32歳妻から「3万の夫のこづかい」の“値下げ”を相談されたFP、逆に“値上げ”を提案した理由
佐藤由紀さん(32歳・仮名)はパートをしながら家事・育児を一手に担う兼業主婦。夫の敏夫さんは年収450万円(手取り:360万円)ほどで、月のおこづかいは3万円ですが、コロナ禍が小康状態となって飲み会が増えるとおこづかいではやりくりできず、由紀さんに「飲み会のお金を家計から出してほしい」とお願いします。
すると、由紀さんから「家を買うために切り詰めて貯金してるのに!」とキレられ、ケンカになってしまいます。由紀さんは著者のFP・長野さんの元に、夫のおこづかい値下げを検討していることを相談しに訪れますが、長野さんは逆におこづかいの値上げを提案しました。それはいったいなぜななのか。由紀さんの不満の原因とともに解説します。
【前編】「こづかい3万の38歳夫が「飲み会代を家計から出して」、32歳妻がその一言にキレたワケ」
低く見られる「家事労働」
由紀さんの不満は、自身の「ワンオペ家事・育児」がきちんと評価されていないところにあったのではないか。
日本の家庭においては、妻が財布を握れれば、たしかに「ウチの大蔵省」(かなり古い言い方)などと言われ家庭内で発言権もあり、その中からこっそり自分のお金を貯めることもできる。これがいわゆる「へそくり」。しかし、そのバーター取引として引き受けたのが一切の家事労働を1人でする「ワンオペ家事・育児」なのだと思う。
そして問題なのは、「収入を得る労働」と「家事労働」との間には大きな評価の差があることだ。
仕事のしんどさは多くの人にとってわかりやすい。今時、結婚するにしても「家事手伝い」の境遇から、そのまま結婚へという人はあまりいないだろうから、男性も女性も正規でも非正規でも賃労働の経験はある。だから賃労働の大変さ、職場の人間関係のしんどさは身をもってわかっている。賃金が安くても高くてもお金を稼ぐのに楽な仕事はないことは理解できる。