以下、以前ツイートしたインド株が拡大した場合の感染ピークの推計を汎化して記事としてまとめたいと思います。
ツイートにもありますが、マサカリ歓迎です。 (大雑把な推計なので細かい所は勘弁を)
目次
インド株ピークの推計
以下の記事を参考に、インド株は英国株の1.5倍の感染力として推計したいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad813288ea8be324055a6e130c3ceeb6e9242a96
ちなみに、イギリス株は従来株の1.32倍の感染力として、前回のピーク(5月ごろ)と従来株のピークも比較検証してみたいと思います。
単純化のため、前回の拡大についてイギリス株が100%である場合を仮定して推計します。
(実際には異なりますが、おおよその数字の推計と、その他の株の推計方針の考察に役に立つと思います。)
以下の記事を参考に、感染者した人が他の人にうつすまでの期間を平均10日程度と設定
感染してから症状を発症するまでの平均期間は5~6日
発症する2日前から発症後7~10日間程度が感染可能期間、いわゆる人にうつしてしまう可能性のある期間
10日間で1人がうつす人数をa
人とすると、同じ条件でのインド株感染者のうつす人数は
a*1.5
以下のグラフから、前回の感染拡大のスタートからピークまでは2ヶ月程度と設定
拡大スタートからピークまでおおよそ2ヶ月くらいとすると、10日間はおおよそ6回
拡大スタートがb人と仮定すると
10日後の感染数はb×a、20日後はb×a×a=ba2、...、約2か月後(60日後)のピーク時にはba6となります。
同様に、インド株の60日の拡大を推計すると
10日後の感染数はb×(a×1.5)、20日後はb×(a×1.5)×(a×1.5)=b(1.5a)2、...、約2か月後(60日後)のピーク時にはb×(1.5a)6=ba6×1.56となります。
これまでと同程度の対策であれば、インド株はイギリス株のピークの1.56≒11.4倍程度となる事が予想されます。
少し大きい数字にも思えますが、過去の従来株ピークと英国株ピークを同様の推計で比較(後述)した感じだと、それほど的外れではないかなという気がします。
あくまで制御可能な状況での推計で、前回ピークでは、すでに"医療崩壊"なんて言葉も飛び交っている状況だったので、前回拡大時の10倍程度の感染者が病院に入れない可能性もあります。
制御不可な状況となった場合、感染拡大期が伸び、1.57倍、1.58倍とピーク倍率がさらに拡大する可能性もあります。
ピーク倍率の推計を数式化
ここまでの推計をまとめると、おおよそ以下のような式で感染ピークの倍率を推計できそうかなと思います。
感染力の倍率^(感染拡大日数/10日)
さきほどの推計を当てはめると
イギリス株に対するインド株の感染力の倍率^(感染拡大日数/10日)
=1.560/10
=1.56
≒11.4倍
となります。
単純化している所が多いので、それほど正確ではないと思いますが、大雑把に推測するくらいにはいいかなと思います。
「英国株 対 従来株」で推計を検証
以下の記事を参考に、英国株は従来株の1.32倍の感染力として、前回ピークと英国株拡大前のピークを比較検証してみたいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad813288ea8be324055a6e130c3ceeb6e9242a96
前々回のピーク(1月中旬ごろ)は英国株の感染も広がっていたと思われるので、昨年夏のピークと比較してみたいと思います。
感染拡大はどちらも約2か月として、先ほどの推計式にイギリス株の条件を当てはめると
従来株に対するイギリス株の感染力の倍率^(感染拡大期間/14日)
=1.3260/10
=1.326
≒5.3倍
となります。
以下のグラフから、今年5月と昨年夏のピークを比較すると、およそ5倍程度。
全ての人がイギリス株に感染しているわけではない事を加味すると、大雑把な推計としてはそれほど的外れではないかなと思います。
新しい変異株や異なる感染力情報の推計にも
さきほどの推計式は新しい変異株や別情報からのピークの推計にも使えます。
ここまで、以下の記事を参考に推計して来ましたが、感染力についてはいろんな情報があり一定していません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad813288ea8be324055a6e130c3ceeb6e9242a96
例えば、以下の記事だとインド株は従来株の1.78倍、イギリス株のおよそ1.2倍とされています。(イギリス株は従来株の1.78/1.2≒1.48倍)
先ほどのピーク推計式に当てはめると、インド株のピークはイギリス株の1.260/10≒3倍程度になります。
(ここまでの所、日本の感染拡大は2か月くらいなので、以降、指数部分は60日/10日=6で固定します。)
今年5月ピークは昨年夏ピークの1.486≒10.5倍程度と推計できます。
