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触れるか触れないかの微妙なくすぐる加減で耳たぶを撫でられる。 「ひッ、ゃめっ」 「はいはい、おはよーさん」 ぴゃ、と善逸は飛び上がりそうになったのに、触ってきた張本人は無視だ。おいコラ。 今挨拶してきた女の子たちの真ん中、あの子もそりゃ可愛かったけどちょっとスカートが校則の規定より短い。善逸としてはそれはもう朝から眼福です女の子ってだけで見てて幸せな存在ですよねと笑顔で挨拶を返したいが(あの子たちは善逸に挨拶してきた訳ではないのだろうけど)、なにぶんなりたくもない風紀委員の仕事である。また冨岡先生に怒られる前に仕方なしに泣く泣く女の子にも注意しておかなければならないのに、それがままならない。 そう、全てはこの善逸の後ろにいる男のせいである。風紀委員であるせいでちょっと早めに登校しなくてはならない善逸に、今日も1番最初に挨拶してきた筋肉の化け物、もといこの学校の美術教師。 「…ちょっと離れて下さいよ」 「おら竈門来てんぞ、注意しなくていいのか?」 「うぇ!?あ、えっ、ちょっと止まれ炭じッ、――だから耳触んなっての!!」 宇髄の親指と中指で耳たぶをふにふにとされたまま、人差し指がカリッと中を引っかかれて思わずその手を払いのけた。つもりだったが、宇髄の手は善逸の耳からパッとちょっとだけ離れて、今度はズシリと頭頂部に重み。今日も今日とて抱き込むように後ろから覆いかぶさってくる宇髄の顎が善逸の頭に乗せられて、ぐぇっと潰れた声が漏れる。 善逸の声にちゃんと止まって「おはよう善逸!でもごめん!またあとで!」と律儀に直角にお辞儀をしてから走っていく炭治郎にもう一度声をかける前に、右手に持っていたボールペンを簡単に宇髄に奪われた。 「今日も竈門は校則違反、でも逃げられた、と」 「いや誰のせいだと思ってんのぉ!?毎日毎日人の仕事の邪魔をして!アンタそれでも教師ですか!?生徒の鑑ですか!?」 「だから手伝ってやってんじゃん。善逸くんは今日も金髪の違反でした、と」 「書くなー!しかも俺のは地毛!冨岡先生になんと言われようとも地毛!」 「知ってる。俺は派手でイイと思うけどな」 「アンタの感想は聞いてねー!!だからどけって言ってんの!?あ、あっ、チャイム鳴ってるぅ!」 予鈴が鳴る、イコールそろそろ冨岡が来てしまう時間である。 今度は頭に乗せられていた宇髄の手を振り払い、その手からボールペンを奪い取ると自分も校舎のほうへ駆けようと思ったのに、腕をパシッと取られた。 「善逸、昼、準備室来いよ?」 「はぁー!?なんで今日も!?残念でした!昼は炭治郎と伊之助と一緒に屋上で楽しくランチですよ!俺たち仲良しだから昼休みはずっと3人で仲良く過ごすんですよ!!残念でしたね!?」 「おやつあるから」 「は!?お、おや、おやつって、子供じゃないんだからそんなんで俺が行くとでも思ってるんですか!?」 「こないだお前が食いたいって言ってた大福なんだけど」 「炭治郎たちと食べたら行きます」 でもお昼休みギリギリになってからですよ、大福食べられる時間くらいしか行きませんからね、と叫んで善逸は校舎へ向かって走る。待ってる、と手を振る宇髄はどこか満足気で、イラッとしながらも善逸はちょっとふわふわした気分が抜けなかった。というか宇髄も走らなくてはよいのだろうか。そこが美術教師(他の科目よりも全体的に授業回数が少ない)の特権なのだろうか。 宇髄から目を離して、善逸は触られていた左耳たぶに触る。なんだが熱いようなそこが気になったが、気のせいだと首を振った。最近の宇髄は、後ろから善逸を抱き込んで右手で抱きしめるように腕を回して左耳を弄るのがお気に入りらしい。いつ耳が弱いってバレたんだと悔しくなって、善逸は唇を引き結んで頭を振った。顔が赤いのは自分でもわかってるから言わないで。
