法律関連
【2022年】採用・雇用に関わる法律改正のまとめ(2023年施行予定一覧付)
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2022年は2021年に施行された法律の法改正も含まれており、人事・労務担当者が抑えておきたい法律が多く含まれます。
今回は採用や組織編成で押さえておきたい法改正のポイントを簡易的にご説明します。また各項目にはしゅふJOBが詳細に説明している解説記事も記載していますので、リンクも合わせてご覧ください。
【目次】
2022年の法改正一覧
1.パワハラ防止措置の義務付け(2022年4月)
パワハラ防止とは、2020年6月1日に施行された改正労働施策総合推進法に含まれる規定です。職場内のパワーハラスメントを防止する規定について記載されているため、通称『パワハラ防止法』と呼ばれています。
2020年6月1日から大企業は既に施行しており、今回中小企業が2022年4月から施行されるのが特徴です。
パワハラ防止法を定めることにより、企業に防止措置を義務化し、ハラスメントを防ぐ目的があります。またセクハラ・マタハラを防止する関連法も合わせて施行しているため、特に中小企業はこれらの対策を進める必要があります。
パワハラの定義とは?事業主が実際に対応しなければいけないことって?と疑問に思った方はこちらの記事が参考になります。
▼【2020年6月施行】パワハラ防止法で企業が義務付けられたこと、そのポイントとは?
2.改正育児・介護休業法(2022年4月)
育児・介護休業法とは、育児や介護をしながら働く労働者が仕事と両立できるように支援するための法律です。
正式名所は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言い、仕事と介護、もしくは仕事と結婚・出産・子育てとのバランスを整えることで、「退職せずに雇用が継続できること」や「退職者の再就職の促進を促すこと」が満たせるように事業者は対応をしなければなりません。
2019年12月に「改正育児・介護休業法施行規則及び改正指針」が告示され、2021年1月1日に新しい「育児・介護休業法」が施行されましたが、2022年は4月に2つの改正が行われます。
2022年4月の改正点
・事業主の義務化(環境整備や周知、意向確認について)
・有期雇用労働者の育児・介護休業取得について
また、2022年10月以降には
・出生直後の育児休業取得
・育児休業の分割取得について
・雇用保険法の整備
といった3つの改正も予定されています。
2022年の改正では
・雇用保険法の整備
が施行されます。
そもそも育児・介護休業法って?事業主が気にかければいけないこととは?と疑問に思った方はこちらの記事が参考になります。
▼【2022年4月】育児・介護休業法の改正点、事業主が注意するポイントは
3.年金制度改正法(2022年4月)
年金制度改正法の目的は、女性や高齢者の就業を推し進めることで、より多くの人たちが長く働けるようになり、最終的に少子高齢化による労働人口の減少を補填する動きだと言われています。
社会や経済の変化に伴い、今回改定されるのは大きく分けて4つの特徴があります。
1.被用者保険の適用範囲が拡大
主にパートを始めとした短時間労働者を対象をしています。
現在企業が厚生年金に加入させる義務を負うのは、従業員「501人以上」という大企業のみですが、2022年10月からは「101人以上」の企業に変更されます。また、2024年10月からは「51人」以上の企業にも、短時間労働者を厚生年金に加入される義務があります。
2.在職中の年金受給の在り方の見直し
60~64歳までに人たちが働きながら年金を受給する場合、現行であれば28万円以上を超えると支給される年金が減らされていましたが、2022年4月からは月47万円へ緩和されます。
なお、65歳以上の人たちは現在の基準が47万円で、今回変更はありません。
3.受給開始時期の選択肢の拡大
現行では年金の支給年齢は65歳ですが、改正後は受給時期を前後5年(60~70歳)ずらすことが可能になります。
また、受給金額を繰り上げた場合は、毎年の年金額が減額され繰り下げる場合は年金額が増額されます。
4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し
確定拠出年金(通称iDeCo)の加入可能年齢が60歳未満が対象でしたが、今回の改正で65歳に加入年齢が引き上げられ、需給開始時期などの選択肢を拡大されました。
また2022年10月からは企業型確定拠出年金(企業型DC)を加入する会社員も併用が可能になりました。
4つのポイントをもっと詳しく知りたい!短時間労働者の詳細な定義って?と疑問に思った方はこちらの記事が参考になります。
▼【2022年】年金制度改正法が施行!対象企業や概要をわかりやすく解説します
▼【社労士監修】短時間労働者とは?雇用・社会保険の加入条件まとめ
4.女性活躍推進法(2022年4月)
女性活躍推進法とは、働き方改革のひとつで、2022年4月からは対象企業が拡大され、努力義務が義務化されます。
目的として、自らの意思で働いている・働きたい女性が、個性や能力を十分に発揮しながら活躍できるよう、女性活躍を推進する活動を指します。
具体的な改正としては下記3点です。
1.一般事業主行動計画の策定義務について、対象拡大
通常女性活躍推進を進めるにあたり「一般事業主行動計画の策定・届出」が義務化されていましたが、改正により常用雇用すべき労働者が301人以上の事業主から「101人以上」の事業者へと拡大されました。
これにより該当する事業主は2022年4月1日までに対応することが必要となります。
2.女性活躍に関する情報公表を強化
情報公開に関して、下記2点の条件をいずれかの規定で公表する必要があります。
A:「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」
B:「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」
特に2022年4月からは101人以上の労働者が在籍する事業主の場合は、今までは公表の義務がありましたが、改正後はA・Bの全項目から1項目以上の実績を公表する必要があります。
ちなみに2020年6月に施行されている301人以上の労働者が在籍する事業主の場合は、改正前はA・Bの全項目から1項目以上の実績を公表していましたが、改正後A・Bからそれぞれ1項目以上(計2項目以上)の実績を公表するように変更されました。
3.特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設
プラチナえるぼし認定とは、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優れている場合に認定される取組になります。
管理職比率や労働時間など5つの基準が設けられており、満たされた基準に応じてえるぼし1・えるぼし2・えるぼし3が認定されます。
また2020年6月にはプラチナえるぼしが新たに創設され、認定されるには4つの基準を満たす必要があります。通常のえるぼし認定と比べると、継続就業年数、管理職比率の基準が高くなっています。
女性活躍推進法の目的を詳しく知りたい!と興味を持った方はこちらの記事が参考になります。
▼【2022年4月】女性活躍推進法が改正、変更点・対象企業がとるべき対応は
2023年の法改正一覧
5.2023年から中小企業の割増賃金率が引き上げられます(2023年4月)
現行の制度では、1か月間で60時間を超える時間外労働をさせた場合、超えた分の時間外労働については法定割増賃金率が50%以上と規定されていますが、今後の改正で、中小企業でも月60時間を超える時間外労働について法定割増賃金率が50%以上となります。
【番外編】労働基準法・派遣法に関する法一覧
今回の法改正には含まれていませんが、常に知っておきたい法改正はこちらからご覧いただけます。
▼2021年3月 障害者雇用法定雇用率
▼2021年4月 派遣法改正
▼2021年4月 パートタイム・有期雇用労働法
▼2021年4月中途採用比率・公表義務化
最後に
この記事では2022年~2023年に決まっている雇用・労務に関する法律を一覧でご紹介しました。
今年は大きな施行ではなく「パワハラ防止措置の義務付け」「改正育児・介護休業法」「年金制度改正法」「女性活躍推進法」といった法律の改正が進み、より女性が働きやすくなる制度が整っています。
中小企業においても、これらの施行を滞りなく準備を進めることで、採用が円滑になるメリットも得られやすくなります。より高齢者や女性が活躍できる準備を早めに初めていきましょう。