマ娘でトレセンにやりたいって家だから、本人に見学させてしっかり考えてもらおうと思ったプイ」
「はじめましてー、ディープボ……」
　挨拶をしようと女児が炬燵から立ち上がる。
　タイツを履いているとはいえ、冬なのにハーフパンツの元気な子だ。
「あー、ごめんプイ。ゴルシちゃんからの差し入れを一つもらったプイ。この子がお腹空かしていたし食堂へ行くのも憚られたから……」
　女児の名乗りはプイ先輩の事後報告で遮られた。

「えっと、ごめんなさい！　お腹がすいちゃって、これあじがこくてすごくおいしいですっ！」
　天板の上の皿にはまだ一つ、パンが乗っている。
　女児は少し気まずそうにしてオルフェーヴルへ陳謝をする。

（少し前の自分ならあっそ！　って無視しただろうな）
　返事をせずズカズカと炬燵へとよると、オルフェーヴルは手が汚れるのも構わずにクロックムッシュをつかみ、その場でマスクをずらして一口食べた。

「本当だね、すごく味が濃くておいしい！　これお姉ちゃんの親せきが作ってくれたんだよ！」
　わざとらしいくらいに明るく振舞って女児へ気にするなと示す。
　気まずそうだった表情を明るくする女児、目を丸くするプイ先輩の二人。
　なんともおかしいサンドイッチがオルフェの目の前に広がっていた。

　先輩にお礼を言おう、正装をして、マスクを外して、ありがとうございましたと礼を学校中に響かせよう。
　塩気の強く重い味を口内に広げながらオルフェーヴルは鼻を突きさす悲しみを決意とともに飲み下した。

　時を同じくして美浦寮。ヒシアマゾンが小学生女児を案内している。
　小学生というには雰囲気が落ち着いており、整えずにザンバラとさせている髪がよく似合っている。
　彼女の頭からは菱形の耳が伸び、尻からは尾が垂れていた、ウマ娘だ。
　壁にかかっている装飾布や額装された写真を指差して、女児はヒシアマゾンに何やら尋ねる。
　少し恥ずかしそうにしてからヒシアマゾンは女児へと屈みこんだ。

「これかい？　これは重賞を取れたウマ娘たちの数を表してんだ」
　
「最近は栗東に取られちまって、入寮希望者も少ないから寂しいもんだけどお姉さんたちもまだまだ頑張るよ！」
「強い奴速い奴は栗東が多いの？」
　女児の屈託のない質問にヒシアマゾンは苦笑をする。
「そうだねー、向こうも強いからねぇ」
「なるほど……」

　フフッと独りで笑いながら女児が口から傲岸を築く。
「決めた。トレセンに進学して寮は美浦だ……トロくせえ連中しかいない小学校とおさらばするのが楽しみだわ」
　ブフッ！　と広がっていく彼岸へ向けヒシアマゾンが吹き出す。
「あんた豪儀だねぇ！　気に入ったよ、強い奴速い奴と戦いたがるのがウマ娘の本領ってもんさ！　名前聞いといてやるよ！　あんたが来る頃にはアタシはここを出て行ってるだろうし、すげえのが美浦に来るって伝えとくから」
「地元の遅いウマ娘やヒトミミたちにはF4と呼ばせてる……名前はエフ――」

　冬が来れば春を待つ。春を迎えず冬を去るものもいれば、その春のさらに先で芽吹く……早咲きが約束されたものもある。
　質朴さや豪儀と、種々に色を違えても春を待たぬ花はない。
　駆ける背中の後を追う者は必ず現れるのだ。
おわり

アヴェンティーノが出てる幻覚は初めて見た

幻覚ごった煮な怪文書だ…

ロリプボくん可愛い…

幻覚いっぱいでうれしい

>ゴルシが白いのじゃない幻覚は初めて見た

努力キャラな貴婦人好き

そうかエフフは美浦だったな…パワーバランス的にかなり革新なのか…

この世代の話見たいからどうにか許可とれないかな

エフフとヒシアマは確かに繋がりあったな…

調子乗ってるエフフちゃんがダービーを経て鬼になるところみてぇ～

>そうかエフフは美浦だったな…パワーバランス的にかなり革新なのか…
古い馬の方が多いウマ娘すら栗東に偏るくらいだからな…

>調子乗ってるエフフちゃんがダービーを経て鬼になるところみてぇ～
イオみたいな死にそうな顔してたのがダービー直後だけどその後がね....