「紋逸は祭りの神のお気に入りだからな」 「は?いやいやお気に入りって言いようだからな?しかも俺の名前ちゃんと言わない伊之助にそんなこと言われるなんて心外なんですけど!?」 「権八郎、もう1個くれ」 「伊之助さんもうちょっと俺に興味持って!?」 さらっととんでもないことを言ってきた伊之助は、自分の弁当も食べ、炭治郎からもらった竈門ベーカリーのパンも食べ、さらに追加を要求する。炭治郎は嫌な音一つ聞こえずむしろ嬉しそうに「伊之助、パンは柔らかいがよく噛むんだぞ?」と次を渡している。 「炭治郎優しい!お前はお母さんか!?じゃなくて、もうちょっと2人とも俺の悩みに真摯に向き合って!?」 「でも善逸も嫌ではないんだろう?匂いが嬉しそうだ」 「うれっ、嬉しいのは大福がもらえるからだからね!?決してあの輩先生に呼ばれていることじゃないよ!?」 「善逸が嬉しそうだと俺も嬉しいな」 「ホワホワするよな」 わかってる、と言わんばかりに炭治郎は頷きながら「宇髄先生もパンいるかな?」ともう1個出そうとするし(持ってきすぎじゃない?俺ももらってるけど)、伊之助は表情も変えずに「パンうめぇ」ともぐもぐしている。何か言い返したかったがこの2人には言っても通じない、というよりは心理の奥底まで見透かされているようで騒ぐだけむしろ無駄である。でも善逸としてもこれだけは言いたかった。 「前にも言ったけど!俺が嬉しいんじゃないからね!?あの派手のアホの神が俺に会いたいんだろうから仕方なく行くんだからね!?」
「失礼します…」 「よぉ、」 カラカラとゆっくりと美術準備室の扉を開けると、宇髄は入り口から背を向けて自分のキャンパスに向かっていた。こちらを見ずに返事をするのにムッと来て、手の物をその背中に投げそうになったが、それが竈門ベーカリーの自慢のパンであることを思い出してやめた。ゆっくりとその大きい図体に近付く。 「大福下さい」 「よくも忘れないなお前のその黄色い頭は」 「その為に来たんですけど!?」 ようやく振り返った宇髄は立ち上がってソファーに向かうと(何故美術準備室に応接室にあるかのようなソファーがあるのかは不明、しかもデカい)、そこにどっかりと座って横に置いてあったたぶんどっかのブランドもののバッグから包装された箱を取り出す。ブランドから大福、とちょっとそれが面白くなって、小さく笑って善逸は宇髄に近寄った。宇髄がバックを自分の体の反対側に置くのを見て、その空いた場所に善逸は座る。わざわざちょっと30㎝くらいは空けて座ってみる。「ん、」と宇髄から大福の箱を渡されて、受け取ってビリビリと包装を破っていれば、空いた分を腰を浮かせた宇髄は詰めて、腕を善逸の腰に回してぎゅっと体を寄せた。ソファーがこんなにデカいのに狭い。 包装を取って開けた箱の中は、コンビニで売っている大福よりもひと回り程大きなものが2つ。白と黄色。見るからに品があって、外箱からも高そうだとわかる。実際、食べたがった善逸はその値段も知っている。でもこれは取引みたいなもの、と善逸は思っているから、遠慮なんてしない。 「中身違うの?」 「期間限定の月見用。中身はマロンクリーム」 「やった!じゃあまずこっちの餡子のからね」 大福のまわりの打ち粉を気にせずに手に取って、善逸は半分に割る。自慢になるのかならないのかわからないが善逸は二等分するのが昔から上手かった。伊之助には「そっちのでかいほうを寄越せ」とよく言われるが炭治郎には「同じに見えるよ伊之助」と言われるから正直に本当に自慢になるのかわからない。割った半分を宇髄に渡すと、そのまま手も取られて付いた粉まで舐められる。くっつかれるのもイタズラされるのも人前じゃなければ少々慣れてしまったが、さすがに舐められるのは恥ずかしい。けれど何も言わずに宇髄が大福を口にしたから、善逸も何も言わずに半分になった白い大福を食んだ。 大福は粉が付くからなるべく大口を開ける。