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fu652367.txt


画像ファイル名:1640514114703.jpg-(519142 B)
519142 B21/12/26(日)19:21:54No.880323442そうだねx13 20:22頃消えます
2021年12月26日、中山レース場。
一年の総決算であるグランプリである有馬記念の開催を控えたこの日のレースは注目度が高かった。
「誰が勝つと思う?」「やっぱりエフフォーリアかな」「いや、クロノジェネシスでしょ」「菊花賞の子も侮れないぞ」「うぅ……メロディレーンカワイイ……」
観客席の一角で、そんな会話が飛び交っている。どのウマ娘にも一長一短があり、どれが勝つか予想するのは難しい。しかしそんな中、ある一人の客が発した一言が他の者の目を引いた。
「ディープボンドは? 海外重賞取っただろ」
確かにそれは面白いかもしれないと、多くの者が耳を傾ける。だが、本命に挙げる者は少なかった。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
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121/12/26(日)19:22:39 sageNo.880323716+
そんなディープボンドは今、控室にてレースの時を待っていた。
(コンちゃん……約束した通り、有馬記念に来たよ)
菊花賞の時、ディープボンドはコントレイルと約束を交わしていたのだ。
―――絶対一緒に走ろう!
ディープボンドはコントレイルと共に走った日々を思い出しながら、拳を握る。しかし、コントレイルは既にターフを去っていた。
彼女の実家のお父さんが、病気になってしまい……結果として、コントレイルは引退して実家に戻ることになってしまったのだと、ディープボンドは聞いていた。
もう少しだけ、一緒に走っていたかったという気持ちが無いわけではない。だけど……だからこそ残された自分が世代の代表となるウマ娘として、コントレイルに恥じぬ走りを見せなければならないと、彼女は考えていた。
221/12/26(日)19:23:18 sageNo.880323976+
「……ディープボンドさん」
「あっ、アリストテレスさん~! どうしたの~?」
そんな彼女に声をかけてきたのは、昨年の菊花賞で2着だったアリストテレスだ。
「いえ、ちょっと挨拶をしておこうと思いまして……その、私もあの時約束しましたから……!」
アリストテレスは目を逸らしながら言う。よく見ると、彼女の頬は少し赤くなっているように見えた。
「うん、覚えてるよ~♪ ありがと~!」
ディープボンドは満面の笑みで答えた。するとアリストテレスは咳払いを一つした後、真剣な表情で言った。
「それで、その……他の子の事、知っていますか? 海外に行っていたと聞いているのですが」
「あ~……そうだね~。クロノジェネシスさんは一緒にフランスに行ったから知ってるよ~」
のほほんとした雰囲気のまま話すディープボンド。彼女が名前を上げたクロノジェネシスは目下グランプリ3連覇中の強豪ウマ娘であり、今回の有馬記念でも出走を予定している。
その話を聞いて、アリストテレスは眉間にシワを寄せて腕を組んだ。
321/12/26(日)19:24:08 sageNo.880324292+
「クロノジェネシスさんも間違いなく強いですけど……やはり一番注意すべきはエフフォーリアですかね」
「エフフォーリア~?」
「えぇ、今年の皐月賞……そしてコントレイルさんを破って秋の天皇賞を制したウマ娘ですから」
コントレイルに、勝った。その言葉を聞いた瞬間、ディープボンドの顔つきが変わった。
「へ~……そうなんだ~。それって凄いね~♪」
「…………」
ディープボンドはいつも通りののんびりした口調で言う。しかしその様子はどこか不自然で、アリストテレスは違和感を覚えた。
「ディープボンドさん?」
「ん~?」
「大丈夫ですか?」
心配になって声をかけるアリストテレスだったが、当の本人は気にしていないようでニコニコしているだけだった。
「うーん……そっかぁ~、エフフォーリアちゃん、コンちゃんに勝ったんだね~」
421/12/26(日)19:24:32 sageNo.880324423+
(……本当に不思議な人ですね)
アリストテレスから見たディープボンドはマイペースすぎる少女だ。
しかしそれと同時に、底知れなさも感じていた。
「まぁ、どちらにせよ。私のやることは変わりません。シニア級の意地にかけて、必ず勝ってみせます」
「アリストテレスさ~ん、頑張ってね~♪」
「はい、もちろん」
そう言ってアリストテレスは去っていった。その姿を見ながら、ディープボンドは微笑む。
「コンちゃん……ボクは、負けないよ」
