――藤岡さんは、ジビエ料理はよく召し上がるんですか?

:僕は鹿肉が好きでね。故郷の仲間が送ってくれるものだから、鹿や猪は自宅の冷蔵庫にも入っています。故郷の久万高原は、海抜が900メートルくらいあって、水がすごく美味しい。そこで獲れる野生の獣は、いいものを食べて育っているから臭みがないんです。(店内を見回して)ここは本格的なマタギ料理店だね。野生そのものの匂いが充満していて、実にいいね。

――本日は、羆の手と足の煮込みと、羆のサーロインステーキをご用意しています。

:それは嬉しいね。ジビエ料理のなかでも、羆は最高級品だからね。昔だったら、長老しか食べられないような料理ですよ。羆の肉は食べたことがあるけれど、手足ははじめてだね。日本でももっとジビエ料理が普及するといいよね。

――羆の手と足、お味の違いはいかがでしょう?

:いやあ、この料理はじつに美味しい。手と足はやはり違うね。手の肉の方が繊細で、きめ細かい。手は、羆にとって自分の命を育む最強の相棒……自由にきめ細かく動くものだからかな、味もものすごく敏感で繊細。一方で足にはそういう繊細さがなくて、もっとドッシリとした厚みのある味を感じるね。どちらも素晴らしいエネルギーが凝縮されていますよ。こういうものを食べると、弛んだ精神が引き締まる。持ち帰ってうちの子にも食べさせてやりたいな。

手慣れた様子でドッシリとした羆料理を食べ進める藤岡さん。手にされているナイフは普段からご愛用のもので、ご持参いただいた。

僕は猪や鹿を自分で獲るし、解体もするから知っているけれど、野生動物というのはとてつもない生命力を持っているんです。だから、獣肉を食べると体がポカポカと温まりますよ。ご病気だったり、いまいち元気がないという方にも、こういう本物の自然の肉を食べさせてあげたいね。うちの父は誰かが病気になると必ず猪を獲ってきて、肉を細かく刻んでスープにしたり、お粥にしたりして食べさせていたんですよ。

――それは滋養がありそうですね。

:命をいただくことに感謝をしながら食べるんです。古来から日本では、生きものの命をいただくことに対して深い畏敬の念を持ってきました。絶対に粗末には扱わないし、細かいところまで利用して感謝を捧げる。命をいただき、魂をいただく……万物に神が宿っているという精神からきているんでしょうね。僕は自分の子どもにも徹底的にそれを教えています。先人たちや、父の教えを次の世代に伝えているんです。
『ゴールデンカムイ』では、そういう精神文化についても非常によく描かれていますね。昔の人々が持っていた、自然と食べ物に対する畏敬の念と、自然の中で生き抜くということの過酷さが、見事に活写されている。

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