2021/12/0606:00
連載「守の起源」

【16=最終回】次は調教師としてダービー制覇をメイショウサムソン産駒、武豊で…

 今年の日本ダービーにはメイショウサムソン産駒のサムソンズプライドが出ていた。あの馬はサムソンの11戦目を上回る12戦目でダービーに出走していて、すごくイメージがダブった。

 あのサムソンの勝負根性を子供たちがどう受け継いでいたかを知りたかったけど、結果は17着。あのレースでは現実にはならなかったね。騎手としては完全燃焼したつもりだったけど、唯一悔いが残るとすればサムソンの子供にレースで乗れなかったことになるね。

 来年以降に厩舎を開業する予定だけど、最終的な目標は調教師としてもダービーを勝つこと。今年は南井さんや岩元先生が騎手と調教師としてのダービー制覇を目指した(南井厩舎タマモベストプレイ8着、岩元厩舎ミヤジタイガ18着)けど、過去に達成したのは3人(※注)しかいない偉業だからね。出走することでさえ難しいダービーを勝つのはそう簡単なことではないけど、それが松本好雄オーナーの所有馬、そしてメイショウサムソン産駒、鞍上・武豊なら言うことはないね。

 落馬のけがでなかなか思うような騎乗ができずにユタカも苦しんでいたけど、今回のダービーで完全復活(キズナで優勝)をしてくれたし、まだまだ現役で頑張ってくれるだろうからね。今の勢いなら、こっちが乗るのを断られるかもしれないね(笑い)。

 騎手人生を振り返ればたくさんの人との縁があって出会えた馬が多かったし、先輩や後輩たちに恵まれてボクが持っていた実力以上のものをレースで発揮できたのかもしれない。それだけに常に人への感謝、馬への愛情を忘れてはならないと思っているし、この先も調教師としてこの信念を持って携わっていきたい。

 これからは馬主さんとの折衝や従業員の生活…経営者になるボクによるところが大きくなってくるし、不安な気持ちもある。今はセールや牧場に顔を出して相馬眼を鍛えていかないといけないし、治療ひとつにしても騎手では経験できないことだから覚えていくこともたくさんある。

 今の日本の競馬はファン離れが深刻でボクたちも危機感を持ってやっている。ファンの方々と一緒に喜びを分かち合えるような馬を多く育てていきたい。

 騎手人生と同様、常に感謝の気持ち、馬への愛情を持って次の夢である「ダービートレーナー」へと突き進んでいくので、皆さんも温かく見守って応援してください。

 ※注 騎手と調教師の両方の立場で日本ダービーを制したのは大久保房松、二本柳俊夫、橋本輝雄の3氏。直近の橋本輝雄氏でも達成は1987年。以後“二刀流制覇”は30年近く出ていない。

メイショウサムソンで勝った日本ダービーは騎手・石橋守の集大成(06年)。今後は調教師として頂上戦勝利を目指

 ☆いしばし・まもる 1966年10月23日、福岡県生まれ。82年に騎手課程第1期生として競馬学校へ入学。85年3月に栗東・境直行厩舎所属でデビュー。同年3月3日の阪神競馬で初騎乗初勝利を達成。この年に25勝を挙げ最優秀新人賞を獲得した。初重賞勝ちは92年京阪杯(ミスタースペイン)。96年にはライブリマウントとのコンビで第1回ドバイワールドCに挑戦。2006年皐月賞をメイショウサムソンで制してGⅠ初勝利を果たし、同年のダービーにも優勝して2冠獲得。13年に調教師免許を取得して騎手を引退。JRA通算成績は473勝で、重賞勝ちは15。

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この記事を書いた記者

東スポ競馬編集部
東スポ競馬編集部

 アナログでの紙面制作に携わり続けるも、突然のWeb編集部への転向で進化したデジタル世界を知りおったまげる。読者の方々にどうやったら喜んでもらえるか日々悩みながら「明るく楽しく、やるときはやる」をモットーに奮闘中。引き出しにはお菓子が欠かせない。

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