ベンガル紹介動画の撮影でガラス瓶撃ったら弾がこんなことになりました。
ガラスに負けて真鍮製のボディがちぎれとびました。
ガラス瓶は爆発四散させたましたがね。
前々から私は弾の威力というものについて考えてきました。
威力というとなんだか厨臭いですが、的を綺麗に貫通するのがいいのか、貫通せずにズタズタに引き裂くのがいいのか。そういうことをあれこれと考えてきたわけです。
これはスリングライフルだと、10mmダボの真っ直ぐな着弾と横転弾に例えることができます。
真っ直ぐな着弾はスチール製のツナ缶の底を4枚ほど撃ち抜けますが、(気温が低いと)水入りアルミ缶を破裂させることができません。
横転弾だとこれは逆転します。
粘土に撃つとよりわかりやすい結果を得られます。
真っ直ぐな着弾は深くまで潜りますが穴の膨張は少なく、横転弾は浅いですがよりよく膨張します。
弾のもつエネルギーは同じわけですから、クレーターの体積も同じになると予想できます。
私の好みはアルミ缶を破裂させる方ですが、弾が回転を始めるより前に当たれば破裂はせず、横転させるために距離をとっても正面やケツが当たってしまうことがあります。
横断面積を大きくするだけなら 重量はそのままで横転弾と同じ横断面積を持つ球形弾を使うという手がありますが、そうすると貫通力不足でフライパンとかを撃ち抜けなくなってしまいます。
両方のいいとこどりがしたいのです。
弾としては、標的に侵入するまでは抵抗を小さくするため横断面積が小さいほうがよく、標的侵入後は横断面積を大きくして効率よくエネルギーを伝達するのが理想です。つまり、ホローポイント弾(以下HP弾)のような弾です。
他にも、標的内で横転を起こして横断面積を大きくする7N6・SS190・4.8×30mmスプーンノーズ弾などがありますが、HPの方が横断面積は大きいです。
しかし、スリングライフルでHP弾を作るとなると手間がかかりますし、ライフリングもないので1mほどで横転して意味がなくなります。部屋撃ちだけならHPでもいいわけですが、庭撃ち(1〜10m)だと使えません。
なのでこう考えます。
「どうせ横転するんならマッシュルーミングよりタンブリングのほうがいい」と。
以上を総合すると、私が考える庭撃ち用スリングライフルの弾はこうです。
「至近距離では標的に着弾するまで正面を向いているが、着弾後(装甲貫徹後)に即座に転倒する」
つまりコレ
ビン撃って一部が抉られた10mmダボがこれをかなえてくれます。ようやく最初の話題をもって来れました。
この形状はスプーンノーズ弾(以下SN弾)と似たような効果をもたらします。
SN弾とは弾頭がスプーンで斜めに抉られたような弾のことで、弾頭に不均一な抵抗が掛かるため目標内部で転倒を起こします。画像の10mmダボもそれと似たような形状のため、似たようなことが起こるというわけです。
ただでさえ精度の悪いダボ弾の重心バランスを崩すことでより精度低下しますがね。だから「理想のスリングライフル弾」じゃなくて「理想の庭撃ち用スリングライフル弾」なわけです。
・粘土テスト
通常ダボ弾
入射口15.0mm
深度106.6mm
最大膨張19mm
最大膨張深度22mm
クレーターは円錐状になっています。
SNダボ弾
入射口13.9mm
深度80.0mm
最大膨張23.9mm
最大膨張深度39.6mm
ダボの全長が17mmで、入射口が13mmなので横転弾がそのまま当たったわけではありません。
粘土も途中から広がったようなクレーターです。つまり、中でタンブリングを起こしたという事です。
・水缶テスト
破裂はしませんでしたが、一缶だけでタンブリングします。
缶不足で1缶しか撃ちませんでしたが、多分2缶目で強烈に効くと思います。
残りのエネルギーで破裂させるのは難しいかもしれませんが……
ちゃんと機能しましたが、中途半端感は否めませんね。
まあいいか。
HP弾は弾の形状+材質+初速がうまく合わさって初めて機能するものになりますが、SN弾は弾の形状のみで材質は選びません。HPは初速が低下したり弾頭の穴がふさがると機能しませんが、SNはスリングライフル程度の初速でもタンブリングを起こすわけですから、実銃でもタングステンとか劣化ウランでSN弾を作れば装甲貫徹後にタンブリングを起こすいいとこどりの弾ができるんじゃないかな?と思います。ライフリングがあっても精度は低下すると思いますがね。
前に「弾の自作はしない」とコメ欄で書きましたが、それは1からこういう弾を作るのは精度も悪く量産も難しいと考えていたからで、既存の弾に小加工するだけなら量産もありかもしれません。