16年前、ユキちゃんの大ピンチ
コビレゴンドウ飼育員便り②
マリンワールド海の中道(福岡市東区)での飼育が11月30日で20周年を迎えたクジラの一種、コビレゴンドウのユキちゃん(推定33、34歳)。これまで大病もなく元気でいてくれていますが、実は“絶体絶命の危機”がありました。
2005年3月。そうです。福岡県を最大震度6弱の揺れが襲った福岡沖地震です。地震の揺れでユキちゃんがいた深さ5メートルのプールの配管が壊れ、水が抜けたのです。ユキちゃんは体長約3・8メートル、体重約600キロと非常に大きいため、移動させるのは容易ではありません。本当に大ピンチだったのですが、たまたま当館の敷地内にクレーン車があり、けが人を運ぶような担架をユキちゃん用に作り、近くのショープールに移すことができました。クレーン車がいたのは別の作業をするためで、普段は当館にいません。急に呼んでも地震直後であり、道路状況などを考えるとすぐに到着できなかった恐れもあります。もしクレーン車がなかったら、と思うと本当にぞっとしますね。
仲良しカマイルカとの「デコボココンビ」
当館には現在、ユキちゃんのほかイルカの仲間が計23匹いますが、ショーに出ているのはうち11匹です。二つのチームに分けて、交互に出演しています。チーム分けは相性などで決めます。ユキちゃんはハナゴンドウと相性があまり良くないようです。ハナゴンドウは、体が大きくてのんびり者のユキちゃんを時々からかうことがあるんです。そういう「いたずら好き」とは別のチームにしているのですよ。
一方で、ユキちゃんとすごく仲がいい子もいます。雌のカマイルカ、サンゴちゃん(推定22歳)です。体長は約2メートルとユキちゃんよりかなり小さく、寄り添って泳いだり、時にはおなかの上に乗ったりします。ショープールが映る西日本新聞meアプリのライブカメラで「でこぼこコンビ」の様子を見ることができるかもしれません。
ユキちゃんは豪快な高さ4メートルのジャンプやスピンジャンプに加え、尾びれで観客席に水をかける新たな技も習得しました。ぜひ、実際に当館へ来て、その迫力を楽しんでください。
(マリンワールド海の中道海洋動物課係長・木下克利さん)