その呟きは、誰に聞かれる事もなく消えていった。
621/12/26(日)19:25:39 sageNo.880324806+
パドックを終えたディープボンドの目に、辺りをキョロキョロと見渡すウマ娘の姿が映った。
「あれは~……」
見覚えのある姿に、ディープボンドは思わず駆け寄っていた。
「クロノジェネシスさん~?」
「ひゃっ!?? な、なんだお前か……びっくりした」
「ごめんなさい~……驚かせるつもりはなかったんだけど~……」
ディープボンドが声を掛けたのは、共に海外遠征に赴いたこともあるグランプリ3連覇中のウマ娘、クロノジェネシスだった。
黒に近い芦毛を揺らして驚く彼女に、ディープボンドは申し訳無さげに頭を下げる。
「別にいいよ……それより、ちょっと話があるんだけど」
「うん? どうかしたの~?」
「コントレイルの事なんだけど」
その名前が出た途端、ディープボンドは僅かに顔を曇らせる。しかしそれを悟られないように、すぐに笑顔に戻った。
「コンちゃんは、元気にしてるかな~?」
「……あいつ、まだ引退するべきじゃなかったと思うんだよ。だって、あんなに速く走れたのに」
721/12/26(日)19:26:10 sageNo.880324974+
クロノジェネシスの言葉を聞き、ディープボンドは少しだけ驚いた。クロノジェネシスはコントレイルと同じレースに出た事は無かったが、それでも彼女の走りには一目置いていたのだ。そんな彼女から見ても、コントレイルはまだ伸び代があったと言うことだろう。
「だから、もしまた走る機会があれば絶対に勝とうと思ってて……その、お前からも伝えといてくれない?」
「……わかったよ~♪」
ディープボンドは二つ返事で答えたが、内心では複雑な気持ちを抱いていた。そんな時、二人に近づいてくる影が一つあった。
「……コンさんは?」
鹿毛に緑の勝負服、鋭い目つき……そして威圧感すら感じるオーラを纏いながら現れたのは、今最も注目されているウマ娘、エフフォーリアであった。
821/12/26(日)19:26:37 sageNo.880325112+
「あ、あんたは確か……エフフォーリアだよね? コントレイルなら今日は来てないよ……先月で引退したんだ」
「……そう」
クロノジェネシスが答えると、エフフォーリアは特に興味も示さず立ち去ろうとする。
「あ~! 待ってください~!」
その背中に向かって、ディープボンドが大きな声で呼びかける。
「えっと~、あの……エフちゃん、だっけ~? 今日はよろしくお願いします~」
「……どうも」
ディープボンドは深々とお辞儀をする。するとエフフォーリアはぶっきらぼうながらも挨拶を返した。
「あれが……エフフォーリア。本当にクラシック級なの……?」
クロノジェネシスはその姿を見て呆然としていた。その風格、そして実力はシニア級に匹敵……いやそれ以上にも見えた。
その様子を見ながら、ディープボンドは苦笑いを浮かべるしかなかった。
921/12/26(日)19:27:06 sageNo.880325288+
『さぁ、待ちに待った瞬間が訪れます! 有馬記念、ファンファーレです!』
有馬記念、トゥインクル・シリーズにおける最後の大舞台であるこのレースは、毎年多くのドラマを生み出してきた。
そして今年もまた、様々な物語が生まれようとしていた。実況の声が会場中に響き渡る。観客達のボルテージは既に最高潮に達していた。
そんな中、ディープボンドは一人静かに目を閉じていた。
その顔に浮かぶのは、笑み。
(コンちゃん、ボクは君との約束を果たすために勝つよ)
ディープボンドが帰国して以降、時折こんな話が出ていたのを覚えていた。
《コントレイルが三冠取れたのは周りが弱かったから》
《今年クラシックに出た子が一人でも同じ世代だったら、間違いなくこっちが三冠ウマ娘だった》
《上の世代のほうがコントレイルより断然強い》
そんな心無い言葉を聞いて、ディープボンドは決意していた。
(コンちゃんは強かった。コンちゃんも、コンちゃんのトレーナーさんも、みんな凄い人達だった)
だからこそ、上の世代であるクロノジェネシスや後輩であるエフフォーリアが出るこの有馬記念というレースで、証明するつもりだった。
1021/12/26(日)19:27:45 sageNo.880325536+
コントレイルは、決して弱くなどないという事を。
ゲート入り前に、アリストテレスと軽く目配せをしてから、ディープボンドはゆっくりと息を吐く。
その耳には、歓声は聞こえない。聞こえるのは自分の鼓動だけだった。
『各ウマ娘、収まっていきました』
ゲートインが完了した。静寂の中、ただその時を待つしかない。
『スタートしました!』
そして、遂に始まった。一斉にスタートしたウマ娘達は、それぞれ自分のポジションを確保しようと動き出す。
ディープボンドは、出遅れる事なく好位置につける事ができた。先頭は編み込みが特徴的な逃げウマ娘、そして続くは今年の菊花賞を逃げ切った技巧派のウマ娘であった。
