リビア、投票実現に暗雲=大統領選まで1週間
このニュースをシェア
【12月16日 時事通信社】北アフリカのリビアで予定される大統領選まで17日で1週間となる中、候補者の最終リストが依然公表されない異例の事態となっている。選挙の要件や手順が整備されないままで延期論も浮上する一方、強行すれば深刻な対立が再燃する恐れもあり、円滑な投票実現に暗雲が漂っている。
アフリカ随一の原油埋蔵量を誇るリビアは1951年の独立後、69年にクーデターでカダフィ大佐が権力を掌握。中東の民主化運動「アラブの春」に伴い2011年に打倒されるまで42年に及ぶ長期独裁を敷いた。独立以来、大統領を直接選ぶのは初めてとなる。
カダフィ政権崩壊後は、国家が東西に分裂する内戦に突入。昨年10月に東西勢力が停戦合意すると、今年3月には暫定統一政権が発足した。今回の大統領選と議会選は、国連主導の和平プロセスの集大成と位置付けられる。国際社会は期日通りの選挙実施を目指し、11月の国際会議では選挙妨害に国連制裁を科す方針が示された。
しかし、大統領選をめぐる状況は混迷を極める。東部が拠点の有力軍事組織リビア国民軍(LNA)のハフタル司令官や、故カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏ら98人が立候補を届け出たが、うち25人を選管が拒否。その後の司法判断で覆されるなどし、最終的な顔触れは確定していない。
市民からは「国を混乱に陥れたか、分裂を助長しかねない人ばかりだ」(首都トリポリ在住の男性)との反発が強く、いずれも幅広い支持には程遠い。選挙結果が受け入れられるかも不透明だ。
AFP通信によれば、南部セブハでは14日、ハフタル氏支持の武装集団と治安部隊が銃撃戦となり、3人が死傷した。投票日が近づくにつれ、治安の一段の悪化が懸念されている。(c)時事通信社