『君と一緒に2』を語るうえで決して外す事の出来ないキャラクター。それが、『長澤さゆり』先輩その人です。
彼女がいなければ主人公は他のヒロイン達と出会えなかった、そうでなくとも仲良くなれなかったかもしれない。
長澤さゆり先輩は『君と一緒に2』の最重要人物と言っても決して言い過ぎではありません。
もしかしたら、その強すぎる立場が他ヒロインの邪魔をしない為に期間限定ヒロインとなってしまったのかな~なんて思わなくもないです。
ゲームの配信開始が2012年4月16日。
『長澤さゆり』先輩と『木戸曜子』先輩の配信期間はサービス開始から2012年の7月9日まで。
三ヶ月という短い期間の配信だった為、二人の存在を知っている人間は多くないです。
後で語る『清水弥生』や、村西美雪に関しては動画サイトでシナリオの一部が公開されていますが、二人に関してはそれも無い為、ネットで彼女達を探してもなかなか出会えないのが現状です。
結局のところ、誰も語ってくれないので語りたい。本記事を書く動機はそれだけで十分かもしれません。
性格はおっとり、穏やか。滲み出る包容力で他人から頼りにされる事が多く、実際に頼りになる。
主人公とは1学年しか違わないはずなのに、ずっとお姉さんに見えてしまう天性の年上属性持ち。
学力とは別の頭のよさ、聡明さを持った女性。
完ぺきな訳ではなく、キャラ紹介にあるように純粋で、恋を知らない。
彼女の妹、長澤香織についたゴミを主人公が取ってあげている場面を見かけ「キスしている」と勘違いしてしまうというのがシナリオ前半の山にあり、さゆり先輩は一人で悩み誰にも相談出来ません。
さゆり先輩の悩みは態度に出てしまっていますが、言葉にしてくれないので主人公も何も出来ず……。
最終的に誰かが主人公達のようにゴミをとっている場面を目撃し、あの時も誤解だったんじゃないか、その可能性に気付き、悩みが解決します。
さゆり先輩は頭がいい。だから、他人を傷付けないよう、悩みも一人で抱え込んでしまう。
それは一重に先輩の優しさを象徴するエピソードなわけですけど、そんな彼女はやっぱり一人にしてはいけない女の子なわけでして、先輩が主人公を好きになった。
それは、彼女が一人じゃなくなったというわけなのです。
お姉さんな長澤さゆりよりも、恋人の長澤さゆりはずっと、魅力的でしたし、
二人のイチャイチャは、とても幸福感に満ち溢れていました。
読んでいてくすぐったくなったり、ついついニヤニヤしてしまう二人のイチャイチャ。
そんなメモが残っているので下に引用します。
『長澤さゆり』 メモ
◆◆◆
「あれは……」
見知った後ろ姿が見えたので、追い付いて声をかけた。
「長澤先輩おはようございます」
「あら~、おはようございます~」
「○○くんも、今の時間なんですね~」
「はい、まぁ、ちょっとゆっくりしすぎまして」
だから俺は急いでたわけなんだけど……この人はずいぶん、まったりしてるな。
「あの、先輩」
「はい?」
「そんなゆっくりで、大丈夫なんですか?」
「たぶん大丈夫ですよ~」
あ、アバウトだ……。
まぁ、確かに先輩に合わせて歩いても、ギリギリ遅刻はしなかったけど。
◆◆
「ここで告白されたんですよね~」
何かを噛みしめるように、先輩は言う。
「ここからわたしたちは、始まったんですよねえ」
「先輩、なんだかすっごく昔を思い出してるみたいです」
「まだ、つ、付き合い始めたばっかりなのに」
「そうですよねぇ」
「これからたくさんの時間を、○○くんと過ごすんですよねぇ」
先輩は近くのベンチに腰を下ろした。
「どうぞ~」
「はい?」
「本当の、恋人同士になったんですから」
「それっぽいこと、たくさんしないと」
ひとつのベンチにふたりで座る。
これが、俺たちふたりの初恋人っぽいことだった。
「…………」
「…………」
隣同士に座った俺たちは肩を、肩を寄せ合う。
