息子のミリタリーブログ

スリングライフルとかの自作飛び道具を作るブログです。数年前に有閑大学生から社畜にジョブチェンジして最近ルアーフィッシングにどハマリしたので性能低下中 ツイッター→https://twitter.com/model22ra1

連発式スリングライフル Model19RA1 Bengal

製作記ではちゃんとした紹介をしてなかったのでここでやります。
Model19RA1 Bengal


全長 136cm
重量 5Kg
口径 10mm(10mmケルダボもしくはそれに準ずる円柱形の弾のみ使用可)
加速距離 70cm
使用ゴム #40の平ゴム(折径160mm・幅21mm・厚さ1.1mm)4本
装弾数 4+1発
集弾性 10mでアルミ缶を外さない程度(まだちゃんと測定できていません)
初速  61mps (標準温度のとき。加速距離が同じときタロン2とベンガルは同じ初速とみなし、小数点以下は四捨五入する)
初速は気温によって変動するので、一年かけて5℃づつの表を作る予定です。
現在わかっているのは、25℃のほかに30℃→65mps 35℃→70mpsです。
動画





ベンガル型自動給弾機構のしくみ


給弾機構のキモとなるマガジンのフタ。 中央にフックが通る隙間があり、間隔をあけて左右にレバーが配置されています。
弾受けがこのレバーに当たってフタを動かし、シアがフックに掛かる位置でマガジンが完全に解放され、弾が上昇してきます。
マガジン上の上フレームにはL字に加工した鉄板を左右から張り付け、弾が横方向に逃げないようにしています。


コッキング時 フタは目いっぱい下がってマガジン解放
弾受けがフタのレバーに当たってフタを押し下げ、シアがフックに掛かる位置でマガジンが完全に解放され、弾が上昇してきます。マガジン上の上フレームにはL字に加工した鉄板を左右から張り付けてレールのようにし、弾が横方向に逃げないようにしています。

コッキング後 弾受けが引っ張られて狭くなるのでフタが前進して閉鎖
紐製弾受けがゴムに引っ張られて「|」みたいな形から「<」になるので、その分だけスプリングによってフタが前に移動します。


ベンガル型自動給弾機構の利点は、これまでのタロン型単発レール式スリングライフルにほぼポン付けできることにあります。機関部をベンガル用に改造(フックより上を切り飛ばす)し、「マガジン」「フタ」「弾とフタのガイド」を作れば、元のタロン型スリングライフルを自動給弾にできます。
工夫次第で木製フレームのレール式スリングライフルにも取り付けることができます。
ポン付けなので初速は変わりません。
フック後部にマガジンのフタを動かすレバーを配置すると、そのレバーを動かす距離だけゴムの加速距離が無駄になりますからこちらの方が加速距離を長く取れます。
しかし、これは10mmケルダボのような円柱形の弾にしか使えない機構なので、パチンコ玉が使いたかったら別の物を選んだほうがよいでしょう。





ベンガルの運用について
このスリングライフルは狩猟用、私が「カモ食べたい」と思って開発を始めた口径10mmスリングライフルの最新作です。
以前コメント欄に書いたことと重複がありますが、私が狩猟用スリングライフルに求める条件は重要度から順に、
1.想定している獲物を一発で留める威力を有する
2.抜弾動作が行える
3.操作レバー類や引っかかりやすい部品が保護されている
4.ゴム掛けと弾込めを別々に行うことができる
です。

ベンガルはどうか?
1.レンガ割れるし大丈夫だと思います……多分。
2.装填状態でマガジンキャッチを押してから弾受けを広げることで抜弾できます。
3.フロントサイトはフロントサイトブレードで保護されており、マガジンキャッチは引っかかりにくい場所に配置できたんじゃないかなぁ? と思います。鐙とヨークは……ちょっと無理ですね。
4.給弾機構を外から操作することで、コッキング後でも弾込めができます。