(先述の通り、従来株100% 対 イギリス株100%で仮定しているため、実際の状況よりも大きな数字となります。)
今後、新しい変異株の感染力情報が出た場合も、同様にあてはめて推計可能です。
今後の考察
ここまで、感染力の情報をもとにピークの推計をして来ました。
最後に、ここまでの推計や、ワクチン接種状況、前回の感染拡大時の状況から、今後について考察したいと思います。
感染数について
これまでの、感染拡大の周期をみると、7月下旬ごろに再拡大がはじまるのではという気がします。
以下のニュースを参照すれば、インド株は半数程度という事なので、インド株が本格化するのは、もう少し先になりそうかと思います。
残りの半数のイギリス株の割合は今より増えると考えられるので、その分だけで前回ピークを上回る程度になる気がします。
残りの半数のインド株と合わせると、少なくとも前回ピークの2倍程度に
あくまで、現状と同程度の対策をした場合ですが、五輪の開催や、対策疲れなどで対策の限界が近そうな事を考えると、さらに厳しい対策は難しいのではという気がします。
重症数、死者数について
高齢者のワクチン接種が進んでいるので、ワクチンだけを考えると重症数・死者数は減りそうかなと思います。
ただ、64歳以下の接種完了はまだまだ進んでいない事を考えると、感染数は上述の通り大幅に増える可能性があり、接種の完了していない高齢者へ到達する可能性や64歳以下の重症化の数も増える事になります。
当面は、ワクチンと感染数の数の暴力のせめぎあいで、ワクチン接種が進んでも重症数・死者数が減らない、場合によっては増加する可能性もあると思います。
また、ピーク推計での内容と重複しますが、前回の感染拡大でも既に"医療崩壊"の言葉が飛び交っていた状況なので、重症数が前回ピークよりも大きく増えた場合、病院に入れない人が増え、十分な処置を受けられず重症化というケースも増えるのではないかと思います。
一番気になる事 (妄想8割)
ワクチンの接種が全世代である程度進めば、海外でワクチンが効かないような変異が出ない限り、当面はだいぶ落ち着いてくるかと思います。
ただ、ワクチンの接種が進めばいいのですが、必要性を感じないなどにより若年層などでワクチン接種が進まない可能性もあるかと思います。
以下、仮に若年層などでワクチン接種が進まない場合についての考察
仮に若年層で接種が進まない場合、若年層でインド株や新しい変異種が拡大、また、ワクチンにより全体の重症数・死者数が減少し、場合によっては感染を許容する空気感が拡大するなどが考えられます。
その場合、重症数・死者数は減少しても、感染数は増加、場合によっては感染状況が常態化するのではないかと思います。
感染数が増えれば、変異回数も増え、世界中で様々な変異が出ている以上、日本でだけ日本に適応した変異が出ないという可能性は小さい気がします。
日本に適応した変異株が発生すれば、さらに感染数が拡大し、割合は小さくとも、重症数・死者数も増加に反転という可能性もあると思います。
また、現在報道されている各変異株についても、小さいながらワクチンに徐々に適応しているように思われます。
感染数が増え、変異回数が増えれば、ワクチンへの適応ペースも加速するのではないかと思われます。
ワクチンへの適応が進んだ場合、再び高齢者にも感染するようになり、重症化や死者が拡大する事になります。
感染を許容するような空気感の中で、日本適応株やワクチン適応株が発生した場合、現在のインドのような状況も十分あり得ると思います。
また、局所的な強毒化で、一時的に若年層の死者も増加というケースもあるかもしれません。
まとめ
- ピークは大雑把に
感染力の倍率^(感染拡大日数/10日)
で推計できそう - これまでの日本の感染拡大期間は2か月くらいなので、
感染力の倍率^6
で推計できそう - 感染状況の制御が効かなくなれば、拡大期が伸び、
感染力の倍率^7
、感染力の倍率^8
とピークも拡大しそう - ワクチンはできるだけ接種した方がいいと思う
追記
21/06/19 "新型コロナのデルタ株は日本人の免疫を回避し感染力も強い"
以下の内容は、本記事のインド株のピーク推計には含まれていないため、以下を加味するとピークは本記事での推計よりも、さらに大きくなる可能性があります。
【新型コロナのデルタ株は日本人の免疫を回避し感染力も強い】東大などが確認
— Hero (@laddiecherie) 2021年6月18日
新型コロナウイルスのイプシロン株と、デルタ株に共通するスパイクタンパク質の「L452R変異」が、約60%の日本人に見られる白血球型の細胞性免疫である「HLA-A24」からの逃避に関わると発表。https://t.co/3aURUB25to
21/06/23 "「感染力強いデルタ株のR(再生産数)は最大7」英当局"
何も対策を施さなかった場合、デルタ株のRは5以上、おそらく最大で7になる恐れがある
アルファ株でもデルタ株でもないもともとの株のRは2.5
デルタ株(インド変異株)はアルファ株(英国変異株)の2~2.8倍感染しやすい事になります。
以下の記事で、上記の情報をピーク推計式に当てはめて、日本でのデルタ株のピークを推計してみました。