愛で愛でエイシンフラッシュ
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その日、エイシンフラッシュは激昂した。
書いていたスケジュール帳のページを破り捨て、ミニサイズのホワイトボードを取り出すと字を書き殴る。
それを持って向かうはトレーナー室。
乱暴に扉を開けるとトレーナーが驚いた様子でこちらを見るが関係ない。トレーナーの作業机のパソコンに被らないようにして、ホワイトボードを叩きつけた。
「…フラッシュ?」
「…ていです」
「え?」
「こちらが!!本日の!!予定です!!!」
ウマ娘の力によって叩きつけられたホワイトボードからはわずかに煙が上がっている。
何故フラッシュがここまで怒っているのかわからないトレーナーは、ひとまず書かれている内容を読んだ。
「今日の予定…『私を甘やかすこと』…?」
「そうです」
頭に?を浮かべるトレーナーにフラッシュは懇切丁寧に語り始めた。
「トレーナーさんとお付き合いを始めて1ヶ月…イチャイチャのイの字もありません!どうして真面目に業務をこなしてるんですか!私にも構ってください!貴方の彼女なんですよ!」
「いや、まだ学園に身を置いてる娘にそういう噂が立つのはまずいと思って…」
「学園のセキュリティを甘く見ないでください!扉の前には警備員、校内ではたづなさんが巡回しています。この部屋に付いている防音機能だってマンションを遥かに超えるんですよ!」
担当とトレーナーの関係だけであれば今の対応は正解だろう。しかし、そこに恋人関係が入れば話は別だ。
愛しい彼が求めてくれない。ハグすらない。
日々の寂しさが重なり今日、フラストレーションが爆発した。
「トレーナーさんが私に構わない限り、私はここから離れません。外泊届も提出してきたので、門限うんぬんの理由は通じませんよ」
スケジュール通りに遂行しようとする彼女が持っている頑固さ。それがいま現れた。
これ以上の説得は無駄だと感じたトレーナーはため息を1つ吐いてパソコンを閉じるとソファへ向かう。
太ももを軽く叩くとフラッシュがその上に対面で乗った。
「…膝枕をしようと思ったんだけど」
「これがいいです」
「わがまま…」
「誰のせいだと思ってるんですか?」
器用に耳で頭を叩くフラッシュは、トレーナーの肩に頭を乗せて御立腹だ。
「…寂しかったんですよ。トレーナーさんとの時間ができるようにスケジュールを組んできたのに、仕事と言われて帰されて…」
ワイシャツを掴む手に力が入る。
「なので今日は今までの分、愛でてもらいますから…ね?」
「…仰せのままに」
「それではまず、トレーナーさんのワイシャツを貸してください」
「最初にしては重くない?」
「以前彼シャツというものをファルコンさんの持っていた雑誌で読みまして」
「ファルコぉン…」
「というわけなので、トレーナーさんのワイシャツを貸してください」
「すでに持ってるじゃん…」
「では、許可を得たということで」
フラッシュは半ば強引に許可を得ると、腕に掛けた洗濯済みのワイシャツをカーテンの奥に隠れて着替え始める。
洗濯しているといっても何年も着ていれば、ウマ娘の嗅覚で捉えられるくらいには匂いが残る。
トレーナーの体格が大きいため、第1ボタンまで難なく閉じることができた。
フラッシュがカーテンから出てきたと同時にトレーナーは目を背けた。
「…どうして目を背けるんですか」
「…見えてるからだよ。下着が」
ワイシャツから透ける黒の下着。
トレーナーの指摘に、フラッシュは満面の笑みを浮かべてトレーナーに抱きつく。
「いいんですよ?見ても。貴方の愛バなんですから」
そういう視線も、トレーナーからは向けられたい。それは少なくとも、意識されているということだから。
「ひゃんっ!」
突如、頭部より上から快感が襲う。
トレーナーの手がフラッシュの耳に伸びて、感触を楽しむように触り方が変化する。
「耳は…やめてぇ…」
「そんなに気持ちよさそうにしてるのに?」
言葉とは裏腹に、フラッシュの耳が近づいてくる。
美しい黒い毛並みを持った彼女の耳。
その先端を、食んだ。
「あぐぅっ!とれーなーさっ…やめ…」
フラッシュの静止など気にも留めず、唇を動かす。その度にフラッシュの身体が震える。
両腕はフラッシュが抱きついた際に背中に回したため、簡単には逃げられない。
食むリズムは不規則で、フラッシュは小さく喘ぎ続ける。
両耳をいじめようかと思ったトレーナーだが、良心で踏みとどまった。
唇を離すと毛が湿っていた。
「大丈夫?フラッシュ」
「らいりょうふら…ないれす…」
顔を上げたフラッシュは目は潤み、呂律も回っていなかった。
「ほら、撫で撫でしてあげる」
「ふぁい…」
トレーナーの胸板に顔をうずめたフラッシュの頭を撫でる。
撫で心地の良い髪は詰まることなく指から落ちていく。
「トレーナーさんの匂い、好きです…」
「…汗臭くない?」
「いえ、とってもいい匂いです。すぅ〜…はぁ〜…」
彼女は匂いフェチかもしれない。レースで勝った際のご褒美がトレーナーとハグをすることだったが、あれはこっそりと自分の匂いを嗅いでいるのではないかと思い始めた。
撫でる手を止め、フラッシュの髪に鼻を押し付けた。
甘い香りが鼻腔を抜けていく。
「!!!」
なにをされているか感づいたフラッシュは抜け出そうとするが、
「フラッシュもやってるからやめては無しだよ?」
トレーナーの言葉で大人しくなった。
「…いいです。トレーナーさんの匂い、いっぱい吸いますから」
しばらく2人は抱き合って、お互いの匂いを堪能した。
ハグを終え、次にフラッシュが頼んだのは尻尾のブラッシングだった。
トレーナー室に置いてあるウマ娘の尻尾用のブラシを手に取り、フラッシュの尻尾の毛を梳かす。
ここまではいい。問題は、
「ふぅ…んっ…」
「…集中できないんだけど」
「尻尾は…敏感なんですよぉ…」
尻尾の本体に触れるだけで、彼女が甘い声を出すことだ。
例えるなら、自分でくすぐってもなにも感じないが、他人からやられるとくすぐったく感じるようなものだろう。
耳と同様に尻尾も敏感な部位。故に触れられるだけで声が漏れてしまうのだ。
「口抑えてて。すぐに終わらせるから」
「やらなかった場合は…?」
「尻尾を思いっきり握る」
右手で口を抑え、左手でトレーナーの服の裾を掴む。
「ふぅ…ふっ…んんっ…」
(ふぅ〜…煩悩退散…煩悩退散…)
邪な感情を払い、ブラッシングを続ける。
きっちり揃えられた毛は照明に当てられ輝いて見えた。
「はぁ…終わったよ。フラッシュ」
煩悩に打ち勝ったトレーナーはブラシを元の位置に戻し、フラッシュに呼びかける。が、返事がない。
「フラッシュ?」
フラッシュの肩に触れようとしたその時、視点が動いた。
ソファの肘当てと座面の接合部あたりに頭が収まり、そこに影が落ちる。
紺碧の瞳が、捕食せんとばかりにこちらを見ていた。
「ごめんなさいトレーナーさん」
トレーナーの頬を優しく撫で、
「スイッチ、入っちゃいました♡」
そう告げた。
距離が縮まり、トレーナーの視界に映ったのは、愛しい彼女の獣の目だった。