自衛隊の医官の特別手当は「日給」3000円

 なお、集団接種における自衛隊医官の扱いは、悲惨だった。朝から晩まで、丸1日、ワクチン接種や問診をしても、特例手当は1日わずか3000円。休日や夜間手当もなかった。自衛隊の医官は防衛医大などを卒業して任官した正式の医師なのに、自衛官の業務の一環として扱われ、医師としての技術料は上乗せされなかった。

5月31日、都内に設置された自衛隊による大規模接種センターには大勢の人々が列を作った(写真:アフロ)

 もっとも、ワクチン接種に特段技量が求められるわけではない。関東の大学病院の教授はこう話す。

「医療機関で日常的に注射を打つのは看護師。医師は看護師任せにしているので、注射は看護師の方が医師より圧倒的に上手です。

 ところが日本では、ワクチン接種は原則医師にのみ認められ、看護師が打つ場合は、医師の監督下でなければ行えません。また歯科医師はむろんのこと、救命救急士も日常的に注射を打っています。金が儲かるワクチン接種のみ医師が独占するというのは合理的ではありません」

 実際、英国では、救命救急士や理学療法士、薬剤師らも接種が可能。フランスでも薬局で薬剤師が接種している。