槇野博史学長をめぐる新たな論文不正問題 ―学長としての資質を問う重要な問題―


 本ホームページでは、岡山大学の槇野博史学長をめぐる様々な問題を提起して、岡山大学を正常化するためには、槇野学長は職を辞するべきであるという主張を展開してきました。

 そして、今回、学長の資質を問う重要な問題、新たな論文不正疑惑(文末の【註1】参照)が生じましたので、その経緯と内容を中心に報告したいと思います。


論文不正が見つかった経緯

 今回の論文不正は、本年11月3日付けで、論文不正の問題を取り扱う白楽ロックビル氏(本名 林正男氏;お茶の水女子大学名誉教授)のホームページで指摘されています。

https://haklak.com/page_table_japan.html

 ホームページを開くと、トップページでは、直近5件の論文不正が摘発されています。槇野学長の不正論文の指摘はこれより前の時期であり、トップページでは見ることができません。しかし、検索欄に「槇野」と書いて検索すると以下の内容が表示されます:

 【公表年月日は本年11月3日、論文不正の対象者の名前は槇野博史学長(最終著者)、不正の内容は「ねつ造?」、2007年、2000年の2編の論文について「対処すべし」とされ、エリザベス・ビック氏の指摘により発覚、出典はパブピア】

 パブピア(PubPeer )はすでに出版された科学論文の諸問題について評価する世界的に有名なWeb siteです。今回の不正を指摘されたエリザベス・ビック氏(Dr. Elisabeth Bik)は、米国スタンフォード大学微生物・免疫学教室の研究者だった方で、現在は科学論文の在り方について言及し、具体的な論文不正を指摘されていますが、その科学的な姿勢や手法については、高い評価を得ています(文末の【註2】参照)。


論文不正の内容

 パブピア(PubPeer )でエリザベス・ビック氏(Dr. Elisabeth Bik)が指摘した槇野学長をめぐる論文不正は以下の2件です。

https://pubpeer.com/publications/5931A810E4E94E19B88ADAFBF0E5BB

https://pubpeer.com/publications/DA8D091B2A5419CBB6E7E894B882A2

 1件目の論文は、

Yanling Zhang 1, Jun Wada, Akihiro Yasuhara, Izumi Iseda, Jun Eguchi, Kenji Fukui, Qin Yang, Kazuya Yamagata, Thomas Hiesberger, Peter Igarashi, Hong Zhang, Haiyan Wang, Shigeru Akagi, Yashpal S Kanwar, Hirofumi Makino. The role for HNF-1beta-targeted collectrin in maintenance of primary cilia and cell polarity in collecting duct cells. PLoS One, 2007 May 2;2 (5):e414.doi: 10.1371/ journal.pone.0000414.

 2件目の論文は、

Yoshinori Tsuchiyama 1, Jun Wada, Hong Zhang, Yoshitaka Morita, Keita Hiragushi, Kazuyuki Hida, Kenichi Shikata, Masahiro, Yamamura, Yashpal S Kanwar, Hirofumi Makino. Efficacy of galectins in the amelioration of nephrotoxic serum nephritis in Wistar Kyoto rats. Kidney International, 2000 Nov;58 (5):1941-52. doi: 10.1111/j.1523-1755.2000.00366.x.

 いずれも、岡山大学大学院医歯薬総合研究科、腎・免疫・内分泌代謝学教室から出された論文で、槇野博史学長が教室の主任教授を務めていた時期に発表されています。2論文ともに槇野学長は最終著者(final author)で、責任著者(corresponding author)は現在同教室の主任教授となっている和田淳氏です。

 不正疑惑の内容は、いずれも論文中の図のねつ造 です。

 エリザベス・ビック氏(Dr. Elisabeth Bik)の指摘では、1件目の論文では、「異なるとされる2グループからの写真は、同じ試料の同じ場所からとられた写真と思われる。蛍光写真の検出感度を変化させ、片方が180度回転しているため、あたかも異なる写真に見える。」、2件目の論文では、「処置の異なる4つのグループからの写真のうち、3グループの写真の3か所に同一と思われる箇所が存在する。これら3つの箇所は、方向性と位置をそれぞれ変えてある。異なったグループからの写真は、どちらかを180度回転させると、同一であるように思われる。」などとされています。

 本ホームページをご覧になっている皆さんも前記のパブピア(PubPeer )のアドレスからエリザベス・ビック氏(Dr. Elisabeth Bik)の示す画像不正の指摘をぜひご自分で確認してみてください。画像における巧妙な論文不正が見えてくると思います。

 また、エリザベス・ビック氏(Dr. Elisabeth Bik)が論文不正の内容や摘発方法等について述べている以下のページもご参照ください。

https://www.editage.jp/insights/i-found-about-2000-problematic-papers-says-dr-elisabeth-bik

 架空の実験を示すなどのために、画像の複製や不正加工が様々な方法でなされていることも記されていますが、槇野学長が関わっている2件の論文もその類であることがわかります。


論文不正の問題点

 国際的に評価されているエリザベス・ビック氏(Dr. Elisabeth Bik)が、客観的な立場から、槇野学長が岡山大学大学院医歯薬総合研究科、腎・免疫・内分泌代謝学教室主任教授を務めていた時期に発表した論文の不正疑惑を指摘したことは、極めて重い事実です。

