トルコリラとは
トルコ共和国で使用されている通貨でトルコリラと呼ばれていて、日本のFXトレーダーの間で人気が高い新興国通貨の一つです。
経済的には、軽工業が中心で近年は、欧州地域への自動車輸出拠点として各企業が進出しており、中国の一帯一路戦略の欧州方面への橋渡しとしても期待は高まっています。
経済的な面では、一時期BRICSに次ぐNext11という成長期待がある半面、Fragile5(ブラジルレアル、インドルピー、インドネシアルピア、トルコリラ、南アフリカランド)という新興国の経常赤字国通貨として売られる場面もあります。
ただ、先進国を中心とした低金利政策が続く中、政策金利24.0%と高金利通貨は魅力的で、何度かのショックを受けながらも、豪ドルやNZドル以上の高金利通貨としてFX取引では人気です。
中長期の投資通貨として、レバレッジを抑えておけば投資対象として魅力的な通貨の一つです。
トルコリラ特徴
トルコリラの特徴は何といっても政策金利の高さです。
世界的な利下げムードが強い中、トルコは2019年夏まで利上げが継続され一番高い時には24.0%の政策金利となっていましたが、トルコの政策金利は10.75%とピークよりは低くなっているものの他国と比較すると圧倒的な高金利で、スワップポイント獲得を狙った投資家が長期で保有する傾向があります。
しかし、トルコリラを取引する上でのリスクがあることに注意したい点がいくつかあります。
まずトルコリラは主要通貨である米ドルやユーロに比べて流動性が低いという点です。
インターバンク市場の流動性が低いことから、価格が暴落したり、価格の提示が一時的にできない事態に陥ることがあります。
トルコは慢性的に経常赤字国であることから、外国資本の流入が不可欠で輸出の落ち込みや原油高はトルコ経済の成長を妨げるとみなされ、トルコ国内から資本が流出しやすくなります。
また、政治的・地政学的なリスクもトルコリラ相場に大きな影響を与えます。
トルコは中東の玄関口であり、イスラム圏の国としてのシリア問題の動向にも左右されます。
トルコのエルドアン大統領がアメリカとロシアの間でバランス外交を行っていることも、各国間の政治や軍事的な緊張を強める原因になっていて、2018年8月に米国がトルコに対して制裁関税を課したことを発端としたトルコショックは有名で、ドル高トルコリラ安が進行しトルコリラ/円は史上最安値である15円台まで一時下落しました。
エルドアン大統領の権力は強まっており、国内外に対する発言によって相場が動かされることも少なくありません。
政治情勢や経済データの変化や地政学リスクに注意して取引することが非常に重要です。
もう一つの魅力はトルコリラの価格の低さです。
トルコリラ/円の相場は16円~19円で推移しており、米ドルやユーロといった通貨と比べて少ない資金で取引ができます。
今後の見通しは?
アメリカの影響力が強い国際政治において、アメリカとの関係が悪いというのは1つのリスクとして捉えられます。
トルコはアメリカよりもロシアと密接な関係を築いているので、トルコとアメリカの関係性が改善され、米中関係がどのように推移していくかによります。
米中貿易戦争が与えている経済の影響は思っている以上に大きく、関係がこれ以上悪化してしまうと、国際的にリスクオフの動きが高まる可能性もあり、高金利通貨の投資が鈍化してしまいトルコリラへの投資も少なくなると考えられます。
悪化していたアメリカとの関係が回復し良好な関係を作れることで、今まで下げていたトルコリラが再び上昇する可能性も出てくるので米中貿易戦争の行方はこれからも注目しましょう。
トルコリラは新興国通貨であるため、保有するとリスクはありますが、これから上昇する見込みが十分あり、上昇したときの幅が他の通貨と比べものにならないため、価格の下がっている今が狙い目とも言えます。
また、価格が上がらず横ばいだとしてもスワップポイントで利益を出すこともできるので、長期的なトルコリラ投資は非常に魅力的なものだと思います。