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真相解明に尽力誓う 矢島祥子さんしのび集会

2021年11月24日

 “さっちゃん先生”と親しみを込めて呼ばれ、西成区の愛隣(あいりん)地区(通称・釡ケ崎)で献身的な医療活動をする中で死因不明のまま33歳の若さで亡くなった医師、矢島祥子さんをしのぶ集会「矢島祥子と共に歩む集い」(同実行委員会主催)が浪速区のピースクラブで開かれた。矢島さんを慕う釡ケ崎の労働者らが参加し、今後も矢島さんが亡くなった真相解明に尽力することを誓った。

「さっちゃん先生」の遺影(左)を飾り、参加者全員で祥子さんへの哀悼歌「祥(さっ)ちゃんの聴診器」を歌う「矢島祥子と共に歩む集い」=大阪市浪速区のピースクラブ 

 矢島さんは2009年11月、木津川の千本松渡船場で水死体で発見された。遺体発見当初は自殺説が出て、大阪府警からも翌年家族に対し、「自殺のため捜査打ち切り」の説明が行われたが、遺体状況から医師でもある両親が反論。12年8月、西成署は両親から出された死体遺棄事件および殺人事件の告訴状を受理した。

 今年3月に開かれた府議会での「女性医師変死事案」を巡る捜査状況の質問に対し、大阪府警の井上一志本部長は「『犯罪の疑いあり』と考え、捜査しているが、『犯罪である』と明確に断定できる状況に至っておらず、事件と事故の両方から捜査している」と答弁している。

 14日、開かれた集会で祥子さんの父祥吉さんは「娘が亡くなって12年間一貫して自殺ではないと、私たち家族は言い続けてきた。警察もきっちりと捜査していると言っていただいているので、2~3年のうちに真相が解明できると信じています」と述べた。

 また、集会では支援者で演歌「釡ケ崎人情」のヒット曲などで知られる作詞家もず唱平さんが「私が祥子さんにできることは、詩を書くこと」と祥子さんへの哀悼歌「祥(さっ)ちゃんの聴診器」(作曲・矢島敏 歌・高橋樺子)を来年3月をめどにリリースすることを明らかにした。