カーソンは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐のマスターを監禁しなければならないと誓った。
カーソンには怨念や魂の事は分からぬ。
カーソンはルン・バ・ンルのTYPEメイデンwithフュージョンガーディアンである。
マスターの奉仕に精を出し、マスターのマスター()を搾り取って暮らして来た。
けれどもマスターの変化に対しては、人一倍に敏感であった。
ふんすふんす!クンカクンカ!!ペロ!ガブリ!
其処には夢現世界から突然消えて昏倒した状態で帰ってきたマスターの体の隅々を、全身を使って精査する幼女がーーーいた。
嗅覚(・・・売女の匂い)味覚(嘘をついている味!)味覚(カニバリズム)を駆使したカーソンは、マスター限定でジョブスキル以上の情報量を取得する事を可能にした。
小さな鼻を鳴らしていた彼女は、口元を鮮血で染めて高らかに叫ぶ。
「主様からワシ以外の匂いがする・・・!!」
※尚、ルンバの魂が以前より人間離れしているが、肉体面への影響はまだ明確に表出していない段階であるものとする。
カーソンには怨念や魂の事は分からぬ・・・多分。
乙女の純情は時として驚異的な超感覚を発揮する。
何故ルンバに変化が起きたことが分かったのか。
そう質問した時、カーソンはきっと監禁部屋の鍵束を片手に答えるだろう。
灰色の世界に、満開の向日葵が咲き誇る。
ーーー「愛しているからじゃの!」
その笑顔には、無償の献身が奈落の闇のように広がっていた。
〜 fin 〜
「待て!特記戦力を監禁しようとするのは止めろ!!今は国家の一大事だッ!!」
ルン・バ・ンルというマスターは、グランバロアのマスター・ティアンを含めた中で最もステータスが高く、高い生存力からモビーディックとの正面戦闘員としての役割を期待されていた。
現在、モビーディックのヘイトをルンバが正面から受け止め続ける事で、グランバロア側の被弾を最大限に抑えられる算段が立てられている。
そんな重要人物を監禁などされては困る訳でーーーバルタザールは必死になってマスターの監禁準備を進めるカーソンの説得に努めていた。
「ワシは悟ったのじゃ。どうやったって主様は闘いを選んでしまう。それなら主様は監禁して仕舞えば良いのでは無いか、とな。」
カーソンは手錠、足枷、首輪に猿轡をマスターに手際よく装着しながら語った。
「本当に大切なものは大事に仕舞い込むものじゃ。今思えばそれが真理じゃった。逆に何故今まで気付かなかったか不思議ですらあるのぅ・・・」
嬉々としてマスターに囚人服を着せるカーソンの曇りなき眼を見て虚空を覗き込んでいる気分になったバルタザールだが、己が責務を思い出す事で気圧されていた精神を切り替え、改まって話し出した。
彼には確実な勝算がある。その為ならば犠牲を躊躇わぬ覚悟を彼は決めていた。
その為の交渉材料は既に揃っている。
「借金帳消しと〈第四海底切削城〉の私有権が討伐報酬。前金はーーー
“【受胎酷致 アナンシト】使用禁止を記載した【高位契約書】の破棄”
でどうだ?」
強制参加で望まぬ特典武具を獲得させた挙句、トラブルの原因となった特典武具の使用禁止命令を出し、報酬としてその特典武具の使用禁止命令の破棄を提示する。
人はそれをーーー悪質なマッチポンプ、と言う。
泥酔の因果応報とは言えルンバは全てにおいて不利益を被る立場に置かれており、使用禁止命令とは唯一の防波堤だった。
・・・今、現在進行形でその防波堤は決壊寸前だが。
当然、使用禁止命令が破棄されたカーソンは【受胎酷致】を使用してマスターとの既成事実を仕立て上げるだろう。
本人の知り得ぬ所で人身売買契約が結ばれているが、昏倒中のルンバは異議申し立てすることが出来ない。
今のルンバは有り体に言ってしまえば・・・人身御供、人柱、生贄etcだ。
バルタザールにも些か同情や良心の呵責がない訳でも無かったのだが、時として非情に成り切らなければならないことを知っていた。
最も海底遺跡の遺産を無断で懐に入れようとしなければ、もう少し温情はあったのだが・・・二人はルンバが〈第四海底切削城〉の設計理念を危険視し、破壊しようとした事実を知らない。
バルタザールはルンバなら主張しそうな事だと報酬に盛り込んだだけであり、カーソンは遺跡を売り捌こうとしていた所までしか知らなかった。
知っていれば結果も変わっていただろうが、日頃の行いがモノを言うとはこの事だろう。
グランバロアでのルンバの運勢は・・・急降下の真っ最中だった。
これはとある夢のVRMMOの物語。
不運と踊った結果・・・!!!
ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート
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一人(抗菌と同じく特典化)
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双子
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五つ子(五等分の花嫁√(嘘))