独立早々、資金提供を受けられたのはなぜ?

 1500万円をもらったのは、TBS「報道特集」にいた佐治洋さんと「NEWS23」にいた工藤剛史さんがTBSから独立したタイミングだったとされています。「独立して、まだ何の実績もない人が立憲民主党からいきなり1500万円もらえるの?」という点が一つ問われると思います。

 TBSで政治問題を含む報道番組の制作に携わっていた佐治さんや工藤さんが、当時の立憲民主党幹事長・福山哲郎さんや本部事務局の秋元雅人さんらと何かのご縁でつながりが深かったから資金の提供を受けることができたのではないか、と想像する人は決して少数ではないのでしょうか。

「2009年の民主党の政権交代時に、報道番組で民主党をヨイショしたから、そういうカラミでお金もらったんじゃないの」と邪推する人もいるようです。後述しますが、資金提供の間にいたブルージャパン社という社員8人の広告代理店に、数年間で8億円以上ものお金が旧民進党や立憲民主党から出ていたことを考えれば、最初からある程度、政党が自分たちの政策主張をネット動画などを通して広げられるようにと思って手がけたのは間違いないでしょう。

 そうすると、これから新しいメディアを立ち上げる人は、「こいつは〇〇という政党から、これくらいお金をもらっているハズだ」と必ず疑われることになってしまうと思うんですよね。困ったことに。

 今回、そういうブルージャパン社からの発注という美味しいおこぼれに預かることのできなかった左派メディアの人たちがCLP事件の発覚で怒り狂い、盛大に内ゲバをしているのを見ると、「ああ、お金をもらえていなかったんだなあ」「お金が欲しかったんだなあ」とぼんやり思ってしまうのは私だけでしょうか。私だけですね。

 CLPも最初から「立憲民主党からお金をもらっています!」と堂々と公開していたならば、何も問題はなかったんですよ。ただ、今回は立憲民主党の件を隠して出資を受けていた上に、クラウドファンディングでもお金を集めたり、2000人くらいのサポーターを募集してサブスクでもお金を集めたりと、事業化にある程度成功しています。

 政党の紐付きであるならば、もうちょっとサポーターが集まってお金を出してやれよと思わなくもありませんが、ともかく政党からお金をもらっていたのに、それを隠してクラウドファンディングをやり、中立的な公共メディアを標榜していたというのは、違法とは言えなくても利益相反ですし、ステルスマーケティングみたいなものですから、道義上は大変な問題があったと言えましょう。

 こういった事情がわかれば、ジャーナリストの津田大介さんたちだって、「そんなの聞いてねえぞ」と怒るのは当たり前です。津田さんに同情しますよ。というか、怒るしか方法がないよね。うんうん、わかるわかる。

 そして、先にも申し上げた通り、立憲民主党からのお金は、CLPへ直接手渡されたわけではなく、博報堂→制作会社「ブルージャパン」→CLPと、迂回してお金が渡ったこともわかっています。

 このブルージャパンの代表取締役が、早稲田リーガルコモンズという法律事務所の竹内彰志さんという弁護士です。

 竹内さんは安倍政権の時に安保法制反対で結成された「SEALDs(シールズ)」という左翼の若者団体を一般社団法人にしたことがある人です。SEALDsの奥田愛基さんとかと一緒に、立憲民主党の選挙活動を手伝っていたこともあり、立憲民主党との関係は深い方です。

 先のDappi問題の時にも、竹内さんは自民党を訴えた、立憲民主党の小西洋之さんの代理人になっています。

 今の政治の世界は、わざわざ広告代理店のようなところを間にはさみ、弁護士事務所を発注するということが当たり前に起きています。直接お金を払うと、政治資金規正法で求められる収支報告書に支出先を明記しなければならず、都合の悪いお金の払い先があった場合にすぐに炙り出されてしまうからです。

 今回も、ダイレクトに立憲民主党からCLPにお金を払われていれば、たちどころに察知され、「あいつら、立憲民主党の下請けでシンポジウムやっている業者さんですよね」とわかってしまいます。隠蔽の意図が彼らにあったかどうかはわかりませんが、結果的に、隠す方向に行き、隠したからこそ中立な公共メディア風の味付けでまあまあうまくいった。でも、隠していたのがバレてしまったので大炎上し、応援していた左派のみなさんは、Dappi批判で投げたブーメランが無事眉間に刺さってみんな大爆笑というオチなのだろうと思います。