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オミクロン株 東京都の市中感染の可能性 必要な対応は? 専門家に聞いた

  • 2021年12月23日

新型コロナウイルスの変異ウイルス「オミクロン株」の市中感染とみられる感染者が12月22日、大阪府で初めて確認されました。専門家は、東京都をはじめ各地で市中感染が起きてもおかしくないと指摘しています。オミクロン株を念頭においた年末年始かけて求められる対応についての専門家の見解や、東京都の医療体制強化策などについてまとめました。

東京都などオミクロン株の感染の状況は

新型コロナウイルスの変異ウイルス「オミクロン株」の市中感染とみられる感染者が12月22日、大阪府で初めて確認されました。国内でオミクロン株への感染がこれまでに確認された人はあわせて160人で、このうち東京都内では21日までに6人の感染が確認されています。

新型コロナの全体の感染者は、少ないものの増加傾向が続いています。厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、21日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.35倍となりました。

このうち首都圏の1都3県では、東京都で1.49倍、神奈川県で1.64倍、埼玉県で1.16倍と増加していて、千葉県で0.98倍と横ばいとなっています。

国内で直近に海外への渡航歴がない市中感染とみられるオミクロン株への感染者が確認されたことについて、「東京iCDC」専門家ボードの座長で東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授と、厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授の2人の専門家に、警戒すべき点や必要な対応などについて聞きました。

“市中感染の可能性は各地で 風邪の症状でも受診を”

東北医科薬科大学 賀来満夫 特任教授

〇国内のどこでも市中感染が起きる可能性
オミクロン株の市中感染とみられるケースが出てきたことについては、非常に厳しく見ていかなければならないと思います。世界的な状況を見てもオミクロン株は、アルファ株やデルタ株よりも、感染力がはるかに強く、いつ国内で市中感染が起きてもおかしくない状況で、東京や名古屋、そのほかの都市でも市中感染やクラスターが起こる可能性があると考えて対応していかなければならないと思います。

〇風邪の症状でも感染を疑って
オミクロン株の病原性については、まだはっきりしませんが、初期の症状は、比較的軽いことが多いなどと報告されています。また、新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合に、症状が軽くなるということがあります。だからこそ注意しなければなりません。
風邪のような症状であっても、オミクロン株による感染を疑っていく、軽いかなと思っても、より早く検査を受けて、早期に診断をしていくことが必要です。検査・診断体制をより強化していく必要もあると思います。

〇危機意識をもって年末年始の行動を
いま国内は、新型コロナの新規陽性者数が、ある程度、沈静化していますが、オミクロン株が出てきたことで、もう一度、危機意識を強く持つことが必要になると思います。
人の移動が多くなると、感染リスクは増しますので、年末年始にオミクロン株の感染が全国的に広がることも懸念されます。忘年会や新年会、あるいは帰省をやめるということではありませんが、細心の注意を払っていただきたい。オミクロン株は感染力が非常に強いので基本的な感染症対策をより一層徹底して守っていっていただきたいと思います。そして3回目のワクチン接種、ブースター接種をしっかりと進めていくこと、医療体制の充実とともに総合的な対応が強く求められると思います。それが第6波の拡大をできるだけ防いでいくことにつながっていくと思います。

“感染広がっていると想定した対策の段階に”

国際医療福祉大学 和田耕治 教授

〇感染が広がっている可能性を想定
政府主導で早期に検疫を強化する前にも人々の移動があったということで、検疫を突破されることは十分に想定をしていたという状況です。いまの感染者は10日前の状況を見ていることになります。その10日間で感染が広がっていることを想定する必要があります。

〇行動制限など自治体の対応
今後は自治体でどう対策をしていくのかという段階に変わっていくことになります。ある地域で見つかった場合、(対策を)その周辺でするのか、それとも全県に広げるのか、生活圏などを考えながら、早期に難しい意思決定をして、できるだけ正月期間を安心して過ごせるようにするとことが求められると思います。

〇年末年始の診療体制
年末にかけて医療機関の受診が難しくなってくるため、感染の広がりがより見えにくくなってきます。自治体において、年末年始の休日の受診体制をどうするか。感染が増加してきた場合にどうするか。こういったことも含めて、この数日の間に考えておく必要があります。

東京都の対策 病床・宿泊療養施設増

新型コロナの新しい変異ウイルスオミクロン株の感染拡大に備え東京都は、対応策をまとめました。

それによりますと、都内でオミクロン株の新規陽性者が7日間平均でおおむね100人以上確認されるか、増加比で300%以上が2週間続いた場合は、病床を、最大で確保できる6891床まで一気に引き上げる方針です。現在はおよそ4600床を確保しているため、一気に2000床あまり増やすことになります。

また、宿泊療養施設の受け入れ可能な部屋数を、現在のおよそ3400室から年内におよそ4200室に、そして年明けにはおよそ4760室に順次、拡大するとしています。

濃厚接触者とされた人のうち、都内の関係者は12月21日の時点では、およそ1000人で、都内の「感染症指定医療機関」には、オミクロン株に感染した人や感染の疑いのある人が21日の時点でおよそ60人、入院しています。
都内では、オミクロン株の陽性が確認された人の濃厚接触者が増えていて、宿泊療養施設を増やして入ってもらうことで健康観察を徹底し、市中感染を防ぎたい考えです。

小池知事 “市中感染を懸念 医療提供体制を強化”

東京都 小池知事
「オミクロン株は世界中で猛威を振るい、かつてないスピードで拡大している。この脅威は、いま、日本、そして東京にも、確実に押し寄せてきている。人の動きが活発になり、気候は乾燥して、ただでさえ感染リスクが高まる時期であり、オミクロン株が市中感染すると、またたく間に感染の急拡大につながることが懸念される。先手、先手で、医療提供体制を強化するとともに、基本的な対策のさらなる徹底で、年末年始の感染拡大を防いでいく」

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