彼女達を追いながら、ディープボンドは冷静にレースの流れを読み取っていく。
先頭集団は早くも一周目のホームストレートに入った。だがまだ、焦るような場面ではない。
そのままコーナーに差し掛かる。ディープボンドのすぐ後ろにはクロノジェネシス、そして彼女に並ぶようにエフフォーリアの姿があった。
1121/12/26(日)19:28:19 sageNo.880325725+
向こう正面の直線に入っても、ディープボンドは仕掛けない。このままの位置をキープしていく。
後続のウマ娘達が徐々に差を詰めてくる。アリストテレスも後方から位置を上げているようだ。
『さぁ、集団がグッと縮まって第3コーナーを抜ける! ここから順位が大きく動くぞ!!』
そして、遂に来た。
ディープボンドが少しずつペースを上げる。それにつられて、他のウマ娘達も速度を上げた。
「うわっ!?」
「きゃあっ!!」
先行していた逃げウマ娘の二人に並ぶ。そこからさらに、ディープボンドは加速した。
『直線に入る! 残り300m! さぁエフフォーリアが上がってくる!』
真横に感じる強烈なプレッシャー、エフフォーリアの存在に思わず顔をしかめる。凄まじいまでの闘志をひしひしと感じ取った。
(でも……負けたくない……! ボクのためだけじゃなく……コンちゃんのためにも!!)
ディープボンドは全身全霊の力を込めて走り続ける。それは、かつて見たあの背中を思い浮かべて
1221/12/26(日)19:29:21 sageNo.880326102+
一方、僅かに前を走るエフフォーリアは、目の前で繰り広げられる光景を見て奇妙な違和感を感じていた。
(なんだ……これは……?)
初めての有馬記念、その勝利は目前であるはずなのに、エフフォーリアの心には喜びどころか不安と恐怖すら感じ始めていた。
真横で走り続ける青鹿毛……もうターフにはいないはずの三冠ウマ娘が、そこにいるようだったからだ。
まるで、あの時の天皇賞の再現のように。
「……コンさんか!?」
ちらりと横に視線を向ければ、そこにはディープボンドの姿。彼女は懸命に走っているが、その表情は険しかった。
それでもなんとか言葉を吐き出す。
「コンちゃんじゃない……! ボクは……ディープボンド……! コンちゃんの同期で……友達だぁーっ!!」
今一度、ディープボンドが差し返す。
『ディープボンド粘る! 後ろからはクロノジェネシスも来ている! さぁどうなる!?』
1321/12/26(日)19:29:51 sageNo.880326278+
残りは後数十m、しかしディープボンドは限界を迎えつつあった。
足が重い、息が苦しい、心臓が張り裂けそう。それでもなお、必死に歯を食い縛って走る。
だが、エフフォーリアにはまだ奥の手があった。一気に加速し、3/4バ身ほどディープボンドを突き放す。そして……
『今、ゴールインッ!!! 1着はエフフォーリア! 2着ディープボンド! クロノジェネシスは3着です!!』
勝ったのは、エフフォーリアだった。ディープボンドが倒れ込むようにしてコースに膝をつく。
そんな彼女に、アリストテレスが手を差し伸べる。
「アリストテレスちゃん……」
ディープボンドはその手を掴んで立ち上がるが、既に体力を使い果たしたのかふらついていた。
そんな彼女を、アリストテレスが支えるようにして抱き締める。
「よく頑張りましたね、ディープボンド。あなたはよく戦いましたよ」
「……うん、ありがとう」
二人はお互いの顔を見合わせて笑った。その瞳から涙がこぼれ落ちる。
1421/12/26(日)19:30:17No.880326431そうだねx2
「また負けちゃったよ~……」
「えぇ、勝ちたかったですね」
そんな二人に、クロノジェネシスとエフフォーリアが近付いてきた。
ディープボンドが慌ててアリストテレスから離れる。
「すごかったよ、凱旋門本番とは大違いだったな!」
「……手強かった」
笑顔のクロノジェネシスに対して、ぶっきらぼうなエフフォーリアだったが、やがてぼそりと呟くように言った。
「……名前は?」
その言葉に、ディープボンドは一瞬呆けたような顔になり、それから満面の笑みを浮かべて答える。
「ディープボンドだよ! 改めて、よろしくね!!」
「プボさんか」
言葉少ないながらも、彼女なりに健闘をたたえてくれているのは分かる。ディープボンドは照れ臭そうな笑い声をあげた。
1521/12/26(日)19:31:20No.880326786そうだねx12
今日の有馬記念で感動したし的中もしたので書きました。
今までのはこちら
fu652367.txt
1621/12/26(日)19:32:00No.880327028そうだねx12
>「……コンさんか!?」
ここで駄目だった
1721/12/26(日)19:32:16No.880327150+
がんばった!
