ばいしょうもんだい【賠償問題】
西欧近代史において,主権国家間の紛争に戦争という形で決着がつけられた場合,交戦国の一方が他方に対して,戦争によって生じた損害を金銭,物品などで賠償するという慣行があった。戦勝国が敗戦国に償金indemnityを課す慣行は,17世紀以来,一般的な方式に展開し,19世紀には償金に関する規定を講和条約に盛り込むのが通常となった。国際市場の発展に応じて,国内の商品経済の柱である法体系に準拠し,償金金額の評価,支払いが行われた。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
賠償問題
ばいしょうもんだい
Reparation Problem
一般的には近現代史における国家間の戦争において,戦勝国が敗戦国に金銭を賠償させることをさすが,狭義には第一次世界大戦後のドイツの賠償支払いに関する問題のこと
ドイツが負った賠償総額は,ヴェルサイユ条約にもとづき,1921年,1320億金マルクと決定されたが,支払い能力を超えたものであったため,23年にフランスのルール占領を招き,ドイツ経済は破局にひんした。そこで1924年ドーズ案で支払い方法が緩和され,29年ヤング案で358億金マルクに減額された。しかし,世界恐慌のため,これも実行不能となり,1931年フーヴァー−モラトリアムが出され,32年ローザンヌ会議で30億金マルクに修正されたがこれも実行されず,ナチス政権は賠償自体を拒否した。
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報