宇髄はその身長のせいで口が大きいのかそれとも口の開け方が上手いのか、綺麗に一口分を噛みちぎるが、善逸は口の周りがいつも粉塗れになる。先にひょいっと口の中に大福を全部放り込んだ宇髄が、左手で善逸の顎を掬った。右手は変わらず善逸の腰に回っている。 「お前ほんと食べるの下手くそだよな…あんな叫ぶわりに口小さいとか意味わかんねぇ」 「うるせぇですよ。――ぅむっ、ちょっと食べてからにしてくださいよ」 まだ食べている途中なのに、宇髄は善逸の口の端についた粉をその指先で拭う。それをそのまま自分の口に持っていって「うまいなコレ」と言っているのに、善逸はちょっと眉根を寄せたが、何も言わずにもう一口噛む。
善逸は風紀委員で校門に立っていることが多いせいで、校内ではなかなかに有名であるらしい。それはそうだろうと思うのは1つは地毛である金髪のせいだ。善逸としては地毛なのでちっとも悪いことをしている気分はないが、冨岡にも目を付けられて毎朝のように声を掛けられているので「金髪の風紀委員」として校内で知られている。嫌々ながらも仕事として生徒たちに注意している事と、その金髪とあいまってあんまり良い印象を学内で持たれていないらしい。本当に心外である。それに加えて、最近では芸術は爆発だを地で行くこの美術教師が善逸にそれはもう絡みまくるせいもある。こんな輩でも顔がいいもんだから女子生徒には人気がある。おかげで善逸が特別扱いされてずるい、と密やかに(善逸にははっきり聞こえるが)妬まれていた。 そんな滅びてほしいこの憎きとんでも野郎は、善逸が入学した当時から「その金髪派手でイイな!」と外見が気に入ったようなことを言っていた。そこから少しずつ、あれを手伝えこれをやるから、の関係性が出来上がっている。人の懐に入るのが上手いのか心理的駆け引きの経験値が違うからか、ただ顔が良いせいなのか。宇髄は人との距離を縮めるのが巧みで、かといえ女子生徒とは教師として近づきすぎない。善逸としても最初は「朝からご苦労だな」と宇髄から声を掛けられると「イケメン爆発しろ(先生もこんなに早く来るんですね)」と本音と建前が逆になりながらも「性格は良さそう」「生徒のことちゃんと見てそう」と高評価な部分もあった。ただし顔が良くモテる時点で全てがマイナスにはなるが。見た目が気に入られているから「ちょっと気になる生徒」なんだなと善逸は自分のことを考えていた。それがちょっと怪しいな、と思ったのは、他の生徒も「宇髄先生が我妻という金髪の生徒を気に入っているんじゃないか?」と噂され始めた頃だ。 噂の元は特にわかりやすかった。宇髄が何か授業で使うものがあると、大体それは善逸に頼む。善逸がいない時は炭治郎や伊之助から「宇髄先生が探してたよ」「準備室来いってよ」と人伝になることもあったが、あまり他の生徒が宇髄の手伝いをしているのを善逸自身も見ることが少ない。ような気がした(確証は無いし面倒ごとを善逸に押し付けたいだけだと思ったし)。 それから手伝いの他に気になり始めたのが、宇髄が善逸に触れる回数が増えたんじゃないか、という所だった。朝に挨拶してくる宇髄は、善逸の頭を軽く叩く(きっと本人は撫でてるつもりだろうが筋肉と身長のせいで善逸にはそう思えない)。それから「善逸~今日会議面倒だからお前が出て」「俺が出れるわけありませんよね!?」との会話の時に、だれた宇髄が善逸の後ろからしな垂れかかってきた。あの時は「重い!重い!!離れろ筋肉お化け!」と引き離すことに必死だったが、女子生徒たちが「羨ましい」と話していたので、あの距離感は宇髄を見ているものにとっては憧れだったようだ。そんなこんなで周りの声もあって「あれ、俺宇髄先生に触られまくってない?」と気付いたのだ。でももちろん、宇髄からは性的な音なんてしなかったし、ただ暇つぶしに遊んでいる、馬鹿にされている、としか善逸は思ってなかった。あれ、でもそれも酷くない?俺あの輩先生に悪いことなんもしてないよね?風紀委員だって押し付けられただけだし、いくら俺が人が良いって言ったって物事頼みすぎじゃない?