「厳しい、きつい」英語のニュアンスの違い


「厳しい、きつい」を意味する英語も hard, harsh, tough, severe, intense など様々です。
日本語にすると同じ意味でも、英語では細かいニュアンスの違いで表現が大きく変わります。
一つ一つの英語のニュアンスの違いを理解して、ネイティブの感覚に近づきましょう。

目次


hard きつい、しんどい(カジュアル)
harsh (過酷な、不快な)厳しさ
tough (困難、きつい)厳しさ
severe 容赦のない、深刻な厳しさ
intense (強烈な、衝撃的な)厳しさ

hard

/ härd/

名詞

形容詞

副詞

ニュアンス

きつい、しんどい(カジュアル)

解説

hardは元々「硬い、難しい」といった物理的な意味を表す単語ですが、そこから派生して「厳しい」等の精神的な意味も持ちます。
そのため、ニュアンスとしてはきつい、しんどいといったやや抽象的な意味合いを示します。
非常に口語的なため、広く様々な意味合いで使われることが多いでしょう。細かなニュアンスで表す必要が無い場合は、hardで基本的に説明できるため日常会話などにおいても一番耳にすることが多いでしょう。
カジュアルな印象がありますが、とても一般的なため、シーンを問わず使われます。

adjective
Requiring a great deal of endurance or effort:
putting a lot of energy into an activity:
difficult to bear; causing suffering:
harsh or unpleasant to the senses:

ー オックスフォード英英辞典より引用

例文

It would be so hard for them to keep their secrets.

彼らが秘密を抱え続けることは相当きついだろう。


I had a hard time solving the problem.

課題を解決するのがとてもきつかったよ。


harsh

/ härSH/

形容詞

ニュアンス

(過酷な、不快な)厳しさ

解説

harshは「厳しさ」を表す単語です。
severeと基本的な意味は同じですが、harshの厳しさのニュアンスとしては不快さ、生きることが困難なほどの過酷さを表すことが多いです。
例えば、
「The harsh winter in Hokkaido.(北海道の厳しい冬)」
では、耐えがたい厳しさ、過酷さのニュアンスを伝えています。
一方で、
「harsh voice(うるさい、聞き悶える声)」
では、その不快さを強調しています。このように、「厳しい」だけでなく、他の訳し方が適切な場合もあるでしょう。
使用する対象は人や、物、環境など様々です。
単語としても比較的一般的であるため、シーンを問わずよく耳にするでしょう。

adjective
Unpleasantly rough or jarring to the senses:
Cruel or severe:
(of a climate or conditions) difficult to survive in; hostile:
(of reality or a fact) grim and unpalatable:

ー オックスフォード英英辞典より引用

例文

He has some harsh words for the government.

彼は政府に対して厳しい批判的意見を持っている。


Oh my gosh, that's harsh!

おお、それはキツいね・・・!


tough

/ təf/

名詞

他動詞

形容詞

副詞

ニュアンス

(困難、きつい)厳しさ

解説

toughは日本語「タフ」でも知られていますが、英語では基本的に「厳しい」の意味を表します。もちろん、「丈夫、頑丈」の意もあります。
toughの表すニュアンスとしては、扱う事が困難な厳しさを表します。
それだけなく、単純に「difficult, hard(難しい)」と同じ様に使われることもしばしばあります。
そのため、「厳しい、難しい」どちらの訳され方もあり、前後の文脈や細かい意味に注意が必要です。
toughは日常会話でもよく使用され、例えば、
「That must be tough.(それはきつかったね。)」
「That's a tough question.(それは中々厳しい(答えづらい)質問だな。)」
等のように使われます。
オフィシャルなシーンでも使われますので、とても汎用的で覚えておくと便利な単語でしょう。

adjective
Involving considerable difficulty or hardship; requiring great determination or effort:

ー オックスフォード英英辞典より引用

例文

It's so tough for my kids to stay inside all day long.

私の子供たちにとって一日中家にいるのは相当キツいよ。


For our future, the president will have to make a tough decision.

私たちの将来のために、大統領は非常に厳しい決断をしなければならないだろう。


severe

/ səˈvir/

形容詞

ニュアンス

容赦のない、深刻な厳しさ

解説

severeは日本語「シビア」としてもよく知られており、その意味と英語での意味はほとんど同じです。
severeを分けるとse(離す)- vere(容赦、親切さ)になります。そのため、「容赦がない、親切さがない」といった意味合いを表すことが多いです。
harshと基本的な意味は同じですが、severeが表す厳しさのニュアンスは甘えのなさ、深刻さ、極端な厳しさとやや異なります。
厳しさを表す対象は、harshと同じく特に決まりはありません。ですが、severeでは何かけが、病気、問題等の状況における深刻さを表す場合が多いです。
harshと同様、一般的な単語であり、シーンを問わず使用されます。
※日本語「シビア」とは発音が異なるので注意

adjective
(of something bad or undesirable) very great; intense:
demanding great ability, skill, or resilience:
Strict or harsh:

ー オックスフォード英英辞典より引用

例文

His injuries in WWⅡ are quite severe.

彼が第2次世界大戦で負った傷は非常に深刻である。


The negotiations with the government will be a severe test of his abilities.

政府との交渉は、彼の能力を図るテストとして非常に厳しいものになるだろう。


intense

/ inˈtens/

形容詞

ニュアンス

(強烈な、衝撃的な)厳しさ

解説

intenseは元々「激しい、真剣な、熱心な」等を表す単語ですが、「厳しい」という意味合いで使われることもあります。
厳しさを表す際のニュアンスとしては強烈な、衝撃的な厳しさです。
例えば、暑さ、天候の悪さなどを対象に使われることもあります。
しかし、intenseは「すごい!かっこいい!」といった意味を表すスラングとしても知られている性質上、幅広い意味を持ち、抽象的な単語です。捉え方によってポジティブにもネガティブにも取られます。単に、「厳しい」というネガティブなイメージを持つだけではなく、状況に応じて様々な意味で訳され、使われる単語です。
そのため、使用する際には、前後の文脈に注意が必要です。
近年は、どちらかというとカジュアルなシーンでよく使われる単語となってきているでしょう。

adjective
Of extreme force, degree, or strength:

ー オックスフォード英英辞典より引用

例文

The blizzard last year was intense.

去年の大寒波は非常に厳しかった。


The job needs intense concentration.

この仕事は、とてつもない集中力が求められる。


参考文献の紹介


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当サイトでも語源の紹介をしたりしますが、それは語源はその単語のコア部分の情報であり、かつ知らない単語を推測する力を養えるからです。 書籍内の例を挙げると同じ「調べる」を意味する下記の2つの単語ですがニュアンスは異なります。

  • survey = sur(上から) + vey(見る) = 見渡す、概観する
  • inspect = in(中を) + spect (見る) = 隅々まで調べる、検査する

このように語源を知ることで単語の意味や違いを推測することが可能になることを本書では謳っています。また、こちらも全てイラストで説明されており視覚情報でのインプットが可能です。

以上です、皆様のご参考になりましたら幸いです。

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