六韜：教（きょう）戦（せん）第五十四

武王問太公曰、合三軍之衆、欲令士卒服習教戰之道、奈何。

武（ぶ）王（おう）、太公（たいこう）に問（と）うて曰（いわ）く、三軍（さんぐん）の衆（しゅう）を合（あ）わせ、士（し）卒（そつ）をして教（きょう）戦（せん）の道（みち）を服（ふく）習（しゅう）せしめんと欲（ほっ）す、奈何（いかん）。

ウィキソース「六韜」参照。
服習 … 底本では「練士」に作るが、『直解』に従い改めた。

太公曰、凡領三軍、必有金皷之節。所以整齊士衆者也。將必先明告吏士、申之以三令、以教操兵起居旌旗指麾之變法。

太公（たいこう）曰（いわ）く、凡（およ）そ三軍（さんぐん）を領（りょう）するに、必（かなら）ず金（きん）鼓（こ）の節（せつ）有（あ）り。士（し）衆（しゅう）を整斉（せいせい）する所以（ゆえん）の者（もの）なり。将（しょう）は必（かなら）ず先（ま）ず明（あき）らかに吏士（りし）に告（つ）げ、之（これ）に申（かさ）ぬるに三令（さんれい）を以（もっ）てし、以（もっ）て操兵（そうへい）、起（き）居（きょ）、旌（せい）旗（き）、指麾（しき）の変法（へんぽう）を教（おし）う。

必有金皷之節 … 底本に「必」の字はないが、『直解』にあるので補った。

故教吏士、使一人學戰、教成、合之十人。十人學戰、教成、合之百人。百人學戰、教成、合之千人。千人學戰、教成、合之萬人。萬人學戰、教成、合之三軍之衆。大戰之法、教成、合之百萬之衆。故能成其大兵、立威於天下。

故（ゆえ）に吏士（りし）を教（おし）うるに、一人（いちにん）をして戦（たたか）いを学（まな）ばしめ、教（おし）え成（な）れば、之（これ）を十（じゅう）人（にん）に合（あ）わす。十（じゅう）人（にん）戦（たたか）いを学（まな）び、教（おし）え成（な）れば、之（これ）を百（ひゃく）人（にん）に合（あ）わす。百（ひゃく）人（にん）戦（たたか）いを学（まな）び、教（おし）え成（な）れば、之（これ）を千人（せんにん）に合（あ）わす。千人（せんにん）戦（たたか）いを学（まな）び、教（おし）え成（な）れば、之（これ）を万人（まんにん）に合（あ）わす。万人（まんにん）戦（たたか）いを学（まな）び、教（おし）え成（な）れば、之（これ）を三軍（さんぐん）の衆（しゅう）に合（あ）わす。大戦（たいせん）の法（ほう）、教（おし）え成（な）れば、之（これ）を百（ひゃく）万（まん）の衆（しゅう）に合（あ）わす。故（ゆえ）に能（よ）く其（そ）の大兵（たいへい）を成（な）し、威（い）を天（てん）下（か）に立（た）つ。

武王曰、善哉。

武（ぶ）王（おう）曰（いわ）く、善（よ）きかな。

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