拘置所に加工封筒の廃棄求められたのは違法 死刑囚の訴え認め1審破棄

 

 三重県四日市市で古美術商ら2人を殺害し現金を奪った強盗殺人罪などに問われ、死刑判決が確定した山口益生死刑囚(67)が、切手入れ用に加工した封筒などの廃棄を収容先の名古屋拘置所に求められたのは違法として、60万円の損害賠償を国に求めた控訴審判決で、名古屋高裁は25日、請求を棄却した1審判決を破棄し、慰謝料として8万円の支払いを命じた。

 藤山雅行裁判長は、封筒を切断して袋の部分を切手入れに使う行為を「一般社会で通常に行われている」と判断。万年筆などのインクを拭く「吸い取り紙」や、便箋に付属する台紙へのメモ書きについても、不正使用だとして廃棄を求めた拘置所の対応を違法とした。

 平成27年10月の名古屋地裁判決は、収容者が許可を受けずに日用品を通常の用途以外で使うのは不正に当たるとする国側の主張を認めた。

 名古屋拘置所は「判決内容を精査し、関係機関と協議した上で適切に対応したい」としている。