PCR検査をめぐる主張の記録(2020年2月)

「無症状者を含む積極的なPCR検査が医療崩壊を招く」という主張が日本で始まった2020年2月。この1ヶ月間に着目し、15名の専門家・有識者・著名人 が主張した内容の論理展開を11要素に分解。発言者、11要素、時系列を踏まえ、あらゆる角度から徹底的に記録・検証します。
犬飼淳
2021.09.05
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こんにちは。犬飼淳です。

ここ1ヶ月ほどは横浜市長選挙に関するニュースレターが続いていましたが、今回は全く別のテーマを取り扱います。

2021年8月以降、首都圏を中心に救急車を呼んでも病院に搬送されずに亡くなるケースの報道が相次ぎ、ついに医療崩壊が現実のものとなりました。今現在、治療どころか検査も受けられずに過ごしている方々の苦しみは想像を絶するものがあると思います。

「医療崩壊」と言えば、新型コロナウイルス によるパンデミックが始まった1年半以上前から専門家・有識者・著名人が「無症状者にも積極的にPCR検査すると医療崩壊を招く」という趣旨の主張をテレビやツイッターで繰り返し、日本ではその認識が広く浸透していたと思います。実際、筆者の本業の職場でも、出張前にPCR検査の必要が生じた際に「偽陽性になって、本当は陰性なのに出張に行けなくなったらイヤだなぁ」という理由でPCR検査を避けたがる同僚がいました。(ちなみにこれは去年の話ではなく、今年春のつい最近の出来事です・・・)

さて、パンデミック初期から1年半以上が経過して、いよいよ実際に医療崩壊が起きたわけですが、「医療崩壊の原因は無症状者を含めた積極的なPCR検査だ」と言われると、強い違和感を覚える方が大半ではないでしょうか? 

というか、いまだにPCR検査を希望しても受けられない人が大勢いますよね? 

以下の国会質疑を見れば分かる通り、遅くとも2020年4月の時点で共産党や立憲民主党を始めとする野党は、政府に対して無症状者・軽症者も含めた積極的なPCR検査体制の拡充を訴え続けましたが、加藤勝信厚労大臣(当時)や安倍晋三総理(当時)はのらりくらりとかわすばかりでした。この時点で既に「積極的なPCR検査が医療崩壊を招く」という認識が一般に浸透していたため、一般国民としても検査を受けたいと言いにくい状況があったと記憶しています。

そこで今回のニュースレターでは、「無症状者を含む積極的なPCR検査が医療崩壊を招く」という、世界的にも日本でしか見られない独自の主張はいったい何だったのか。いつ、どのようにして、誰が唱え始めたのかを徹底的に検証したいと思います。

まず、この主張の論理展開は大きく11個の要素から成り立っていると考えられます。

そこで、この主張が日本で一気に広がった2020年2月の1ヶ月間(2/1~2/29の29日間)に着目し、この主張を唱えた専門家・有識者・著名人 15 名 のツイート 全33件を確認し、11個の要素別に整理。また、当時の世の中の動き(ダイヤモンドプリンセス号の検疫失敗、厚労省による受診目安「発熱37.5度以上、4日以上」ルールの発表、など)を踏まえ、この主張のルーツを時系列でも検証します。

先に断っておきますが、これまで私が発信してきたニュースレターとは全く比較にならないほど桁違いに長く、重く、暗い内容になっています。

身近に感染者や犠牲者がいる方、ご自身が感染して大変な思いをしている方にとっては読むことも辛いと想像されます。総文字数は2万字弱、スライドは12枚に及ぶので、まとまった時間がある時に覚悟して読み始めることをおすすめします。

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