 まず、学者、研究者として、あってはならないことであることは皆さんもご理解いただけると思います。研究不正、論文不正は科学の根本的姿勢を覆す行為であり、それらが発覚した場合には、時には学者、研究者としての職をはく奪され、学会や学術誌における追放措置などの重い処分に至る場合もあります。

 本件においては、筆頭著者は槇野学長ではありませんが、教室の責任者として研究を統括する立場にあったことを考えると、「自分は関与していない」、「自分は知らなかった」、「すでに過去のことである」などいう抗弁は成り立ちません。

 論文不正が行われる背景には、研究倫理に関する教室ガバナンスの欠落、論文成果至上主義による研究コンプライアンスの低下などがあげられますが、槇野学長は、それらについて教室の責任者としての役割を全く果たしていなかったことになります。

 研究論文に関しては、その論文に関わった者、特に教室責任者【通常は本摘発例のように論文の最終著者(final author)】、責任著者(corresponding author)の責任は非常に重いものです。過去には、教室員の多重投稿をめぐって、教授である岡山大学病院副病院長が責任を取られて、潔く職を辞された例もあります。その当時、槇野学長は病院長であり、その処分を下す立場にありました。

 国立大学法人岡山大学長適任者選考規則第2条では、「学長適任者は、人格が高潔で、学識が優れ、教育研究活動に識見を有し・・・・・」とあります。今回指摘された論文不正は、単なる一研究者・一教室の研究不正疑惑ではありません。大学研究者トップの学長としての槇野学長の資質を問う極めて重要な問題です。


今後の展開

 私たち「岡山大学を正常化する会」は、この度の槇野学長をめぐる新たな論文不正問題について、その問題の重要性を鑑み、岡山大学には至急第三者による調査委員会を設けて、不正疑惑を検証していただきたいと考えます。 

 また、槇野学長は、この問題について、最高学府である大学の責任者として、ご自身の考えを記者会見等で明らかにすべきと考えます。

 昨今話題となっている日大事件について、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、「日大、というより田中理事長は過去の黒い交際疑惑(2014年)、工事業者からのリベート疑惑(2013年)、そしてアメフト騒動(2018年)、それぞれ大きなスキャンダル・不祥事を『記者会見しない、説明しない、辞任しない』というダンマリ作戦で結果的には逃げ切りに成功しています。」と述べていますが、現在の槇野学長は、まさしく田中理事長と一緒で、様々な疑問に対して全く答えようしていません。つまり、「逃げ切り」を考えているとしか思えません。

 調査委員会ができた場合に、それを統括するのは那須保友研究担当理事になるでしょうが、ここにも問題が生じる可能性があります。 

 なぜなら、那須理事は、本ホームページの「岡山大学の人事選考の問題点 〜その詳細と改善についての一考察〜」「槇野学長の岡山大学人事運営上の問題点」があきらかにしたように、岡山大学病院長選考において、槇野学長に忖度して、選考会議学内委員に対する不正な指示や委員長にあるまじき不適格な病院長候補推薦をした「実績」があるからです。

 今回のような不正論文疑惑解明において、そのような忖度がなされる可能性があることは、学問の府として極めて恥ずべきことでありますが、残念ながら、これが岡山大学執行部の情けない現状です。


本問題を解決するために

 まずは、皆さんにこのたびの槇野博史学長をめぐる新たな論文不正問題とその重要性を認識していただき、学内外にこの問題を周知していただくことが大事だと思います。そして、岡山大学においては、第三者による公正な調査を行い、調査結果を公表するとともに、社会に対する謝罪をお願いしたいと思います。 恣意的人事問題、写真の公金流用問題、不正経理問題、大学病院PFI事業契約違反問題に加えて、ついに不正論文疑惑まで起こしている槇野学長、かつて、このような問題多き学長がわが国の大学に存在したでしょうか?

 私たちは、槇野学長には、即時退陣を要求したいと思います。槇野学長の「逃げ切り」を許してはなりません。そうしないと、岡山大学の評価は、現在にも増して底知れぬ低下を招くことでしょう。

「岡山大学を正常化する会」有志


【註1】

今回の論文不正疑惑は、2012年ならびに2013年に指摘された論文不正疑惑と異なる論文です。

【註2】

エリザベス・ビク(英: Elisabeth Bik)は、米国在住の微生物学者。スタンフォード大学に在籍していた2016年4月20日に、研究不正が疑われる800本の論文の存在をbioRxivに発表し、Nature誌などに報じられた。その後も研究不正に関する情報をSNS等で発信し、2019年に中国の南開大学学長の不正疑惑を大きく報道させるなど、世界的に注目を集めている。2019年のジョン・マドックス賞にノミネートされ、受賞は逃したが表彰を受けた。

経歴

オランダ国立公衆衛生環境研究所で行ったコレラの研究によって、ユトレヒト大学から博士号を授与された。米国に移住し、スタンフォード大学医学部で微生物の研究を15年間行った。民間企業勤務を経て、2019年にマイクロバイオームと研究公正を専門とするコンサルタントとして独立した。

(Wikipediaより)

岡山大学を正常化する会

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このホームページでは、皆様に現在の岡山大学の諸問題を事実に基づいてお伝えし、岡山大学を「正常化」するためにはどうすればよいのかを一緒に考えたいと思います。

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