「タワマン節税」は物件選びがポイント
片岡さんの購入した物件は2018年1月1日以降に引き渡されたため、購入後すぐに相続が発生してしまうと、行きすぎた節税対策だとして国税庁から認められず、圧縮された相続税評価額ではなく、時価で課税されてしまう可能性がある。
ただし、2017年までに建てられた物件を中古で買った場合は、2018年以降に購入しても相続税評価額はどの階でも変わらない。だから片岡さんの場合、2017年より前に建てられたタワマンの高層階を購入すれば狙った通りの節税効果が得られたはずなのだ。
「もっとよく調べて、タワマンを買うにしても築浅の中古物件にしておけばよかったと後悔しきりです。間の悪いことに、先月の人間ドックで腫瘍が見つかって……。幸いにも良性だったので、今はとにかく健康に気を使って過ごしています。すぐに死ぬとはさすがに考えたくはないですが、もしそうなったら娘夫婦に迷惑がかかってしまいますからね」
片岡さんは、せめて娘と合意がとれてからタワマンを購入すればよかった、と今さら後悔しているようだ。
「それに、最初こそ快適だったものの、最近はタワマンの暮らしがなんとなく嫌になってきました。初めは眺望や豪華な設備に気分が高揚しましたが、同じマンションに知り合いはいないし、外に出るのにもエレベーターで下まで降りるのに10分以上かかる。これまでの住み慣れた大きな戸建てとは違う閉塞感があります。娘の忠告を聞かずに引っ越した手前、やはり元の家に戻るとも言えなくて……」