数年前、同じ事務所の後輩芸人から「事務所が、僕らの単独ライブのDVDを出してくれないんです」という相談を受けた。
そこそこ人気のあるコンビで、ファンが「DVD化」の署名運動に奔走し、400筆ほどの署名を集めたが、吉本興業は首を縦に振らなかった。
首を縦に振らなかった理由が気になったので、訊いてみたところ、「DVDは3000枚ぐらい売れないとモトがとれないんです」と吉本社員。
つまり、3000枚以上の売れ行きが見込めないヤツにはDVDをリリースさせるわけにはいかない、というわけだ。
なるほど。しかし、ここで少し気になった。
DVDが一枚3000円だとして、3000枚となると、3000円×3000枚で、900万円。
3000枚のDVDを制作するのに、はたして900万円もかかるのだろうか?
気になったので、すぐに工場に電話。
「DVDを3000枚刷って、盤(パッケージ)にするのに、おいくらかかるのですか?」と工場のオジサンに訊いてみたところ、「27万円」という驚きの答えが返ってきた。
ん?
900万円近くかかるんじゃなかったの?
撮影と編集を自前でやってしまえば、27万円あれば、3000枚のDVDを作ることができるの?
残りの873万円は、どこに消えた?
調べたところ、残りは、作者からお客さんの手に届くまでの『流通』にゴッソリと持っていかれていることが分かった。
ちょっと待った。
27万円であれば、1枚3000円で売ったとすれば、90枚でペイだ。
90枚であれば、そもそも流通に乗せなくとも、手売りで届けることができるじゃないか。
つまり、「流通に乗せる」というところから話をスタートさせてしまうから、その若手コンビは単独ライブのDVDを作ることができなかったわけだ。
なるほど、これは面白い。
すぐさま、僕のトークライブ『西野亮廣独演会』のDVDを流通に乗せることをやめ、会場のみでの販売に切り替えた。
流通に乗せないことで発生した大きな売り上げは、海外公演の開催費用に充てている。2015年の独演会のニューヨーク公演は、これにより入場無料での開催が実現した。
そもそもの問題であった後輩芸人の単独ライブのDVD化を完全に後回しにして、まずは自分の活動に反映させているところが実に西野らしい。
可能性を殺させない
さてだ。
今、あらゆる分野で同様の問題が起きている。
「本を出版したい」という声がたくさんあるのに、出版社は首を縦に振らない。
『取次』というものを介しているから、数千冊〜1万冊売れないとモトがとれないからだ。
結果、数千冊〜1万冊売れる見込みがある作品しか出版社は受け入れない。
しかし、作品を届けたい人がいて、その作品を求めている人がいるのに、その作品が届かないのは、やっぱり不自然だ。
数万人に届く作品があってもいいし、数百人に届く作品があってもいいじゃないか。
僕は、これからの出版は2種類用意した方がいいと思っている。
取次を通した"マス向け"の出版と、取次を通さない"ニッチ向け"の出版だ。
さっそく友人に声をかけ、『おとぎ出版』という出版サービスの開発をスタートさせた。
『おとぎ出版』は、ニッチ向け(個人作家のため)の出版サービス。
仕組みはこうだ。
本を出したい人が、クラウドファンディングで、その本の買い手を事前に募り、100人の買い手が見つかった時点で、出版が決定。
おとぎ出版が、その本のデータを受け取り、製本し、買い手に届ける。
取り次ぎを介していないので、作家印税は通常10%以下のところを、おとぎ出版の作家印税は33%。
本の権利は100%作家に譲渡する。
作家は、その本と実績を持って、大手出版社に売り込んで、今度は大手出版社からマス向けの本を出してもいい。
僕らがやるのは、マス向けの出版までの"橋渡し"で、とにもかくにも出版のハードルを下げ、これまで首を切られていた作家、作品に光を当てる。
そこから次世代のスターが生まれるかもしれない。
それこそ、YouTubeのように。
ニッチ向けの出版は、受注生産&産地直送でいい。
この形は、ゆくゆくはCDなどにもトレースしていける。
人は承認欲求の塊だ。
しかし、これまで極々一部の人間の欲求しか満たされてこなかった。
そろそろ、皆の欲求が満たされてもいい時期だ。
『おとぎ出版』で国民総クリエイター時代の扉を開けきる。
革命です。
コメント一覧
コメント一覧
激しく同意です(^^)
ちょっとほんとアイデア公表するの2割くらいにしませんか(;_;)
その「信用」がないのが今の日本です。
小売業なんて、表向きは「お客様第一」と言いながら、何でもいいから売りつけろ状態です。
「信用」大事ですね!
イメージできても、出来上がりは別物。
何故なら、西野亮廣氏の信用で作る訳じゃないから。
だから、取り敢えず形になるのを待とう。
それを受けて西野亮廣氏のコメントを待ちたい。
「そりゃ、まずいよ。これからの幻冬舎の為にも、もうちょっと考えなよ。」
…って、言いたい😅
プペルの映画、楽しみにしてます。できる範囲で応援しますよー。
"嘘をつかない"。西野さんは、ただその一点を貫く人なんだなぁ、と思いました。
幻冬舎もCAMPFIREもクソだな!!!(汚い言葉をつかってすみません)
と思いました!!!!!
潰れてしまえ!!!!!
とまで思っています。
それが私の正直な気持ちです!!!!!!
西野さんは信用持ちなので出版社もクラウドファンディングも変えてしまったらいいんです
(例)おーいお茶→生茶→伊右衛門→綾鷹 伊藤園→キリン→サントリー→コーラ
スピードも早いし、規模もでかい。
本は編集者の推敲力や、広報、装丁の力も大きいから幻冬舎に持ち込みたくなる人も多いかも。
何か残念。
まぁ西野さんのことだから、面白い方に行くでしょ?
その辺見城さんも男なので、事情があったんだと思います。
徹の部屋見たときに、見城さんの嫉妬も感じたし。
どちらも応援しよう。
言ってくれなかったからムカつく!縁を切る!ではなく、人の態度や事業、未来のことを一つ一つ区別して考えて付き合い方を考える姿勢って日本人にはあまりない感性だから感心します😊
発達障害者は基本そういう考え方の人が多いけど社会から見ると冷たいっていう目で見られたり弾かれたりしやすいけどそういう考えが広がればいいな。
西野さんも、見城さんも好きなだけに複雑すぎます。
このままだと悲しいです。
なんとか良いところに着地してほしいです。
見城さんのGNOを信じるしかないっす。
言いたい事ちゃんと言うスタンス!
さすが西野亮廣って感じ。かっこいい。素敵。
こうゆうの大事ですわ。
忖度もヘッタクレもない。
本当に大事!!!
ありがとうとごめんなさいが言えればいいのかなって
思っています❣️😊✨