今年も1年を締めくくる競輪界最大のイベント『KEIRINグランプリ06』の時期がやってきた。平成15年 以来となる京王閣競輪場を舞台に、優勝賞金1億円を懸けて12月30日に行われる。一発勝負のこのレースの勝者が競輪No.1の称号と賞金王の栄冠に輝く。傑出者はいないが、新時代の旗手として期待される山崎芳仁の走りにファンの注目が集まりそうだ。06年の掉尾を飾り、競輪史に名を刻むのは果たして誰か?
輪界を代表する9人だけに、誰が優勝してもおかしくないが、山崎芳仁―佐藤慎太郎―有坂直樹の東北勢が総合的な戦力で一歩リードしている。本命に推した山崎は、昨年のヤンググランプリに始まり、東王座戦、高松宮記念杯とビッグレースを次々に制覇。一気に輪界のトップスターへと駆け上がった。目標にしていた地元の全日本選抜は準決勝敗退という悔しい結果に終わったが、動き自体は悪くなかったし、GPには影響しないだろう。強地脚を生かしたタテ攻撃には一段と磨きがかかっているし、11月の当所記念はオール連対で優勝するなど、このバンクも得意にしている。ここでも臆することなく実力を発揮し、真価を見せ付けよう。山崎にマークするのは兄弟子の佐藤だ。11月以降は勝ち星がなく、全日本選抜で落車した影響も心配されるが、本番までにはきっちり立て直してくるはず。別線の機動型がどうこのラインを封じにかかるかは分からないが、視野の広さと巧みなレースさばきで山崎をリードし、直線での一騎打ちに持ち込みたい。三番手の有坂も好調をキープしている。山崎の先行確率が高いだけに、連候補からは外せない。
一方、合志正臣の参戦で、ラインの厚みを増した九州勢も互角以上の戦いが期待できる。吉岡稔真、井上昌己のどちらがラインの先頭で戦うかによって、レースの流れは大きく変わってきそうだ。9月以降はリズムを崩している吉岡だが、全日本選抜を欠場し、この一戦に照準を合わせて調整中。体調さえ戻れば、ファンを魅了する豪快な走りを見せてくれるだろう。合志は全日本選抜を制し、タイトルホルダーの仲間入り。ラインの三番手からでも突き抜ける脚を持っているだけに、軽視できない存在だ。井上は共同通信社杯の落車で粉砕骨折の重傷を負った。全日本選抜の動きを見る限り、本調子に戻るまでにはまだ時間がかかりそうだ。
手島慶介は今年も常に勝つ組み立てで、自分の競走スタイルにこだわった。11月のふるさとダービー防府では、武田豊の先行を四番手からまくってGII初Vを飾っている。年間を通してG戦線で安定した走りを見せたことは一流の証しだが、右肋骨骨折の影響で全日本選抜は本来の動きではなかった。本番までにどれだけ回復するかが鍵になる。作戦は中団からのまくりか先行の番手勝負だろう。手島と連係する後閑信一は近況今ひとつ物足りないが、ここに来て直線の切れ味は戻りつつある。手島が後手を踏むことは考えられないので、十分勝負権のある位置だ。目標不在の小倉竜二も道中で脚をうまく溜められれば、最後はコースを探して突っ込んでくる。
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