と気付いたら、善逸の不満が爆発した。 イケメンで高身長、意外と面倒見がよくて優しいと評判で、例え彼女が3人いても許せるとかいう女の子たちの話も耳に入って、実に滅んで欲しいと思った。明日から全部断ってやろうと決意する。 そうして翌日、挨拶してきた宇髄を見ずに善逸は「おはようございます」と返事だけした。宇髄の音がちょっと揺らいだが気にしないフリをした。手伝いを頼まれても「忙しいです」と断って、触れそうになられれば自然な感じで避けた。上手くかわせていることに満足していた善逸だったが、昼休みに入るチャイムが鳴った途端に放送で「我妻善逸、美術準備室に来い」と名指して呼ばれてさすがに真っ青になった。声に怒気が含まれていたのが丸わかりで、炭治郎たちのいる屋上に逃げるまで他の生徒たちにすごい目で見られた。違うよ俺なんもしてないの。むしろ怒りたいの俺のほうなの。心配した炭治郎に「あとで!後で行くから大丈夫だよ~!アハハハハなんだろうね生徒の楽しみな昼休みに呼ぶなんて!泣きそう」と誤魔化したが、「さっき見た宇髄先生、無表情だったけどすごい匂いが怒ってたぞ」と言われて折角の竈門ベーカリーのパンが美味しく感じられなかった。ごめん炭治郎。 でもそんな声と匂いがあるならますます行きたくないのは当然で。その時は準備室に行かず、次の休み時間もトイレにこもったりして乗り切った。用も無く鍵をかけて洋式便器に座っていた自分にふと「これ俺のせいなの?」となんだか泣けてきて自問したが答えは出ない。そうして1日の最後の授業で挨拶後に教室を飛び出そうと思っていた善逸の教室の、終鈴と同時に(ピンポンのピの音のタイミング)ガァン!と恐ろしい音を立てて扉が開いた。みんなそりゃ一瞬で黙ってそっち見るよね。そこには、ガムをくちゃくちゃ噛みながら、善逸に眼光鋭く睨み付ける宇髄の姿があった。立ち上がりかけていた善逸は腰が抜けて椅子に戻る。イケメンが本気で怒ると怖いって本当のことだった。ずかずかと教室に入ってくる宇髄に声を掛けられる生徒なんていない。明らかに自分のところに来るとわかっているからこそ善逸は俯いて体を小さくしたけれど、隣りまで来た宇髄は一度動きを止める。ばくんばくんと自分の心臓の音で死にそうになっていた善逸は、次の瞬間には教室の天井が近くにあった。宇髄の肩に担ぎこまれていた。 「はぁ!?ハァ!?なんなのこれっ!?待って高い怖いお腹痛いし怖いし下ろしてっ!マジでざっけんなよ!下ろっ」 「善逸、」 名前を呼ばれるだけでこんなに恐怖とは。ビシッと固まった善逸を、宇髄は肩に担いだまま教室を出る。向かわれる先は宇髄のねぐらだ。逃げられない。怖い。でも逃げたらもっと怖い。死ぬ。 「宇髄は今日も元気だな!それでは解散!」 美術準備室に向かう途中、煉獄先生の元気な声だけが聞こえた。
「ってぇ!ちょっとほんとなんなのアンタ怒りたいのは俺のほうなんですけど!?」 準備室に着けばまさかの机の上に下ろされた。硬いし地味に痛い。それから宇髄の体が善逸の上に伸し掛かってくる。 「ぅぐっ!待ってこれ全体重!俺と先生の体重と身長と筋肉量の差わかってます!?こうゆう体罰はよくないと思います!そもそも悪いの俺じゃなくて、」 「うるせぇ」 「うううううるせぇって何ですかほんとふさけないでいただきたいっ!」 「ふざけてねぇし」 「いいやふざけてますね!そもそも生徒1人に負担を掛けすぎなんですよこの学校は!俺がどれだけ――んむごふぁっ!?」 「だからうるせぇ」 いきなり口の中に饅頭が突っ込まれた。ちょっとデカいし息ができない。でも饅頭に罪が無いと知っている善逸は、なんとか詰め込まれた饅頭をかじって残りを手で引っ張る。ひゅっと呼吸が戻り、ぜいぜいと荒く息を吐く。 「ちょっと饅頭が死因とかほんと冗談じゃないんでやめてくださいよ…」 「それ今日やろうと思ってた」 「…は?」 善逸に乗っかったまま、宇髄はぐりぐりと善逸の首に頭を擦りつけてくる。