理由
1.もちろん半矢を出さないためです。絶対条件です。あと、これは「どこに当たっても一発」という事ではなく、バイタルエリアに着弾した場合です。


2.薬室に弾を込めたまま猟銃を持ち歩くのは違反です。
これは銃ではなくスリングライフルではありますが、安全管理は銃と同等にせねばなりません。
たとえば撃つ前に獲物に逃げられた場合、安全管理やゴムの劣化を考えると、安全装置を掛けてコック&ロックの状態で持ち歩くよりも弾を抜いてカラ撃ちした方がはるかにいいです。
持ち歩かないにしても、コッキング後に撃つのをやめることができなくてはいけません。弾を抜くことができないと地面に向かって撃つしかなくなります。


3.狩猟では藪や草むらの中を歩くことになるので、部品が藪などに引っかかって故障、誤作動を起こさないように配慮されている必要があります。


4.ゴムが劣化するのであんまり必要ないかとも思ったのですが、例えば待ち猟などでゴムだけ掛けておいて、獲物が来たら弾を装填する、という事が必要な時も来るでしょう。また、これができると抜弾した後にカラ撃ちしなくても弾を込めることができるので大変便利です。


この4つの条件の中に「精度」は含まれていません。
絶対条件として、撃った獲物はかならず回収せねばなりません。距離を開ければ開けるだけ弾速も減衰し、半矢の確立も上がります。そういうわけで私は近い距離で半矢にならない威力で撃つことを選択しました。
サイトもそれに合った物を選択しています。


アサイトの横幅にフロントサイトブレードがぴったり合うようにし、フロントサイトピンとリアサイトが水平に並ぶようにして照準します。
夏場はnで5m、3で10m、それ以上の距離では計測していません。
冬になると初速が落ちるので夏には使わない角度まで上げる必要があります。つまり7とか8も無駄ってわけではありません。多分。


もう一つの選択肢として、球形弾で、遠距離でも半矢にならないくらい初速を上げるという手もあります。
しかしそれは選びませんでした。球形弾で初速を上げるとなると、これ以上加速距離の延長をするか、オープン式にせねばなりません。
Model16スターリングを作って気が付いたのですが、オープン式はあんまり好きになれませんでした。
これにはいろいろ理由があるのですが詳しいことは割愛します。
さらに、これ以上加速距離を伸ばすとなると、ブルパップにしなくては使えたものではありません。
私が作ったブルパップのライフルと言えば150cm加速のスリングライフルですが、やっぱり作ってみたらブルパップもあんまり……
なぜ、趣味であんまり好きじゃあない物を作らねばならないのか。
私が執拗に10mmダボを使うのにはこういう側面もあります。
誤解が生まれ無いようにこういう事書くのは難しいのですけども……
たとえば私はタバコを吸わないのですが、それはタバコ吸っている人を貶すこととかタバコそのものを否定するとか、そういう事とはつながりませんよね? ただ吸いたくないから吸わないというだけで。
どうか、ご理解いただけたらと思います。


さらに、連射速度もそこまで求めていません。一発撃って外すと、確実に獲物は逃げます。「動いている」「鳥サイズの的」には散弾銃でもない限り、二の矢なんて当たりません。
ベンガルが自動給弾なのは、弾込めの煩わしさから解放されるため、そして安全性の追求のためです。
先込め式のスリングライフルは弾を込めるときに銃口を上に向けねばなりません。この時暴発が起こったら?
弾を突きこんでいる手のような、当たって欲しくない物に当たります。
ベンガルでは、銃口は地面と標的のみを向きます。はるかに安全です。





おまけ 
往年の名器と

ベンガルは鐙のぶんだけタロン2より短くなっています。そのため、ちゃんと手持ちのライフルバッグに入ります。
重さはタロン2と同じなのですが、マガジンが付いて先台が短くなった分重心が後ろに来て、さらに先台が握りやすいためベンガルの方が構えやすいです。
しかし、タロン2は完成までに半年以上掛けただけあって、木製部品の表面処理が最高です。
ベンガルはストックの削りと磨きに掛けた時間は3日ほどです。これから磨きなおそ……


一番の差がある機関部周辺
アサイトブロックがない分タロン2の方がボルトが少なく分解も楽ですが、リアサイト周辺のデザインはベンガルの方が好みです。



進化したヨーク周辺と鐙