まだ子供とはいえ、全裸で身体測定をお願いするのは耐え難い屈辱に違いない。
悠は嗚咽を漏らすと、
「ぜんせいっ、ずみばぜんでじた。
ヒック…測定をお願いじばず…。」
そう言って頭を下げた。

体罰は終わったが、彼が味わう羞恥と屈辱はまだ続いていく。


その悠の身体測定は、実に念入りに行われた。

金ごんは測定をやり直しては、悠の身体をまさぐり、彼に嫌悪の表情を浮き出させる。

しかも無言で行う為、姿勢を変えての測定では、一々悠を抱き抱えるようにして動かす。

最早妖怪に遠慮とか私達の目など眼中になさそうだ。

肩や腕ならまだしも、お尻を鷲掴みしたり、意味もなくおちんちんを触ったりする。
その都度、悠の身体はビクッと拒否反応を起こすのだが、妖怪は逃げるお尻や腰に抱きつき、自身へと引き寄せる。
彼の裸の感触を楽しんでいるのは明白である。


今度は女子の助け船はない。
皆、金ごんの逆鱗が怖いというのもあるが、悠の裸を見ていたい気持ちが大きいようだ。

私も同じ気持ちだが、先程からモヤモヤと不快な感情が出てきている。
無論、悠を玩具みたく扱う妖怪に対してだ。


金田「よし、三島君終わったよ。

じゃあ、お尻にお薬塗るから、ベッドの上で四つん這いになりなさい。」

私達はまたしても驚きに包まれる。
中でも当事者である悠の驚愕は気の毒な程だ。
当然、彼は固まったまま、返事すら出来ずにいる。

金田「三島君、どうしたの?
早くなさい。」

妖怪の催促に、悠は消え入りそうな声で答えた。
「…先生、僕なら平気ですから、服を着させてください…」

その尤もであろう返事に、これまた金ごんらしい怒声が返る。
「三島君っ、私はあなたの事を心配して言ってるのっ!
分かったら、早くベッドに上がりなさいっ!」

おいおい、原因はお前が作ったんだろうが。

悠「…恥ずかしいです…」
ここで彼も、はっきりと意思表示した。
が、やはり妖怪の考えを翻す事は出来ない。

「男の子が裸を見られるくらい恥ずかしくないっ!」
金ごんはそう一喝すると、悠の背後から右脇腹と股間に手を回し、彼を担ぎ上げて、それをそのままベッドの上へと乗せる。

悠はかなり嫌そうな顔をしたものの、抵抗らしい抵抗をしない。
いや、抵抗出来ないと言った方がいいかも知れない。

結局妖怪の為すがまま、強制的に四つん這いの姿勢をとらされた。

「ヒック、…先生…嫌です…」
悠は再びすすり泣きを始めた。
私達に、肛門まで晒したお尻が哀しそうに震える。


が、金ごんには憐愍の感情というものが無いのだろう、彼のお尻を拡げながら、
「そうそう、なんか熱があるみたいだから、お尻の穴で体温計りましょうね。」
と、その羞恥を無視して言った。

また、その言い方は如何にも彼の為にやってあげる、と言わんばかりだ。

何はともあれ、これで私達も悠の裸を隅々まで見た事になる。


金ごんに、再び私が呼ばれた。
そして体温計と消毒液、脱脂綿とピンセット、さらに座薬と軟膏を用意させられた。

その間、妖怪は無抵抗の悠を触りまくっている。
口元に笑みを浮かべ、彼が触られて反応する様を、目を細めて悦んでいる。


準備が整うと、金ごんは体温計を消毒する。
そして消毒液をつけた脱脂綿をピンセットで掴むと、悠の肛門を丹念に拭う。

「ひっ…あっああっ!」 悠の口から、切なそうな呻き声が漏れる。

ちょっと妖怪っ、図にのり過ぎじゃないっ!?

憤りに不快感を感じる一方で、男の子のこんな恥ずかしい姿を見ることは素直に嬉しい。
それが可愛い男の子なら尚更である。


金田「三島君、体温はね、お尻の穴で計った方が正確に出るのよ。
くれぐれも誤解しないでね。」

何が誤解かっ!妖怪めっ!

そして金ごんは体温計を悠の肛門に差し込んだ。

悠「んっ、んんっ!」
苦しそうな呻き声と共に、全身が痙攣するように震えている。

ヤバい…ヤバすぎだろう金ごん…。

すると午後の授業開始五分前のチャイムが鳴った。
私も皆も、ハッと我に返る。

金ごんもハッとしたようだ。
焦ったような顔で辺りを見渡し、私達で止まる。
「あなた達、早く教室に戻りなさい。」

その言葉に私達は驚いた。
思わず一人の女子が、
「先生、お話があるんじゃなかったんですかっ!?」
と吠えるように言った。

全くその通りだ。
教室に戻ろうとした彼女らを、話があると言って叱ったのは他ならぬ妖怪である。

金ごんは動揺しているようだ。
「あら、そうだったわね…。
いいわ、後でプリントにして渡すから、教室に戻りなさい。」

この妖怪、どうやら私達の存在を忘れる程、悠に夢中だったようだ。
当然皆は、不機嫌に退出しようとする。

金田「あ、ちょっと待ちなさいっ!」