ここまでの感染状況から特に感染リスクが多いと思われる地域や年代などに絞って考察したいと思います。
まず、東京からの拡大が多いので、特に東京の状況について、考察したいと思います。
以下、あくまで推測で、おおよその検討で設定している値もあるので皮算用的なものです。
あくまで可能性としての考察になります。
目次
動機 ~ 第5波の新型コロナ縮小状況
以下は東京都の陽性者数と陽性者数の7日間移動平均
データの参照元は以下
だいぶ減ってきてるのが見て撮れます。
以下は、Googleのモビリティデータ(東京都)を元に波の先行情報チェック用に値を調整してグラフ化したものです。
元のデータは人流の減少率のデータですが、グラフは適当なゲタをはかせて(適当な値を足して)累積でグラフにしています。
"ゲタ"の意味としては、ある人流の程度を境に感染の拡大・縮小が切り替わると想定してのものです。
また、"累積"については、日々の人流の少なさ、または多さが積みあがって感染の状況に現れると想定してのものです。
例えば、閾値以下の人流が続けば感染は縮小し、閾値以上の人流が続けば感染が拡大すると思われます。
"ゲタ"については感染の波に合わせて、適当に設定したものなので、先述の通り、あくまでグラフ自体がおおよその目安です。
住居項目については、住居にいる人が多いほど感染は縮小すると考えられるため、他の項目と違い、累積値に-1をかけて、感染数のグラフと比較しやすいようにしています。
おおよそ、人流が増えてくると陽性率が上がり、少し遅れて感染が拡大し、逆(減少)も同様です。 (繰り返しになりますが、先行指標の目安として、そのように調整したグラフです。あくまで正確なのでなく、雰囲気を見る用に作成したグラフです)
このグラフの傾向からすると第6波の前兆がみえてきてもおかしくないように思えます。
ですが、陽性率と感染数は、これまでと比較して、だいぶ小さい方で、拡大が本格化し始める前の昨年6,7月と同程度まで下がっています。
いままでの感染拡大状況と少し違うように感じられます。
また第5波の感染数がこれまでの数倍あったことも考慮して、特に感染リスクが高いグループで感染が進み、局所的に集団免疫に近いものが形成されている可能性について考察してみました。
感染済み割合の考察
未検査の感染者数の考察
以下のグラフは、症状別の感染状況のグラフです。
当初は、半分くらいが無症状であることが見てとれます。
このことから、少なくとも有症状の1倍程度は無症状であると考えられます。
感染の波が大きくなってきてからは、おおよそ無症状の確定数は全体の8%程度で、未検査の無症状は少なくとも、確定数全体の84%程度いるものと思われます。
当初から、無症状だと検査に行かなかった人は多かったと思われるので、少なくとも発表されている感染数の1~2倍程度は未検査の無症状がいるのではないかと思われます
最近では特に、無症状で検査を受ける人が減ったのか、波が大きくなってきても、それほど無症状の数は増えない模様です。
東京都の感染済み割合の推計
以下は東京都の検査陽性者の状況です。
10/9までの東京都の累計陽性者数は37.5万人程度です。
1~2倍程度の未検査の無症状がいるとすると、75~112.5万人程度。
東京都の人口が1396万なので、少なくとも5~8%は既に感染済みの可能性があります。
また、特に感染リスクが高いところ(職業、若年層)では、より感染済みの割合が高いと思われます。
東京都の30歳未満の感染済み割合の推計
以下は年齢別の感染割合
特に感染の多かった今年8月の感染状況を見ると、30歳未満で45%程度の感染となっています。
以下は東京都の年齢別人口の表です。
30歳未満の日本人は364万人程度です。
先ほどの年齢別感染数をもとに推計すると、30歳未満でで33.8~50.6万人の感染数で9.3~14%程度が感染していると推計されます。
東京都の30歳未満の比較的感染リスクが高いグループの感染済み割合の推計
以下のアンケートを仮の例として、感染リスクが比較的高いグループの感染済み割合を推計してみます。
外出を控える気持ちになる呼び掛け方については、「家族、大切な人を守りましょう」がトップで40.6%、ついで「コロナにかかると、後遺症(脱毛・味覚嗅覚異常・倦怠感等)が残る可能性があります」35.7%