1821/12/26(日)19:35:55No.880328600+
プボくんアツいな…
1921/12/26(日)19:36:15No.880328734そうだねx10
>的中もしたので書きました。
もしもし?
2021/12/26(日)19:38:05No.880329463そうだねx3
カタブツの女の子幻覚からエフ次郎幻覚になるんじゃないよ!
2121/12/26(日)19:38:55No.880329789そうだねx7
コンさんか?
違う。じゃあプボさんか?
2221/12/26(日)19:41:24No.880330708そうだねx5
この後ろでちっちゃい姉といちゃいちゃしてる逃げウマの妹がいるんだよな…
2321/12/26(日)19:43:13No.880331465そうだねx2
コンさんか?
違うプボ
次からは貴方も標的です
2421/12/26(日)19:44:52No.880332153+
脳を焼かれたのがよくわかる
2521/12/26(日)19:45:20No.880332342+
1着2着でどっちも📞君に縁があったのが運命的すぎる…
2621/12/26(日)19:51:29 書いた人No.880334748そうだねx5
クロノジェネシスは🦍めいたヒシアマ姉さんっぽいイメージで
エフフくんは10文字以上喋らないような武人っぽいイメージで書きました
エフ次郎の要素もひとつまみいれたけど許してほしい
2721/12/26(日)19:57:53No.880337514+
まさかボンドくんがこの順位になるなんてマジで考えてもいなかったから感動してしまった…
2020世代にはまだまだ頑張って欲しい
2821/12/26(日)19:57:54No.880337518+
エフ次郎のインパクトが強すぎたから仕方ないね
2921/12/26(日)20:02:10No.880339448そうだねx3
>「うぅ……メロディレーンカワイイ……」
なに観客に紛れてんだお前
3021/12/26(日)20:04:23No.880340517+
プボくん対エフフのレース次にありえるのは来年の有馬かな
3121/12/26(日)20:04:58No.880340798+
シンプルに良い出来
3221/12/26(日)20:08:28No.880342299+
まあ実際のコントレイルは円満引退なのだが…
3321/12/26(日)20:09:31No.880342748+
>>「うぅ……メロディレーンカワイイ……」
>なに観客に紛れてんだお前
森田トレーナーかウマ世界の岡安かもしれないし
3421/12/26(日)20:10:14No.880343018そうだねx4
>まあ実際のコントレイルは円満引退なのだが…
現実もプイプイさえ生きていれば5歳まで走れたかもしれない反映じゃないかな
3521/12/26(日)20:12:01 書いた人No.880343746そうだねx5
>まあ実際のコントレイルは円満引退なのだが…
ディープ系の後継として早期の種牡馬入りが望まれたのを「父親が病気になり、実家に帰ることになった」と解釈しました
いずれは2021秋天や2020と2021のJCも書きたい……
3621/12/26(日)20:12:09No.880343800+
>>まあ実際のコントレイルは円満引退なのだが…
>現実もプイプイさえ生きていれば5歳まで走れたかもしれない反映じゃないかな
エピが健在のエフ君とは対照的になりそうね
3721/12/26(日)20:12:57No.880344171+
このエフもダービーまではまだ愛嬌あったんだろうか…
3821/12/26(日)20:14:34No.880344929+
>このエフもダービーまではまだ愛嬌あったんだろうか…
無敗皐月馬だったからちょっと生意気だったかも
3921/12/26(日)20:15:09No.880345228+
こういう生モノ創作ってやっぱりすげぇギリギリで難しいな
4021/12/26(日)20:15:20No.880345307+
>この後ろでちっちゃい姉といちゃいちゃしてる逃げウマの妹がいるんだよな…
普通に悔しそうにしてて慰めてもらってるというのも私の性癖には合っていますよ
4121/12/26(日)20:18:58No.880347044+
種牡馬入りを強く望まれて無理の出来なかった📞君の分までプボ君が走り続けて凱旋門やドバイに行くと思うとエモい

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