犬か。言われた意味を理解して饅頭を見れば、半分になっていたが、確かこないだ「これすんげぇ美味そう」と善逸が言った店の押印があった。 「なのにお前今日全然話さねぇし。逃げるし。来ねぇし。だから強硬手段をとった」 「いや…強硬でしたけども確かにね」 あんまりにも宇髄の声と音が悲壮を帯びていたので、善逸の中の怒りが萎んでいく。むしろ音を聞かなくてもわかる、この体のデカい年上の男が拗ねているのだと。ぎゅぅっと上から抱き込まれて苦しいが、退かす気力が無くなっていった。ふぅ、と溜息ひとつ吐いて、善逸は正直に物申すことにした。 「あのですね、宇髄先生があんまりにも俺にばっかりいろいろ頼むんで、女の子たちから妬まれているんですよ俺。女の子に嫌われるとか本当に生きていけないから俺。それに最近先生よく俺のこと触りますよね?別に変な意味無いのはわかってるんで嫌じゃないんですけど、ちょっと生徒と教師として距離が近すぎると思うんですよ」 「嫌じゃないのか?」 「え、そこ拾うの?いやまぁ、嫌では無いですよ正直に。先生別に俺をどうこうしようって意味はないでしょ?だから、」 「仕方ねぇだろ。お前に触ると安心するんだよ」 更にぎゅっと抱き込まれて、ぐっと内臓がせり上がってくるのを感じる。あれだけモテて彼女も3人以上いるらしいのに、高校生男子で宇髄にとってはちんちくりんな善逸を触ると安心する、とは。 「いやすみません。意味がわからない」 「だから意味はねぇよ。でもお前は安心する」 悪い、と小さく呟かれてしまって、善逸は脱力した。耳が良い善逸はそれが宇髄にとって死活問題級なことであって、嘘ではないことはわかってしまう。 黙ってしまった善逸に、宇髄はゆっくりと体を起こした。重みは無くなったが、宇髄は善逸の両手に自分の両手を重ねて見下ろしてくる。整った顔に切ない瞳は、何かを連想させた。 「…犬?」 「あ?」 「いやでもこんな筋肉ムキムキでデカい犬がかわいいか?狼?いや狼はかわいいって部類じゃないし。…虎?どっちかというと猫科?でも構って攻撃は犬科?」 「何言ってんだお前」 善逸が逃げないことを悟ったらしく、宇髄がちょっと笑った。安心した、というように。 善逸は確かに宇髄に触られること自体は嫌じゃない。ただ他の生徒から見られた時が面倒ってくらいで。 正直、今日の宇髄から逃げるのはとても疲れてしまった。だって別に善逸は宇髄のことが嫌いではない。顔が良くて背も高くて人気もあって女子にモテるし性格もまあ悪いほうではないだろう、意地は悪そうだけど。あれそれってやっぱり俺が嫌いな人間じゃない?人類の敵じゃないの? そこまで考えたけれど、宇髄を無視して避けるのは善逸にはやっぱりとても疲れてしまう。結論「人助けと思おう」と心の中で頷きながら、「でも顔がいいってやっぱり全てが許される気がする」と、宇髄の笑う顔を見て善逸は残りの饅頭を頬張った。
「マロンクリームまじでうまくない?大福という日本古来のお菓子にマロンって何語だよって思うけどこの組み合わせは天に選ばれたと思うよ俺は。そりゃそうだよね、マロンって栗だもん。栗は日本古来から食べられてきたものだもんね。高級品の1つでしょ。栗きんとんもまじでうまいから、そりゃもう納得だわ」 「うまいんなら良かったな」 マロンクリームは思っていたよりトロトロで、半分に割ったらたらっと垂れた。月見バージョン大福を食べ終えて手に付いた粉とクリームはそのままで善逸が勝手な評価をしていれば、その手を宇髄に取られて指の先まで舐められる。ちゅぱっと最後に音を立てて離れた宇髄の口と善逸の指のあいだにちょっと光った線が見えて、「栗きんとんはお正月だけど俺はいつでも食べたい」と善逸は話しが脱線した。さすがに唾液が繋がってたり音立てられるのは恥ずかしいんですが。 横にべったりとくっついている宇髄の存在に少し落ち着かない気持ちになって、そわそわと周りを見渡せば各教室にある壁掛け時計が目に入った。