ほんのちょっとだけ触れるくらいの距離感。
「えへへ……」
先輩が小さく笑った。それだけで身体の熱が上がっていく気がする。
「○○くん、質問です」
「なんですか?」
「心臓の音って、聞こえちゃったりしますか~」
「心臓?」
「わたしの心臓の音です」
先輩も緊張してるんだ。
でも、それをこういうかたちで口に出せるって、すごいな……。
「全然、聞こえないです」
「自分の心臓がうるさすぎて」
「○○くんも緊張してるんですね」
恋を知らなかった俺たちは。
それが恋人同士っていうかたちで、こうして寄り添ってる。
たまらなく不思議で――それ以上に、うれしかった。
「…………」
「…………」
大したことは話せなかった。
それでも、ふたり並んで座っているだけで、しあわせだと思えた。
◆◆
そろそろ模試が終わろうというころ、俺は休日の学校に向かっていた。
部室に入り、適当な小説を読みながら待つこと、十数分。
「――お待たせしましたぁ」
部室のドアを開け、長澤先輩がやってきた。
「待ちました?」
「いえ、大したことないです」
「どうでした? 模試」
「自己採点だと、なかなかいい感じでした~」
「最低でもB判定はいけますね~」
「…………」
そういう話を聞くと、先輩は本当に卒業なんだと実感してしまう。
「なんか、寂しいですね」
「何がですか?」
「せっかく先輩と付き合えるようになったのに」
「先輩が今年で卒業ってことが」
「……寂しいですか?」
「大丈夫ですよ~」
先輩は俺の顔を見つめて、やわらかく微笑んだ。
そこにあるだけで安心してしまう、やさしい表情。
「わたしが卒業して、学校からいなくなるだけ」
「わたしと○○くんのあいだには、なんの変化もありませんよ~」
「恋人同士っていうことは、変わらないんです~」
「それもそうなんですけど……」
「離れてしまうのが不安ですか?」
「……ちょっとだけ」
「なら、お姉さんからのアドバイスです」
先輩は、俺の手をそっと握ってきた。
「つなぎ止めてください」
「つなぎ、止める?」
「そうです~」
さっきよりも近い場所で、先輩がふわりと笑う。
「心をつなぎとめられれば、きっと不安はなくなりますよ」
「つなぎ止めるって――」
「――手を握るだけじゃ無理……ですよね」
「どこかにいっちゃうかもしれませんね~」
そう言って、先輩は目をつむる。
俺はゆっくりと顔を近づけ、先輩にキスをした。
「んっ……」
先輩が卒業していっても、俺たちは何も変わらない。唇を重ねて、それを誓い合った。
「――えへへ~」
「つなぎ止められちゃいました~」
「先輩が、そうしろって言ったくせに」
「わたしはアドバイスしただけですよ~」
「実行したのは、○○くんです」
そう言って、先輩は笑った。
「さあ、遊びにいきましょうっ」
「巡回の先生に、怒られちゃいますよ?」
「はい。いきましょうっ」
俺たちはふたりで部室を後にした。
先輩の足並みに合わせて、ゆっくり。
お互いの手を、そっと握り合いながら。
◆◆
引用終わり。
今、読み返しても色褪せないですね。
2にビジュアルブックが無いのが本当に悔やまれます。
ただ、ビジュアルブックの代わりにはなりませんが、可愛いタペストリーがあります。
2012年8月10日~12日、ちょうど先輩の配信が終わって少しぐらいの時期ですね。「コミックマーケット82」で販売されたタペストリー。
当時の私はゲームにしか目がいかず、そんな事が裏であったとは知らなかったのですが、運よく別の機会に手に入れる事が出来ました。
なんかもう上手く言葉になりませんが、
さゆり先輩ステキです。
まだまだ語り足りないですが、妄想垂れ流しになりそうなので本記事はここまでにしておきます。
『君と一緒に2』について、最低でも残り「清水弥生」と「木戸曜子」の二人分の記事を書く予定です。
ソシャゲ『君と一緒に2』
『君と一緒に2』木戸曜子
『君と一緒に2』清水弥生