今作ってるModel27R Black Queenには当初レバーの上下でコッキング後のフックをロックする安全装置を搭載する予定でした。
でしたが、発案から約1年が経過し「これいる?」となりました。
安全装置(マニュアルセーフティ)を搭載したレール式スリングライフルを作るのは3作目ですが、私にはどうにもレール式スリングライフルに安全装置は必要ない気がしてならないのです。
安全装置とは『装填された状態の銃を安全に携行するためトリガーやファイアリングピンをロックする装置』のことです。
レール式スリングライフルで言えば『ゴムをコッキングして弾をレール内に入れた状態のまま機関部をロックする装置』ですね。
安全装置が必要になるのは軍事行動中や護身目的などの『即座に発砲出来る状態で銃を持ち歩かねばならない時』です。
スリングライフルであるか……? そんな状況……?
自宅でのプリンキングでは全く必要のない機能です。
しいて上げるならば狩猟中、発射前に獲物が逃げてしまった状況でしょうか。
しかしそれでもコッキング状態のスリングライフルに安全装置掛けて山中や野池や河川を歩くのは全くおすすめできません。
ゴムは引き絞った状態のまま放置するとどんどんヘタレて張力が低下していきますし、引き絞ったゴムは傷つきやすくさらに少しの傷で簡単に破断します。コッキング時のスリングライフルはそんな状態のゴムが左右の大部分の面積を占めるので、そのまま自然を歩くのは愚かとしか言えません。
さらにいくら安全装置とはいえど、作ってるのは素人に毛が生えた程度の個人であり、落下試験や耐荷重試験などの安全試験も満足に行ってはいないでしょう。そんなものを信頼して発射可能状態のスリングライフルを持ち歩けますか? 私は無理です。
真に安全な状態の銃というのは、弾の装填されていない銃以外ありえません。
すなわちレール式スリングライフルに必要なのは装填状態での安全装置ではなく、装填後に弾を安全に抜き取ることのできる抜弾機能です。
もし完璧に作動する安全装置を搭載していたとしても、安全を追求するなら必要ない時は弾を抜き取るべきです。安全装置のかけ忘れや何かに引っかかって意図せず解除なんてことが無いとは言いきれないからです。(ここまで言ってしまうと気分的な意見となってしまいますが)
そして抜弾機能を搭載していても、レール式スリングライフルはコッキング状態かどうかの判断は一瞬で出来ますが(ゴムが伸びてるかどうかで判断できるため)、弾が装填されているかどうかは見分け難いので、抜弾忘れや抜弾したことを忘れての多重給弾を防止するためのローディングインジケーター(弾が装填された状態か外見で判別できる機能)を搭載したほうがよさそうですね。
以前作った安全装置搭載のスリングライフルは、弾の保持に磁石を使ってるせいで抜弾できないAppleheadとマズルからの装填時に暴発して天井に穴を開けまくっていたT字ステー削り出しトリガーの前装式スリングライフルの二つです。
弾を抜けないから仕方なくって理由と、レール内にラムロッド(槊杖)で弾を突き込む際に暴発して手や頭に穴を開けないよう仕方なくって理由です。
前装式の暴発防止策としての安全装置はあったほうが良いのは確実ですが、Appleheadに関しては外から磁石を取り外せるよう作るべきでした。
BengalやLeopaldやRagdollの流れを汲むBlack Queenはコッキング後にマガジンフロアを開いてマズルを下に向ければ抜弾出来るので、わざわざ安全装置を取り付けるのは技術力マウント以外の意味を持たないんじゃないかなぁと、そう思うわけです。
ゴムだけコッキングしておいて発射直前にレバーを操作して装填するタイプは発射前までは安全な状態ですが、発射しなかった場合は自動給弾と変わらない状態になるのでやっぱり抜弾機能は必要でしょうね。
追記 オープン式スリングライフルは構造上ゴムを掛けたまま弾を抜き取ることができないのですが、ポウチを左右から挟みこむタイプはポウチを指でつまみなおしてデコッキングが可能です。巻き上げ式ならウィンチ逆回転させてのデコッキングも出来るかもしれません(よく知らない)
横から見てフック→弾→ポウチになる前倒れタイプや持ち上げタイプもポウチだけ上に持ち上げてのデコッキングが可能です。
が、安全かどうかはちょっと難しいところですね。自分が以前作ったオープン式はゴムが強かったせいもありデコッキング時にすこし危険を感じました。