「あっ」と立ち上がりそうになったが、宇髄の腕が善逸の腰に相変わらず回っていたのですぐにソファーに尻が戻る。 「宇髄先生、あと5分だから俺もう教室戻らなきゃ」 暗に離せと言っているのに宇髄は「あー?」と時計を見上げて、反対の腕で善逸の肩を抱き、顔を寄せた。イケメンを真正面から見るのはつらい。 「なぁ善逸、もうちょい触らせて?」 「ひぎゃっ!?何言っちゃってるの!?何言っちゃってるのよこの美術教師様は!?俺生徒!あんた教師!授業に出るのが学生の本分ですよ!?」 至近距離で首を傾げられるのはとてもつらい。顔が良いのは本当に卑怯だ。上擦った声とどかんと湯気が出そうな程善逸は真っ赤になったのに、宇髄はただ悲しそうな顔をするだけだ。知ってる、善逸に対してそういう態度を取れば折れるとわかっているのだこの男は。そうですよその顔でその態度で頼まれたら罪悪感がざっくざく突き刺さるっていうのに。 「次は煉獄の授業だろ?あいつは知ってるから大丈夫だ」 「し、知ってる!?何を!?何!?どこまで何を知ってらっしゃるの煉獄先生!やめて怖い!死にそう!」 「お前が竈門に言ったんだろうが。俺が善逸を触ってないと死ぬらしいって」 「ヒェ!?言ってない!俺言ってないよそんなこと!!別に触られるのは嫌じゃないけど言葉にされると恥ずかしいものがあるでしょ!?俺炭治郎にそんなこと言ってない!…よね、たぶん…炭治郎がそう勝手に解釈しちゃったってことだよね!?」 「まあ間違ってねぇからそこは別にいい。で、竈門が煉獄に言って、煉獄が俺に聞いてきたわけだ。宇髄は黄色い少年が気に入ってるんだなって。だから俺はド派手に答えただけだ。気に入ってるっていうか傍においときたいだけだって」 「ヒャーーーーッ!?」 卒倒しそうになった。言葉だけだと事実は小説より奇なり。イケメンは素面で男子高校生を口説くようなことを簡単に言ってしまえるのか。善逸としては飛び上がりたかったのに、やっぱり宇髄の太い腕で拘束されていた為にそれは叶わなかった。 「ちょっと今日は朝から気分が落ちつかねぇんだよ。な?頼む善逸」 「~~っ!」 そう、宇髄には他意があるわけではない。本当にどうして老若男女より取り見取りのはずの宇髄が善逸を選んだのかはわからないけれど、普段の横柄な態度があるからこそ、ちゃんと頼まれると善逸は断れない。 「わかり、ました…」 「ん、」 嬉しそうに小さく笑う宇髄に、善逸は「この男前が!」と心の中で罵声を送った。
「ん、」 同じ一音を発して、宇髄は自分の足を叩いた。善逸はうぐっと一瞬詰まったが、了承した以上はそれなりには譲歩して言うことを聞いてやるつもりだ。ソファーから降りて、宇髄が叩いたほうの片足をまたぐ。座ったそこは硬くて太くて丸太かと思う。 両手を伸ばしてきた宇髄は、善逸の顔をその手で包む。決して善逸が小さいわけではないつもりだが、宇髄の手がデカいせいで善逸の顔というか頭全体がその手の中にすっぽりと収まってしまう。そうすると宇髄は、手のひらを使って善逸の頬をふにふにと揉む。マッサージのようだ。実際に善逸の体温は上がる。でもそれは血行がどうのとか言うのではなく、この近距離で真面目な顔をして顔を触られているせいだ。何度も言うが顔面偏差値の高い奴は本当に善逸の敵だ。 「さっきの大福みてぇ」 「食い物と一緒にしないでください」 「最近太ったか?顔が丸くなった気がする」 「俺が女の子だったら傷つきますからねそれ!?俺は女の子じゃないから傷つきませんけども!そんな太った男を足に乗せてるのはどこの誰ですか!?」 「俺だな」 善逸が全力で返しても、触っている時の宇髄はただ淡々と思ったことを言うだけのようで揶揄ったり馬鹿にしてきたりしない。少しでもそんな素振りがあれば善逸としては「じゃあ今日はここまで!」と言ってやろうといつも思うのに、その策略に宇髄は1回も乗ってくれたことがない。