春の長期休暇が終わり、開発も夏まで休止せざるを得ません。
ですが私の開発意欲はいまのところ下がることなく、ついに「これだ!」という自動給弾方式を思いつきました!
自動給弾式の開発はこのブログを始める前からの私の悲願であり、何度も散った夢でありました。開発番号一桁代の木材主体モデルで2作、12作目のレッドタロン、14作目のSDH(サイドダブルフック方式)と、4度挑戦し、そのたびに実験失敗、開発中止、中途での路線変更をしてきました。紙の上で考えたのみでモノを作らなかった機構もあります
自動給弾のスリングライフルはすでに何作か世に出ています。が、私の知る限り、私が作っている様なシンプルな上下フレーム+レールのレール式スリングライフルではまだ実現されていません(まあ作って発表してる人が少なすぎるんですけど……もう作ったよって人がいたら教えてくださいね)
では、なぜシンプルなレール式スリングライフルで自動給弾が難しいのか?
それは弾倉の閉鎖装置の設計が難しいからです。
レールがある分、弾倉から弾を引っ張り上げる構造は難しく、電動ガンや割り箸マガジンのエアコキのようなマガジンにしなければなりません。単純に弾倉を追加するだけならほぞ穴に角パイプを通すだけでできますがこれでは弾が常に弾倉からレール内に押し出されてしまいます。なので、コッキングと同時に弾倉が開き、発射の前には閉じる、もしくは発射と同時に閉じるフタを考えなくてはならないのです。
昔の案(と言っても今年の四月上旬まで考えていたもの)にタロン型機関部のフックと連動して板状の閉鎖機を動かすものがありました。倒れている状態で完全閉鎖、シアに掛かった状態で半閉鎖、そこからさらにゴムを引くことで閉鎖が解かれ弾がレール内に押し込まれるというものがありました。が、これでは発射の瞬間に弾の下で閉鎖機が激しく動くため精度に不安があり、ゴムを余分に引くだけ加速距離も短くなります。
なにより問題になるのがタロン型のフックのリバウンド問題で、発射後のフックは機関部壁面と激突します。フックに連動する閉鎖機があるとフックが重くなり、衝突のエネルギーもその分増します。エネルギーが増す分、衝突後の跳ね返りも大きく、最悪弾倉の閉鎖が解かれ弾がコッキング前のレール内に流入します。(Model18 図案のみ)
もっとシンプルに、弾倉を弾と同じ直径の丸棒で閉鎖するものはどうでしょうか?
これは閉鎖機に使うバネの伸縮速度がゴムより遅いと容易にレール内へ弾が流入します。これを防ぐには強いバネを使うしかなく、コッキングの最終段階がさらに辛いものになります。さらに弾受けにはフックと閉鎖機の両方から負荷がかかり、寿命が縮みます。初速を上げるとそれだけバネも強くなりますので、長い引きと引きの辛さ、弾受けの頻繁な交換の三重苦を味わうことは想像に難くありません。 (Model6 路線変更し単発)
では思い切って閉鎖機の棒をレールと同じ長さにしたら?
引いた後の長さはレールの二倍、棒の重量とレールとの摩擦で凄まじいエネルギーのロスが起こり、弾は銃口からヘロヘロの弾道でところてんのように押し出されるでしょう。
ロスを取り戻すためにゴムを増強すればよいのですが、そうすると人の手ではとても引けないものが出来上がります
やっとのことでそれを引ききって、撃てるのがフツーの弾では無駄が多すぎますよね。
この方式で自動給弾は可能ですが、釘を打つためにクレーンで鉄球ぶつけるようなものです。(Model7 ゴム引けず失敗)
つまり発射と同時に閉鎖機も動くタイプはどうしても信頼性か効率に掛けるものが多いのです。(ただ私が考え付いてないだけかもしれないので断言せずにお茶を濁しておきます)
逆の発想で、フタは作らずに、コッキング時に弾受けで弾倉に弾を押し戻し、弾受けが通過したときにまた出てくる、というものも考えました。この押し戻す作業は弾受けに斜めにカットしたパイプを付けることで行う予定でしたが、押し戻す部分の調整がトンデモなくシビアだったのと、デザインが気に食わなかったので開発中止です。(Model14SDH 開発中止)
そこで私が考え付いた新方式です!
私の作っているスリングライフルの弾受けは6mmの紐をもやい結びでゴムに繋げたものです。安く手間いらずなのですが、金属製の弾受けと違って、コッキング時はレールと垂直ですが
コッキング後にゴムに引っ張られて「>」のような形になり、その分がロスになっています。
ですが、この形になることで弾の保持ができ、軽い分アブソーバーを付ける必要がないのでそこまで無駄というわけでもありません。紐、革などの柔らかい弾受けを使う限り避けて通れないロスです。
タロン2だとフレーム内に入り込んでいる紐は片面3cmほどです
……ということは、コッキング時に弾受けがまっすぐになっている分でフックまで閉鎖機を後退させ弾倉を解放、コッキングを終えてゴムを離せば弾受けが引っ張られて「>」型になり、閉鎖機は前進し弾倉を完全閉鎖、という閉鎖機が作れるじゃないですか! 可動域3cmということはパチンコ玉・8mmダボ・10mmダボ・12mmダボをこの機構で賄えますし、ロスも今まで許容してきた分しかありません。つまり、最もシンプルなレール式にでもほぼポン付けできます。素晴らしいね。
具体的な構造ですが、フレームと同じ19mm角パイプの下面を削って両側に牽引用のブレードを付け、弾の径より狭い溝をつければよいですね。弾と弾の間に板を差し込むのではなく、並んでいる弾の隙間に入るような溝を付けた板を差し込むタイプのフタです。可動域3cm以上せり上がってきた弾が横からこぼれるかもしれないので、上フレームにパチンコ玉なら凹みと磁石、ダボなら両側にガイドを付けて落ちないようにしなきゃですね。あと、閉鎖機がマガジンスプリングでパカパカしないように上フレームで押さえなきゃです。
もう一つ、いまいち開発に全力を注げなかった原因の「コッキング中に暴発が起きたら鐙にかかっている足を撃ってしまうかもしれない」ってのも、コメットで取り入れた鐙位置で解消できます。
これなら銃口から足を完全に離せますので、確実に安全です。
ということで、今年の夏はこの方式を使ってModel19を作りますよ。
図案のみのスリングライフルがいくつかあるので、実際に作った物としては16作目のライフルです。
レッドタロン作るときにBAR型がどうだこうだと言っていたことを思い出したので、現在の技術力をもってしてBARっぽいフォルムにします。
Model19 (愛称未定)
この真ん中のヤツです
・口径10mm 10mmダボ
・加速距離 タロン2と同じ
・使用ゴム タロン2と同じ
・19mm角パイプフレーム
・2.5mm合板製ストック&フォアエンド
・タロン型機関部 閉鎖機稼働のために一部形状変更
・シングルカラムで装弾数5〜10発 固定式か着脱式かは未定
この閉鎖方式に何か名前付けたいのですが、うまい名称が見つかりません。なんかないですかね?
まあ実現してからでいいかな。