Mustangの問題点とか新作案とか

さてね、Mustangが一応完成しました。
したんですが、この2か月ちょいなんも発表しなかったのはちょっと問題があるからなんですよね。
自動給弾機構とか着脱マガジンとか、そういうとこはなんも問題ないのですが、初速のほうがちょっと……というか大分低いのです。
30℃越えの炎天下で計測してまさかの65mps、ある改良を施しても75mps。ひと昔前の基準なら「高い高い」と喜ぶところですが、テーパー50%の弾受け2.4gでこの初速は低すぎます。
なんかMustangに対してちょっと冷めちゃって、放置してエアガン買い漁っておりました。(ASGのCZ805とかKSCのマカロフPMGとかWEのM14EBRとか)スマヌ。


原因は判明しております。
それは「弾受けの掛かりが悪い」ことで、紐製弾受けを使うレール式には必ず付いて回る問題です。
紐製弾受けを使って効率よく弾を押し出すには
「軽く」て「太く」て「短い」弾受けを使う必要があります。(あくまで私と同じパーツ構成のスリングライフルだけね)
まず大前提として、弾受けは出来る限り軽量化する必要があります。それはゴムが加速させるのは弾だけではなく、弾+弾受けだからです。
弾が5gに対して弾受けが5gとすると、ゴムは10gの物体を加速させねばなりません。で、弾受けの5gを加速するのに使ったエネルギーはそっくりそのまま無駄になります。なんとも非効率的ですね。つまり、弾受けは出来る限り軽量なもの、つまり、径の小さいものを使う必要があるのですが……そうすると、今度は弾受けの「掛かり」が悪くなります。弾受けが弾の水平方向の重心軸というか、弾の芯を捉えていないと、加速の際にエネルギーの伝達方向がズレて斜め上や斜め下側に向かって飛ぼうとします。エネルギーを伝達しきれずにピッチャーフライのようにかっ飛んでいくような状況です。レールはこの伝達方向のズレを補正するために付いているのです。が、あまりにもズレがひどいと弾がレールを変形させ、弾受けが弾を追い越したり、レールを破壊して横方向から飛び出そうとします。つまりズレてる分だけレールに弾か弾受けが押し付けられている形になるので抵抗によって初速低下します。
このズレを補正するのには、上下レール間の隙間ギリギリの太さの弾受けを使うか、筈(ノック)を付けた弾やお椀型の窪みを付けた弾受けを使うといった手があります。が、筈以外の策は大前提である「弾受けの軽量化」と相反していますので、その妥協点を探るのがスリングライフルを作る上で大きな課題となっています。筈は機械的に連発式にも球形弾にも向かないのと、既存製品では付いてるものが無いので自作するしかない=弾の形状や重量が不均一になるのとで採用していません。
「短い」というのは、ヨーク・フック間距離が同じとき、弾受けが短いほうがゴムの引き伸ばし率と加速距離が大きくなるからですね。ゴムとの結び目からビロビロ伸びてる分があるので、単純に「短い」=「軽い」ではないことに注意です。大抵の場合は切っているのですが、同重量の弾受けを使って引き伸ばしを変える実験をするときなどは結び目の位置を変えて調整するのでね。



前置きが長くなりましたが、Mustangは設計上非常に弾の芯を捉えるのが難しいライフルになっているのです。
大口径であるため、レール間ギリギリの紐製弾受けだと重すぎて初速低下し、
細い弾受けだと球形弾であるため上下に逃げやすく、
M字レールが上フレームにあるためレール間の隙間の中点は弾の芯より下側にあります。
さらに推測ですがゴムの加速軸がフレームと水平な場合、重力がある分弾受けは軸の少し下側を通るか、芯を捉えても上下方向に滑って動く要素がある場合は下側に動くんですよね。
つまりMustangは非常に弾の下半分に弾受けが掛かりやすく、芯を捉えられないのです。


で、私がMustangに施した改良というのが、「弾受けの中点に結び目を作って一部だけ太さを変える」というものでした。これがそれなりに効いて65mps→75mpsになったのですが、初速が不安定になってしまいました。ゴムとの連結部の結び目の緩みとか、中点の結び目が左右にズレるとか色々原因は考えられます。
「これはたぶん樹脂でお椀型の窪みを付けた弾受けつくりゃ解決するんだろうな〜」と思いつつ、「でも俺の主義に反するしな〜」とかグダグダしてたら人生何回目かわからんエアガン欲求のピークが来て今に至るというわけです。



でね、私は既存の発想では満足できないのですよ。つまり、新しい(?)解決方法を思いついたのだ。
上に挙げた「軽い」「太い」「短い」の三要素のうち、「太い」だけは必須要素ではないのです。
この三要素、正確に言えば「軽い」「芯をとらえやすい」「短い」となります。
「レール間の隙間ギリギリの太い紐使えば上下に弾受けが動き難い分芯捉えやすいよね〜」ってことです。
レール間の隙間ギリギリの紐を使うのは芯を捉えるのには間違ってない方法です。省力生産、単純な設計って意味では完璧だと思っています。
つまり間違ってるのはレール間の隙間の方です(断言)広すぎるんですよ。

見た瞬間「隙間空きすぎてキモいな」って思いましたもん。角パイプ+M字レールで11mmパチンコ玉はキャパオーバーなんですよ。
Appleheadの時もキモいなって思いましたもん。
美しくないものは大抵性能も低い(超偏見)これ、「大口径だから悪い」てことではないですよ? 小口径でも隙間が広すぎると同様の問題が起きます。
レール間の隙間が広ければ広いほど、隙間ギリギリの弾受け紐も太く重くなってしまいます。
逆に、狭ければ狭いほど細く軽く出来るわけです。(細すぎても強度や指に喰い込んで痛いって問題も出てくるのですが)


つまりこの2017年になって、大昔のこの構成が生きてくるのです。

上下レールです。角パイプフレームになってからスリム化と省力生産化を進める際に「上下レールとかデブいしヤだ(笑) 角パイプフレームの面と片側M字レールの3点保持が無駄なくて最高や」と切って捨てた設計です。
しかし今はコ型フレームがあります。
コ型フレーム+M字レールで上下を作ると、8mm弾仕様で上下幅30mm! レール間隙間は芯を中心にして2.5mm!(ノギス行方不明のためものさし計測)  
最高だぁ……(法悦) こんだけ細いと9㎜とか10㎜でもかなり細く作れます。
あ、パチンコ玉で測ってない理由は下に書きます。
 

いろいろ課題もあるんですけどね。
下フレームにレールが付くので、せっかくMustangで完成した球形弾用自動給弾機構が今んとこ使えない(パチ玉で測ってない理由)とか、そもそも角パイプを使わないので今までの基本設計(下フレームの角パイプの一部を削って機関部その他諸々をはめ込む。フレームと機関部が直結するので強度面で有利)が使えないとか、上下幅が狭すぎて既存の挟み込みヨークが使えないとか、結構重大なのが。
この辺があって今までコ型フレームで上下作る発想が表面化しなかったのです。
……まあやるだけやってみます。まだ口径も決まってないんですけど、近いうちにデザイン画発表です。
これができればダボ弾仕様の角パイプフレームスリングライフルは過去の遺物になりますね。
Mustangはちょっと計画中断です。可動マウントを除けばすげー気に入ってるデザインだし機構は完璧に動くので、初速問題はなんとかして必ず完成させます。

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