最終回感がすごい

プボさんか？

俺が美浦寮を背負ってやると宣言するエフフちゃん…

もう栗東の奴らに負けないから…

あんなにかわいいロリエフフちゃんがまさかエフ次郎になるとはこの時誰も……

>>調子乗ってるエフフちゃんがダービーを経て鬼になるところみてぇ～
>イオみたいな死にそうな顔してたのがダービー直後だけどその後がね....
ウマ娘的に表現したら夏の合宿でゴリゴリに鍛えてきたんだろうなあって

ロリプボちゃんはショタコンちゃんと仲良くしてそうでいいよね

>ショタコンちゃん
字面が危ない！

ここの幻覚だと世代対立ネタでいがみ合う扱いが多いけど実際にウマ娘に来たらこんな感じで腐れ縁的な扱いだよなとは思うオルフェとゴルシ

>ショタコンちゃん
ひっでぇ呼び名だ

ロリでもアウトで駄目だった
フルネームで呼ぼうね！

プイさんへ
マリアライトちゃんとミッキークイーンちゃんとヴィルシーナちゃんはよかったです
ドンナはこわかったです
ことしのおせいぼは
アレグリアちゃんとオンリーユーちゃんとブーケドールちゃんがいいです
えぴふぁねいあ

エフ次郎の血統オールスターですよね
スペマルゼンで遠めの牝系にヒシアマ
幻覚だとボリクリエピファザリオハーツ👻

やっぱりぶっ殺すプイ

>えぴふぁねいあ
コイツ
クソだプイ

>エフ次郎の血統オールスターですよね
>スペマルゼンで遠めの牝系にヒシアマ
>幻覚だとボリクリエピファザリオハーツ👻
アニメっつか予言されて来る系のゲームの主人公すぎる…

栗東　シャフリヤール　ステラヴェローチェ
美浦　エフフォーリア　タイトルホルダー

エフフ君はアナキンだった

ディープとエピファ仲悪かったのに
ディープ産駒にエピファつけまくるノーザン

こんなキレてるプイ先輩今まで見たことないっス…

ユーバーレーベンとシュネルマイスターも美浦寮だな
他は大体栗東

>ドンナはこわかったです
🦍💢

>ウマ娘的に表現したら夏の合宿でゴリゴリに鍛えてきたんだろうなあって
修羅の権化のような肉体と眼力に反して性格は角が取れて穏やかになっているの
いいよね…

>こんなキレてるプイ先輩今まで見たことないっス…
愚妹
あいつはクソだぞ

なんだい今日はやけにオルフェの怪文書が多いが…

有馬で遠くへ行く背中をみんなで見てウイニングライブで走るのやめますって舎弟が競技人生を閉じる
出場してたウマ娘は映画的演出を現実でやられて脳を焼かれる

>なんだい今日はやけにオルフェの怪文書が多いが…
プレハブ怪文書毎日投稿されてるような…

舎弟の幻覚を見てる人が複数人いるからな…

飲酒舎弟をきっかけにどんどん増えたよね…

>>なんだい今日はやけにオルフェの怪文書が多いが…
>プレハブ怪文書毎日投稿されてるような…
毎日どころか一日に３～４くらい投稿されてる…

三冠ウマ娘含むやたらと濃い連中が学園の隅っこでぐだぐだやってる幻覚に脳を破壊された「」は多い

アプリだと影も形もないのに幻覚がやたらと濃いプレハブ組み

>三冠ウマ娘含むやたらと濃い連中が学園の隅っこでぐだぐだやってる幻覚に脳を破壊された「」は多い
二次創作大好きな「」特攻すぎる…

>アプリだと影も形もないのに幻覚がやたらと濃いプレハブ組み
カレンチャンとスイープが実在なのがさらに幻覚を濃くしている

ネタが切れてきたらエリ女やBCディスタフで現実が供給してくれるから途切れることがない

>三冠ウマ娘含むやたらと濃い連中が学園の隅っこでぐだぐだやってる幻覚に脳を破壊された「」は多い
こんなん嫌いな人います？（幻覚が合わない人は別として）

>>アプリだと影も形もないのに幻覚がやたらと濃いプレハブ組み
>カレンチャンとスイープが実在なのがさらに幻覚を濃くしている
（完全オリジナルなのになぜか立ち絵と育成シナリオまで用意された聖剣先輩）

プイオルという公式にも原作にも影も形もないカップリング

問題児の集まりだけどレースでは敵なしなんて心くすぐるからな…

エールちゃんは幻覚すら安定しないのに凄い存在感…

自分も怪文書書いたけど投下する隙間がないくらい投下されてる…

おるふぇーぶるさんへ
こんどラッキーライラックちゃんためさせて
あとライラックちゃんよやくしときます
えぴふぁねいあ

エールちゃんはダイナマイトボディでスケベ
みんな知ってるね？

>自分も怪文書書いたけど投下する隙間がないくらい投下されてる…
同時に立ってたっていいんだ

>プイオルという公式にも原作にも影も形もないカップリング
ディープオルフェは最強議論とかでまとめて語られることも多いから…

🤟🐴🤟イエーイプイプイ見てる～？お前の娘片っ端から種付けしてやるぜ

すっごい勢いで燃料投下されたからな今年…

かつての相棒ikzeの元に癖馬が集まりまくったり娘がアメリカで偉業達成したりネタに事欠かない三冠馬

舎弟のことを思い出したゴルシがもっかい有馬走るって言って
12年組がもうやめとけバカ！早い奴らどんどん出てきてるんだぞ！って説得しても
いや走る、カッコつけてやめたいって言い張って
最後の有馬でかっこ悪い自分に泣いてたら12年組が涙と鼻水で顔グチャグチャにして応援してくれてるのを見てさらに泣くゴルシ有馬

ゴルシエミュすごいし話もよかったしいい性格してんなこのぼばと野球スキー…

あの味じゃない！ってホヨワ賞のご褒美でやっちまうプボくんか…