なぜ、バスの自動運転は無理だと現役バス運転手は思うのか?

バス運転手の日常
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バスの完全自動運転化は無理であると断言する

バスの完全自動運転化は無理であると断言します。

その根拠をこのページで解説します。

筆者は都内で路線バス運転手としてのキャリアが14年目を迎える現役バス運転手です。

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ドライバーがみんな職を失うのは非常に遠い未来

まず言いたいのは私を含め、プロドライバーが自動運転によって職を失うのは非常に遠い未来であるということです。

だって無理ですよ。

バスの自動運転なんて。

ついでに言うならタクシーも無理です。

これらの二種免ドライバーの仕事が自動化できるってあくまで期待論ですよ。

上手くいっているときのことしか考えていない、現場のことなんかまったく知らない会社の上層部とか「自称専門家」だけが言っていることです。

現場の人間、現役のプロドライバーから言わせれば自動運転なんか無理ですよ。

そりゃ、何十年も先の未来はわかりませんよ。

未来永劫ず~っと無理、なんて言いませんよ。

でも、当面。

私や、今これを読んでいるあなたが生きている間くらいに実現すればいいのかな?って感じです。

こう言い切る根拠をこれから解説します。

なので、これからバスやタクシーのドライバーになろうかなって思っているけど、自動運転が実現したらクビにされちゃうよって不安な気持ちでいるなら。

その心配はいりません。

プロドライバーの仕事がなくなる日はそうそう来ません。

むしろこれからもこの業界の人手不足はさらに深刻化します。

安心して仲間になってください!

自動運転の車はほかの交通者が完全に法律を守る前提である

自動運転の車はほかの交通者が完全に法律を守る前提でプログラムされるはず。

  • みんな道路交通法を守る。
  • みんな交通マナーを守る。
  • 信号無視なんかする人はいないはず。
  • 死角から飛び出してくる自転車なんかいないはず。
  • バスが近づいてきているのにわざとスレスレを歩く人なんかいないはず。

こんな感じの性善説的なプログラムで行くはずですよ。

もちろん、安全確保のためのセンサーとか危険感知のためのシステムもたっぷりと搭載されるでしょう。

また道路側にもセンサーとか、死角にもカメラをつけてほかの交通者が来ることを感知して危険の接近を車に伝えるってことをするんでしょうけど。

全ての交差点、すべての路地にこれを取り付けられる日っていつになるんでしょうか。

それにAIが状況判断をするんでしょ?

歩行者が近くにいるってだけで急ブレーキかけまくりで定時運行なんかできないでしょう。

街全体、社会のインフラ自体が変わる必要がある

自動車の自動運転実現は街全体、社会のインフラ自体が変わる必要があるはずです。

おそらく車両にセンサーを付けて半径○○センチ以内に障害物が近づいたら安全装置が働いてブレーキがかかるってなるでしょう。

例えば狭い商店街を縫うように走る路線なんかを運行するには?

緊急停止しっぱなしでしょう。

しかも、わざと目の前横切ったり、そでがかするほどの至近距離を歩いたり、目の前をのんびり先導するように歩いてクラクションを鳴らされるとキレたり。

こんな人間の非常識さをAIが判断できるのでしょうか?

センサーだけでこれを感知・予測できるのでしょうか?

自動運転が実現するためには

  • 道路幅を広げたり
  • 車道と歩道を完全に分けたり
  • 車道に歩行者が侵入できない構造にしたり
  • 信号無視ができない、違反したらペナルティを科せるようにしたり

このように街全体のインフラから変えないと自動運転なんか無理ですよ。

これを既存の地域ができるかは疑問です。

1からこの前提で街づくりから始めるならできるでしょうけど。

まずは実験的にニュータウンを作ってそこから始まるのが現実的でしょう。

バスやタクシーは客の対応が必要である

バスやタクシーの場合は客の対応が必要ですよ。

誰もがすんなり黙って金払って黙って降りていく、こんなわけないですよ。

  • このバスはどこ行き?
  • ○○はどこで降りる?
  • 忘れ物したけど届いてる?

こんな質問は毎日あります。

自動運転の場合、これにはだれが答えるんですか?

案内板に書いてあるからわかるだろって、それなら今からこんな質問来ないはずです。

他にも、昼間なんか客の7~8割くらいは高齢者です。

足が上がらない、荷物を持ち上げられない、財布を出せない・開けられない、痴呆で自分の名前もわからない、そそうをしてズボンを濡らして乗ってくることもあります。

自動運転の場合、これの対応は誰がするんですか?

つまり、バスやタクシーの場合、自動運転にしても接客係は乗っている必要があります。

1台につき一人必要です。

これじゃ今と変わらないですよ。

人手不足の解消にはなりません。

運転しないから安月給で良いってことならやりたがる人いませんよ。

これじゃ人件費の削減効果は期待できません。

「自動運転が実現できる」は希望的観測

「バスは完全自動運転化ができる」と言っているのは現場を知らない人間の希望的観測である、と声を大にして言いたい。

上手くいっているときのことしか考えていない、現場のことなんかまったく知らない会社の上層部とか「自称専門家」だけが言っていることです。

現場の人間、現役のプロドライバーから言わせれば自動運転なんか無理ですよ。

特にバスやタクシーの場合は。

普通車でも当面は高速道路だけ、とか限定的です。

なので近い将来クビにされるかもって不安を抱いている同業者やこれからなろうと思っている人。

そんな心配いらないよ、と断言します。

以上、なぜ、バスの自動運転は無理だと現役バス運転手は思うのか?でした。

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