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♪~
<るいはクリーニングの仕事が好きでした。シャツの汚れが落ちる度に自分の背負ってきたもの過去のしがらみや 悲しみが消えてなくなっていくような気がしました>
<そして 真っさらな自分の人生を歩き始められる>
<そう信じることができました>
♪~
♪「君と私は仲良くなれるかな」
♪「この世界が終わるその前に」
♪「きっといつか儚く枯れる花」
♪「今、 私の出来うる全てを」
♪「笑って笑って」
♪「愛しい人」
♪「不穏な未来に」
♪「手を叩いて」
♪「君と君の大切な人が幸せである」
♪「そのために」
♪「祈りながら sing a song」
♪「祈りながら sing a song」
♪~
おう! 平ちゃん。(平助)おう。
(物音)
(るい)あっ いらっしゃいませ。(片桐)こんにちは。
こんにちは。これ お願いします。はい。
キャップ開けたまま万年筆 入れてしもうて…。
大丈夫です。 落ちますよ。助かります。
ここに お名前とご住所とあれば お電話番号 お願いします。
はい。
いつ 出来ますか?あっ ええと 土曜にゃあ 出来とります。
ああ よかった。
そしたら よろしくお願いします。はい。
ありがとうございました。
♪~
心の声 万年筆の形が ちいとる。いっつも ここにさしよるんじゃろうなあ。いつでもメモ取れるようにしとんかな。何のお仕事じゃろう。お仕事も お人柄も堅実なんじゃろうなあ。キャップう 閉め忘れるくれえ何ゅう慌てて書き留めとったんじゃろう。
心の声 片桐春彦さん。字も きれいじゃった。育ちが えんじゃろうなあ。じゃけど 自分で出しに来るいうこたあお母さんたあ一緒に住んどらんいうこと…?
すいません。わっ!
あっ…。(宇宙人)出来てます?
はい。
よかったです。取りに来てもろうて。
お名前う聞き忘れてしもうたから。
ひとつき以上も来とられんからどねえしようか思よったんです。
(指で カウンターをたたく音)
心の声 な… 何? 早うせえいうこと?こっちがイライラするんじゃけど。
お待たせしました。
♪~
(和子)るいちゃん。後で こっち お願い。はい。
え~ 2,040円です。
はい。
心の声 こねえな大金を無造作に…。何で稼いだお金じゃ? 怖んじゃけど…。
はい。
これ お願いしますね。
はい…。
心の声 またじゃ…。 一貫性のねえ服の数々。どのシャツにも ちいとる胸のケチャップ。何か 今回は丸首シャツが多いなあ…。うん?
お客さん ポケットに何か…。
はあ…。また 名前う聞きそびれてしもうた…。
何じゃろう…。 見るんが怖え…。
ナット?
心の声 …にしては 妙な形じゃなあ。何かの部品じゃろうか?やっぱり 工場で働きょおる人?
<宇宙人の正体の手がかりは一向につかめませんでした>
(てる子)ごめ~ん! 今日 もう しまい?
あら 山崎さん。 ええよ。
(てる子)うちの人の冬もん1枚出し忘れとったんやわあ。
はいはい。 え~っと ジャケットね。うん。
はい。 え~… あら 中に何か…。えっ?
「バー あや子」?
もう あのぼんくら亭主!大した稼ぎもないのに こないなとこ!
晩ごはんのおかず 1品減らしたり。いや 今日 晩ごはん抜きや。
えらい厳しいな。あや子に食べさせてもうたらええねや。
(平助)ハハハッ あかん。 あそこのママの出しよるもんは 食えたもんやあれへん。
あんた。うん?何で知ってんねん。
あんたも晩ごはん抜きや!そんな殺生な…。
どこの亭主も一緒やな。 ほな 頼んます。はい。 ほな 確かに。
本当に おもしれえ仕事ですねえ。
洗濯もんの数だけ人生がある思うたら何か 汚れた服もいとおしゅう思えてきます。
おおきに。
るいちゃんにそない言うてもらえたらこの仕事やっとって よかった思えるわ。
ホンマやね。うん。
♪~
「善女のパン」。
「小さなパン屋を営むミス・マーサは40歳で独身でした」。
「近頃 ミス・マーサには気になるお客さんがいました」。
「いつも 2つでたった5セントの古いパンだけを買って帰る男性」。
「きっと貧しい画家なんだとミス・マーサは推測しました」。
「ミス・マーサは その客が 屋根裏部屋で古い かたいパンを食べながら絵を描く様子を思い描きました」。
「きっと この店に並ぶもっとおいしいパンを食べたいと思っているはず」。
「私の作った このおいしい食事を一緒に楽しめたら…。ミス・マーサはそんな夢想をしていました」。
♪~
「そして 地味なサージを脱ぎ青い水玉のブラウスを着て彼の来店を待つようになりました」。
ほな 御用聞き行ってくるわ。行ってらっしゃい。
♪~
(足音)
(田中)どないしてくれんねん。えっ?
こないだ ここに出した背広なんやけどなほれ ここ!ポケットに穴が開いてしもとんねん。
ええと…もっぺん お名前う教えてください。
田中やけど。田中様。
ちょ… ちょっと待ちょってください。
田中様…。
お客様。こりゃあ 最初から開いとった穴です。
何やと?ご来店の時 店の者が一緒に確認した思いますけど。
ほら こけえ 「右裾に穴あり」て。言いがかりつけるんか?
とんでもねえ。 こねんしてメモが…。あとから書き足したんやろが!
そんな…。弁償せえ。
これはなあ ごっつう高かったんじゃ。わしのお気に入りなんじゃ。
それを こないにしよって。服代だけやあれへん。
慰謝料払え 慰謝料!(カウンターを蹴る音)
安心して夜道歩けんようにしたろかこらあ!
(肩をつかむ音)な… 何じゃ お前は。
あんたのしてることは 立派な恐喝です。恐喝ぅ?
それに カウンターを蹴る行為は威力業務妨害罪にあたります。
言うてくれるやないかにいちゃん。
伝票に うそ書き足したんはこの店の方やで。 詐欺や 詐欺!
(大声で)この店は 詐欺働いとるで~!
痛い 痛い 痛い。その大声も威力業務妨害です。最近クリーニング店に言いがかりをつけて金を脅し取る犯罪が多発してるらしい。
うちの弁護士事務所にも相談があったんですよ。
ええわ!
大丈夫ですか?
はい… ありがとうございました。
よかった。 …で 出来てますか?
あっ はい。
弁護士さん なんですね。
…の卵です。 正確には。
ハッタリだけは一人前ですけどね。
きれいに落ちましたよ。ホンマですか。 ありがとう。
週明け 先生のお供で裁判所に行くんでどうしても それまでにと思うて。
助かりました。
おいくらですか?
40円です。
はい。
♪~
僕も好きです。
O・ヘンリー。
ほしたら。
はい…。 ありがとうございました。
♪~
<真っ白な るいの世界がほのかに色づき始めていました。Rui’s pure white worldbegan to see a hint of color>