オマンピス

グリーンランドー地球最後の2日間ーのオマンピスのレビュー・感想・評価

4.2
あした地球がこなごなになるとしても、俺は映画館に行こうとして途中で開いていないことに気づいて、家でTwitterしながら会ったこともない人間の悪口ばかり言ってるんだろうな、きっと。
終末がやってくるとしても何か行動を起こすわけでも起こせるわけでもないんだな〜ってことを実感させられたよね。
実際目の前に金属片の雨が降ってくるなんてことがない限りただの日常なわけで。この映画の中の人たちみたいにどこかに隕石が落ちたのを見てはしゃぎながらお酒飲むでパーティしてるのかもしれない、とか考えちゃった

そもそもディザスター映画って金曜ロードショーでやっているのを片手間に観るくらいで普段自分から進んで観ようとはしないんだけどこれはめちゃくちゃ面白かったです。
地球滅亡モノ映画の基本はちゃんと押さえられているんだけど、というかストーリーにそこまで面白さは無いんだけど、この映画のメインは非日常なカタストロフィ描写ではなくて日常的な人間的な問題なんですよ。(もちろんVFXによる衝撃波とかもちゃんとすごい。軽く都市が火の海になったりってのが急に起こるっちゃ起こるんだけどね)

この映画は心情の機微やディティールの積み重なりをとても大事にしていて、それが観ている側に画面というフィルターを取っ払って没入させる力として効いてくる。
ジェラルド・バトラー演じる夫がが別居中の妻子が待つ家に帰るときにインターホンを鳴らすのをやめて鍵を使って開けるのは、ここが俺の家だと自分に言い聞かせるためだと思うんですよね。

その後にホームパーティ中にジェラルド一家だけが大統領アラートとかいうノアの方舟特別招待券を得たときの周りの家族の反応!激昂したり取り乱すことなく「え、なんでジェラルド一家だけなの?なんで?」みたいなのを遠回しに表現するんだよ〜〜。イヤな空気すぎるんですけど、こういうの現実でもあるあるすぎてなんか過去の嫌な記憶とかフラッシュバックしたよね。それこそ走馬灯のように。
そのあと車で空港に向かうときも、ご近所さんたちは今度は少し取り乱しながら「俺たちも連れてってくれ」って懇願するけどそれでも「グッドラック」って言いながら寂しげに見送ったりするんだけど、結局そんなもんだよね。命がかかってるから全然グッドラックて言える心の余裕はないはずなのに。

あと薬局での略奪シーンも淡々としていてリアルだった。みんな無言で少し罰の悪そうな顔しながら盗んでんの。去年あたりのアメリカの暴動の映像もこんな感じだったよね。いくら地球が滅ぶとはいえみんなやっているからといえ罪の意識はあるんだよ。後ろめたさがあるんだよ。

そのあとも空港で銃撃戦があったり、道中で略奪があったり、裏切りがあったり、軍用車が通っていたりするんだけど、郊外の風景はいつも通り。でも空は燃えるように赤くて無数の隕石が曲線を描いている。ラジオからは悲惨な状況が伝えられる。そのアンバランスさというか緩急や動静が怖くもあり、美しくもあり。

そして明日世界が滅ぶとしてもどうしようもないから軍人のように規則に従って仕事したり、または残り少ない時間を家族と会ったり、ご近所さんとカードゲームしたりするんだよ。


まあそんな感じで、従来のパニック映画好きには物足りないかもしれないけど自分は大好きでした。



(あとどうしても東日本大震災のことを考えずにはいられなかった。自分たちは死ぬと分かっていても任務を遂行する軍人に気仙沼で最期の瞬間まで避難勧告をしていた職員のことを重ねてしまったり)
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