約7割の若者が、外出は週2日以内に控えていた
という事なので、以下、仮に4~7割の警戒感は強く、感染が少ないと仮定して推計してみます。
※ 目安として数値設定で、あくまで方向性をみるための仮の例です。
残りの3~6割で感染が多いとすると、特に感染リスクが高いと思われるグループでは15~45%が感染済みと推計できます。
ここでは仮に30歳未満の3~6割で感染リスクが高いと仮定していますが、範囲はより広い可能性もあるし、もっと狭い可能性もあります。
※ 個人的な体感としては、より狭いという気がします。
感染リスクが高いグループでの集団免疫形成済みの可能性
年代やコロナに対する警戒感に限らず、職業柄なども含めて、感染リスクが高いところでより感染が進んでいるというのは妥当な仮定のように思われます。
上記の検討よりも狭い範囲(感染リスクのより高い範囲)では、より感染済みの割合が高いと思われます。
感染拡大につながるような、特に感染リスクが高いグループに限ると、その周辺で局所的に感染による集団免疫が形成されている可能性があるのではないかと思います
結果として第5波の収束につながった可能性があるかもしれません。
今後について
今後、外出がさらに増えると、もう少し感染リスクが低いグループを起点に感染拡大が始まる可能性があると思います。
ただ、ここまでの考察内容のように、よりリスクの高いグループ、特にインフルエンサーのようなグループからの感染拡大への影響が小さくなっているとすると、第5波よりも緩やかな波となる可能性があると思います。
現在、緩和路線のイギリスでも一時、感染が縮小して原因不明という話題がありましたが、同様の考察が可能だと思います。
あくまで、ここでの内容はおおよその数値設定が多く、皮算用といえるような推測なので、個人的には5分5分程度という感じです。
ただ、これまでは第6波もくるだろうなという感じでしたが、ワクチンの接種状況も考慮すると、他の変異が出るまでは、もしかすると第5波ほどの急激な大波はしばらくこない可能性もあるのかも?と感じています。
追記
「東京で無症状のコロナ感染者47万人 今春まで、都医学総研が推計」を参考に再計算
以下の記事を参考に、未検査の感染者数を発表の3.9倍、トータルで4.9倍として、再計算。
感染していた可能性がある人は約47万人。3月末までに都が発表した感染者約12万人の3・9倍にあたるという。
以下、10/9までの東京都の感染状況についての考察・推計(記事中考察の再計算)です。
- 累計陽性者数: 37.5万人程度
- 未検査を含む感染数推計: 184万人程度(≒37.5*4.9)
- 未検査を含む感染率: 13%程度 (≒184/1400)
- 30歳未満の未検査を含む感染数: 82.8万人程度 (≒184*0.45)
- 30歳未満の未検査を含む感染率: 22.7%程度 (≒82.8/364)
- 30歳未満の比較的感染リスクが高いグループの未検査を含む感染率: 37.8~75.7% (≒22.7/0.6~22.7/0.3)
※ 各計算の数値や推計の内容は、記事中の解説を参照してください。
ここで、30歳未満の中でも比較的感染リスクが高いグループを3~6割と設定していますが、実際にはより狭い範囲であると思われます。
仮に比較的感染リスクが高いグループを23%と設定して、23%に感染が集中しているとすると、比較的感染リスクが高いグループの98.5%が感染済みという推計になります。
実際には全て感染がそのようなグループに集中するわけではありませんが、傾向として、少なくとも、より感染リスク高いグループでは、より高い感染率となっているのは自然と思われます。
より感染リスクの高いグループでは100%に近い感染率となっている可能性も考えられるのではないかと思います。
特に警戒感の低いグループでの感染が終わり、ワクチン接種の進捗も合わせて、局所的な集団免疫が形成され第5波の収束に繋がった可能性もあり得るかと思います。
第6波を含め、新しい変異が入ってくるまでは、もしかすると比較的小さな波となる可能性もあるかもしれません。