政治・経済

野村の企業跡地 市が売却手続き開始 最低価格1憶3870万円 塩尻

塩尻市が公募型プロポーザル方式で売却する旧藤巻建設工業跡地

 塩尻市は、平成30(2018)年12月に故・藤牧喜美子さん=享年90=から寄付された広丘野村の旧藤牧建設工業跡地の売却を決め、13日に公募型プロポーザルの実施要領を公表した。土地・建物の最低売却価格は1億3870万円に設定する。売却で得た資金は、福祉の充実を求めた故人の遺志に沿って市が本年度に創設した「医学生奨学金制度」の基金積み増しに充てる方針だ。

 売却するのは国道19号沿いの金塚―九里巾交差点間に位置する工業地域で、綿半スーパー塩尻店の北隣。敷地面積3268平方メートルの細長い形状で、鉄骨鉄筋コンクリート造り3階建て事務所や木造住宅の計7棟、工作物や立ち木がある。現状での引き渡しとなる。
 公募の実施要領は24日まで公開・配布し、質問や現地確認もできる。市は土地活用の企画提案書を来年1月11日~24日に受け付け、2月2日にプレゼンテーションと聞き取り審査で売却先を決める。
 庁内の審査委員会(委員長・米窪健一朗副市長)が事業計画や運営計画、地域貢献の観点と価格調書で評価する。価格配点が7割を占める。売却先には、4月上旬に引き渡す予定だ。
 夫の死後に社長職を継ぎ、子供のいなかった藤牧さんは遺言執行人を通し「老人福祉に役立てて」との考えを添えて土地・建物のほか、現金も寄付した。市は現金2億2918万円で本年度、産科医療に携わる医師確保や地域医療の充実を図る「未来につなぐ医療確保基金」を創設した。
 市公共施設マネジメント課によると、今回の最低売却価格は、過去20年間の市有財産の処分では、平成20年度の広丘野村の土地(1億8900万円で売却)に次ぎ2番目に高い。23年度には市名誉市民の女性から寄付された東京中央区銀座の土地・建物(50.41平方メートル)を9500万円で不動産業者に売却している。