今作は「パワー重視でない」「タロン型構造からの脱却」ってことで、球形弾連発式の機構の作動原理やら政策のノウハウやらを「よくわかるスリングライフル製作講座」みたいな感じで全部公開して徹底解説していきます。この設計図どおりに作ってもタロンやレオパルドのような大威力は出ないので安心です。
記事中でわからない部分があれば遠慮なくコメント欄に書いてください。私に出来る範囲で徹底解説します。
さて、まずは今作のデザイン画とスペックを見てコンセプトを再確認しましょう。
全長 800mm
口径 8mm(8mm鉄球)
装弾数 10発
ゴム 幅21mm 折径10mm 1対
引き延ばし 4倍
テーパー率 50%
プリテンション 0%
目標初速 55〜60mps
コッキングハンドル装備
球形弾仕様の自動給弾機構搭載
着脱式箱型弾倉
デザイン画とスペックからわかることを下に挙げます。
・レール式である
・M字レールを使わない
・軽量小口径の球形弾を使用する
・全長が短い
・曲銃床である
・自動給弾機構を備える
・ゴムの引きが軽い
・ゴムの寿命が長い
・テーパー加工を採用し、無加工のゴムより高初速が出せるようにしてある
・フロントサイトがない
・スコープが取り付けられている
・バイポッドが取り付けられている
・スライド式コッキングハンドルが取り付けられている(位置的に巻き上げやテコではない)
以上からわかることは、
・精度を出すため球形弾を採用している
・ドットサイト・スコープ等の光学照準器の使用を前提としている
・短加速低倍率のゴムでも初速を出すためにゴムのテーパー加工と軽量弾を採用している
・引きが軽いのでスライド式コッキングハンドルを採用している
・30m以遠を精密に狙えるような精度は目指していない
ですね。
5番目が引っかかる人がいると思うので解説しますと、現在の私の認識が、「レール式=初速と精度は犠牲になるがリピーターやオートを作りやすい」なので、レール式を選択する時点で遠距離射撃や精密射撃ってことにある程度の諦めがあり、さらに低初速の山なり弾道が加わって30m以遠は絶望的だろうということです。
つまり「エネルギーを犠牲にして初速・精度・速射性をある程度両立しようとしたライフル」が今作Stargazerです。
Model17 CometやModel21 Appleheadと同じコンセプトなのがわかると思いますが、こんなにいろいろ変わるんです。
技術革新の賜物ですね。
コンセプトはしっかり理解できたと思うので、次は機構についてです。
今作の大きな特徴として「M字レールを使わない」ということが挙げられます。
球形弾の自動給弾機構の設計上、どうしてもM字レールの高さが邪魔になるのです。そのために失敗した機構も数知れません。
「上フレームにM字レールを取り付ける」のは有効な手なのですが、とにかく見た目が悪くなります。見た目を抜きにしても、取付用のボルトが照準線に入り込んだりスライドコッキングハンドルの動きを邪魔したりします。
なので今作のレールはこれです。
メリットはレールの高さが0になり自動給弾機構が作りやすく見た目も良くなることです。
レール式でフレームの高さが40.1mmはかなりスマートですよ。
デメリットは工作技術が低いと精度に難が出るかもしれず、傷ついたら上フレームごと交換しなければならないことです。
ここらは短いフレームやレールを傷つけにくい球形弾と組み合わせることでごまかしています。
また、レールの高さが無いので機関部も慣れ親しんだタロン型から変更せねばなりません。
・赤 フック
・青 シア
・橙 トリガー
これが新しい機関部です。
弾受けが機関部の中心に掛かる構造で、フックを反転して上方に配置し直し、シアとの噛み合わせをフックの棒に設け、シアとフックのリターンスプリングを松葉バネ一本で兼用しています。
かなり合理的で軽い構成になっているのではないでしょうか?
タロン型と比べると、トリガーボックスに深い溝を作らねばならないのとシアの形が複雑になったのとで全体的に製作難易度が高いのが難点ですね。
製作が面倒臭かったり無理だったりする人はこちらのフレーム下部を削ってはめ込む方式のを作ればいいんじゃないかと思います。
どちらも4.5mm厚・幅38mmの鉄フラットバーの3枚重ねで、軸と補強ピンにはφ5mmの鉄棒を使い、ディスクグラインダー・溶接機・セメダインメタルロックの使用を前提に設計しています。
最低でもこれに近いものを作れないと自動給弾機構搭載のスリングライフル作るのは難しいので、この記事見て「よし作ろう」ってなってる人は頑張ってくださいね。
次回は実際に機関部作っていきます。
久しぶりに書き込ませていただきます
質問なのですが、玉受けはいつも通りヒモなのでしょうか。
お久しぶりです。
弾受けはやっぱりいつも通り紐ですが、紐製弾受けに対する知見も幾分か深まって来ました。
同じ重量なら細いより太い方がいいとか、軽ければ軽いほどいいとか、その程度ですが。
今回はゴムにパワーがないので5mmクレモナ金剛打に結束バンドでループを作る方法が使えそうで、大分軽く作れると思います。
回答ありがとございます
5mmのヒモ玉受けだと今回のアングルレールだと、加速時に玉とレールの間に入り込もうとするヒモがアングルの角で摩擦して切れませんか?