古性が初出場V グランプリ 【静岡】
静岡競輪の「KEIRINグランプリ2021シリーズ」は30日、最終11RでGP「KEIRINグランプリ2021」(優勝賞金1億830万円)があり、単騎だった古性優作(30)=大阪・100期・SS=が、関東ラインの後ろから終2角4番手捲りを放って圧勝ゴール。大阪勢では初、近畿勢では18年の三谷竜生(奈良)以来、3年ぶり4人目のGP王者となった。年間の取得賞金は2億1056万1000円で、初の賞金王にも輝いた。年間賞金の2億円超えはのべ10人目。人気を集めた平原康多は2車身差の2着。直線で5番手から伸びた郡司浩平が3着に入った。GPシリーズ(28~30日)の車券売上額は129億5336万円(目標120億円、昨年117億2516万円)と盛況だった。
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ぶっちぎりのゴールだった。1角スタンドにヘルメットを投げ込み、車上で両手のガッツポーズを繰り返した。控えめな言動が多い古性でも、その喜びが爆発するVだった。
初のGPだったが、度胸と脚力をファンの目に焼き付けた。初手は先行が予想された関東勢後位。終2角で逃げた吉田をマークする宿口が自力発動。ほぼ同時に踏み出した古性は、3角ではもう先頭に立った。「直線が長く感じました。郡司君が自分の後ろだったので、絶対に来ると思っていたけど、あれ? けーへん、けーへん(来ない、来ない)、何でかなと…」。2着平原に2車身差をつける完勝。「熱いファンのみなさんのおかげです。何より家族、近畿の先輩方に感謝したい。今回、郡山久二さん(55期=引退)にも練習をつけてもらいました」と感謝を忘れなかった。
近畿のスピードスター脇本雄太は、腰を痛めて欠場中。「脇本さんにG1を取らせてもらったが、自分の力でも取れると証明したかった」。数年前までは、勝っても「こんなレースをするからG1で通用しないんです」と、競走内容への反省を続けた。その繰り返しで近畿の、いや輪界の主役へと躍り出た。8月オールスターでのG1初Vも、今回のGP制覇も、4番車の青い勝負服でのもの。だが来年は、1番車のチャンピオンユニフォームで戦う。「ちょっと荷が重いですね」と言いながら、「来年は1人では心細いので、自分の力で近畿勢がグランプリを走れるよう頑張りたい」とすでに、近畿の主軸としての自覚は芽生えている。
賞金の使い道は「強くなるための投資に使いたい」ときっぱり。来年は脇本との二枚看板を掲げる近畿が、王国を築くことになりそうだ。 (野口雅洋)