何だかんだ言っても、金ごんの手際のよさに女子の測定はあっさり終わった。

そして四人は服を着ると、保健室を出ようとした。

すると再び金ごんが爆発した。
「あなた達っ、挨拶もせずに退出することがありますかっ!
まだ最後に私から話があるから、三島君が終わるまで待ってなさいっ!」

…私は終わったら教室戻っていいんだよね…?

そして悠が呼ばれる。

金田「じゃあ三島君、パンツ一枚になって。」

金ごんの言葉に、悠は躊躇ったように周囲を見渡す。
先ほど測定が終わった女子や私を見ると、困惑したように金ごんに視線を移す。

ギャラリーの多さに、悠は恥ずかしがってるようだ。
それにしても困った顔も凄く可愛いっ。
私もドキドキしてきた。

金田「何してるの?
早く脱ぎなさいっ!」
しびれを切らした金ごんの一喝に、悠は何か言おうとしていた。

金田「三島君っ、早くなさいっ!」
再び金ごんの一喝に遭い、悠は泣きそうな顔で服を脱ぎ出した。

あ~あ、悠可哀想っ。
そりゃ、同級生の女子の目の前でパンツ一枚って恥ずかしいよね。

そう同情しつつも、私は保健委員で良かったと思った。

やがてパンツ一枚の悠が、金ごんの前に立つ。

金田「はい、じゃあ胸囲から測るわね。
手を頭の上にやって。」

その言葉に、悠は股間を押さえていた両手をゆっくりと上げた。

わっ、何か膨らんでるっ。
私の斜め前、悠の下半身を隠すパンツが、テント張ってるように見える。

金ごんも気付いたみたいだ、動きが止まり、悠のパンツを凝視している。
そしてその額に、青筋が立っていくのが分かった。

金田「三島君…ちょっとパンツ下ろしなさい。」

私は驚いた。
当然、四人の女子も唖然としたし、悠に至っては、思わず笑ってしまうくらい顔が強張っている。
無論、彼にすれば従える筈もない。
当然、金ごんの言葉を無視する形となった。

パチィン!

金田「パンツを下ろしなさいって言ってるのっ!
早くなさいっ!」
悠への平手打ちと怒号がほぼ同時に起きた。


私達女子は固唾を飲んで見守るしかない。
が、それは期待感に包まれた沈黙だ。
その証拠に、四人の顔には明らかに何かを期待するような目の輝きがある。
間違いなく、私も同じ目をしてるのだろう。

パチィン!

今度は無言の平手打ちだ。
それを受け、悠の大きな瞳から涙が流れた。

パチィン!

三度悠の頬が鳴った。
このままだと、脱ぐまでビンタが続くのではないか?

それはどうやら悠も感じたらしい。
ゆっくりと震えながらパンツの前だけを下げた。


うわっ、男の子ってこんなになってんだ…。

パパのを見たことがあるけど、それより小さい無毛のおちんちんが目の前に晒け出された。
違いといえば、おちんちんが上へと立ってる事で、当時の私は子供のおちんちんは上を向いてる、と認識してしまった。

金ごんの顔は険しい。
厳しい声で、
「三島君、なぜ起ったのっ!?」
と問い詰める。

悠は涙目で怪訝そうに首を傾げた。
私達も金ごんが何を言ってるのか分からない。

不思議がる児童六人を前に、金ごんだけが騒がしい。
「どうして起ったのか聞いてるのよっ!
三島君っ、答えなさいっ!」

悠はおちんちんを丸出しにしたまま、答える術が無さそうである。
「…先生、分かりません…」

漸く出た返事に、金ごんはふんっと鼻息を荒くした。
そして悠を見据えながら、
「…三島君、あなた女子の測定を覗いたわね?」
と呟いた。

その言葉に女子はざわめき、悠は大きく目を見開いた。
彼は慌てて、
「ぼ、僕、見てませんっ!」
と否定する。

否定されて自説を退く程金ごんは甘くない。
というより、自説をとことん貫くタイプの妖怪だ。

金田「じゃあ、なぜ起ったのっ!?
正直に言いなさいっ!
女子の測定を覗いたから大きくなったんでしょっ!」

私達女子には、その理由が分からない。

悠も相変わらず首を傾げるばかりだ。
その様子に、彼も覗きなどしていないと思える。


すると業を煮やしたのか、金ごんは悠の腕を掴み、
「あくまでもとぼけるなら、それでもいいわ。
素直に白状したくなるよう、躾てあげるから。」
と凄んだ。
そして私に向かって椅子を持ってくるよう指示する。

言われた通りにすると、
「女子はそこへ並んで今から始まる事をよく見てなさい。」
そう言って、金ごんは椅子に座った。

私達五人の女子は、とりあえず金ごんを囲むように並ぶ。

一体何が始まるのか。
私は妙に緊張してきた。

金田「じゃあ、三島君、こっちいらっしゃい。」
続いて金ごんは、掴んでいる悠の腕を強引に引き寄せ、彼を自身の膝の上へと誘う。

悠は短い悲鳴と共に、忽ち妖怪に身を預ける形となった。