バス運転手の労働時間の解説
バス運転手の労働時間について、現状と問題点を解説します。
筆者は都内で路線バス運転手としてのキャリアが14年目を迎える現役バス運転手です。
特にバス運転手を目指している人に読んでもらい、もしバス運転手になったらどういう勤務をするのかを知ってもらいたいです。
また、毎日通勤などでバスを利用している人に読んでもらえば、自分がどういう乗り物に命を預けているのか、現状を知ってもらえる記事になっています。
参考資料としてバス運転者の労働時間等の改善基準のポイントへのリンクも張っておきます。
これは厚生労働省労働基準局が平成26年に発表したものです。
バス事業者の勤務関係はこれに従っています。
内容は難しいのでリンク先を見るよりはこの記事読んでもらったほうが理解しやすいと思います。
バス運転手の労働時間の基本は1日13時間以内
バス運転手の労働時間の基本は1日で13時間以内と決まっています。
普通の業種だと1日8時間ですよね。
これがバス運転手の場合、13時間なんですよ。
基本でですよ。
いかに長時間の勤務かが分かるでしょう。
これをお国が認めてるわけです。
また、1週当たりの労働時間は原則65時間まで、となっています。
13時間×5日=65時間なんですよ。
普通の業種だと1週当たり40時間が基準ですよね。
普通の業種より1週当たり25時間も多く働くことになっています。
厳しいですね。
さらに労使協定を結んでいれば1週間当たり71.5時間までに延長できます。
この労使協定は多くの労働組合が認めているので実質1週当たり71.5時間まで働かせても会社は法令違反にならないんです。
これによってさらに長い勤務時間になります。
バス運転手の労働時間は1日最長16時間まで
バス運転手の労働時間は1日最長で16時間まで、と決まっています。
13時間は基本です。
さらに勤務時間を16時間まで伸ばすこともできます。
ただし、15時間を超える勤務は1週間につき2回までが限度になっています。
- 1日目:16時間勤務
- 2日目:16時間勤務
- 3日目:15時間勤務
- 4日目:15時間勤務
- 5日目:15時間勤務
- 6日目:休日
- 7日目:休日
上記のような週間スケジュールはザラにあります。
詳しくは割愛しますが、前の項の1週当たり71.5時間は「平均でここまで」なのでたまになら超えてもいいんです。
16時間まで勤務時間があるのを会社によっては「再乗」と呼びます。
再び乗ると読んで字のごとし、早番と遅番両方やる勤務のことです。
さらに人手不足なので休日出勤もよくあります。
参考記事:↓こちらもどうぞ。
休息時間(勤務間インターバル)は8時間
勤務から翌日勤務までの休息時間は8時間でOKなんです。
勤務から翌日勤務までの休息時間って、一般的な言葉だと「勤務間インターバル」って言いますね。
これ、バスの運転手は8時間しかないんです。
他の業種より短いですよね。
通勤時間や身支度の時間などを差し引くと睡眠時間は5時間程度になります。
寝なきゃいけない業種なのにこれしか時間がないんです。
先ほど勤務時間は最長16時間と書きましたが、勤務間インターバルの8時間を合わせると
・16時間+8時間=24時間
となるんですよ。
上手くできてますね~
「16時間8時間」なんてのが業界用語みたいになっています。
「拘束時間」と「休息時間」
バス運転手の場合、勤務時間のことを拘束時間と言います。
また、勤務間インターバルの時間を休息時間、または開放時間とも言います。
勤務中は拘束されていて、勤務時間外なのに休息とか開放と言うって・・・
まるで常に管理下に置かれているみたいですね。
拘束時間のうち休憩時間は給料にならない?
拘束時間のうち休憩時間は給料にならない会社もあります。
これは会社によっても異なるので業界全てではありませんが。
一般的には休憩時間は給料は出ません。
運転している時間(ハンドル時間)だけを勤務時間としているバス会社が多いです。
例えば朝の通勤ラッシュの時間に乗務して、昼間は長~い休憩時間があって夕方の通勤ラッシュにまた乗務する。
こんな勤務時間でも時間外手当はなし、って会社も多いです。
この運転時間+休憩時間=拘束時間がよくあるパターンです。
バス運転手が勤務時間のわりに給料が安いのはこの辺の制度からくるものですね~
この長~い休憩時間を会社によって「中休」、「中休憩」、「中間開放」などと呼びます。
連続運転時間は4時間まで
バスは連続運転時間は4時間まで、4時間の運転ごとに30分の休憩を与えるとなっています。
なので4時間走って30分休憩、4時間走って30分休憩、4時間走って30分休憩・・・なんてこともあります。
前項では休憩ばっかりで金にならないって話を書きましたが、逆に走りっぱなしでヘトヘトになるってこともあるんですよ。
今回はここまでにします。
この記事の内容はあくまで「法律上は」って話です。
会社によってはもっと運転手を大事にしてくれる会社もあるでしょう。
(私の勤務先は「運転手はバスの部品」って会社ですが)
この記事が気に入っていただけたらSNSでの拡散やフォロー、同業者の方には「うちの会社はこんなだよ~」みたいなコメントをもらえたら嬉しいです。
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