別に嫌ではないが、やっぱり触られるという行為は恥ずかしい。空気が甘いわけでもないし宇髄からそんな音もしないからなんとか平静を保つようにはしているけれども、最近の善逸は恥ずかしさと居たたまれなさを多大に感じている。 「ぅんっ」 「目が金…蜂蜜だよなこれは。これもイイよなお前は」 目許を指で柔らかく撫でられる。目は特に恥ずかしい。だってはっきりと宇髄と目が合ってしまうから。これまでも目の周囲を触られる度になんとか視線をそらそうとするけれど、「こっち見ろ」と強めに言われてしまうので眼球を泳がせながらも善逸は宇髄を見る。いつもこの時、宇髄と両目が合うのは確かに恥ずかしいが、じんわりと嬉しい気がするから余計に落ち着かない。 思えば、善逸はこれまで宇髄と話す時は彼の右眼に視線が行っていたことに気付いたのは、こうやって真正面から目を合わせるようになってからだ。フードを被っていたり、左眼の周りに奇抜な化粧をしていたりするから自然と右眼を見るようになっていたのだろうか。 その色彩で宇髄は善逸を気に入っているけれど、色だけで言うなら宇髄も相当目立つ。本人が派手好きなのでそれを良しとしているのだろうが、銀髪に赤い眼ってさすがに教師としてはどうかと思う。 美術準備室は宇髄の創作活動の一環でド派手な穴が壁に空いている。本人はその中で気にせずに作業しているのも呆れてしまうが、昼間は光に反射する銀髪が虹を描くように輝いているのは綺麗だ。絶対に本人に言うつもりはない。眼だって不思議で、血を連想するような重圧を感じることもあるけれど、笑えばその赤い眼も優しく映える。だからこうやって宇髄と向かい合う時は、その眼を充分に堪能できるから、恥ずかしいけれど嫌いじゃない。 顔を触り終えると今度は首だ。親指で喉仏をくすぐすように撫でられ、中指は後ろに回って髪の生え際からうなじを辿る。そのデカい手にこのまま首を締められたらすぐ殺されるんじゃないかって最初はびくびくしていたが、今は善逸にも余裕が多少はあるのかくすぐったさを感じる。 「手」 「…はい」 両手の甲を上に向けて差し出すと、宇髄の手がそれを下から掬う。両手でお手をしているようだ。 「相変わらず小せぇ手だな。こんなんで使えるのか?」 「失礼ですね相変わらず。使えてますよ充分に。宇髄先生の手がデカいんでしょ」 宇髄は善逸の手が1番好きなんじゃないかと思う。善逸の手を宇髄の手が包んで、手首から指の付け根に向かって撫でる。その後は指の付け根から爪まで1本1本辿って、恋人が繋ぐように絡ませる。ぎゅっと強く握られると宇髄の手が大きいぶん善逸は骨がミシリと音を立てるので痛いのだが、その時の宇髄は目を閉じて何かを感じているようだから声がかけづらい。でもその最後の痛みさえなければ、善逸も宇髄に両手で触られるのは好きだった。美術教師という職業柄(別の危ないこともしてそうだけど)手をよく使いそうなのに、硬いけれど手入れをちゃんとしているのか宇髄の手は綺麗だ。指は長いし形もいいし、マニキュアだってはみ出すことも色ムラもなく塗られている。そういえばこうやって確認以外で手を握られることは無いなと気付いたのは最近だ。手を繋ぎたいわけでも無いのにそんなこと気付きたくなかった。気付いてしまえば、この行為が好きという意味が変わってきてしまう。違う、そうじゃない、と善逸も目を閉じて呼吸を整えていると、宇髄が目を開けた音がして、善逸も開ける。今自分は、どんな顔をしてしまっているのだろう。 「善逸、ネクタイ」 「…うん」 むしろ宇髄にほどいて欲しいと思うけれど、それはそれでこれも違う行為の意味になってしまいそうで怖い。善逸は自分でネクタイを解き、シャツのボタンを外していく。下に着ていたTシャツも自分で捲り上げ素肌を晒す。さながら医者にかかった時のようだ。男だから胸なんかないぺたんこの胸部に、多少は割れている腹部。宇髄はそれをまるで傷がないか確認するかのようにじっと見つめたあと、そっと割れた縦線にそうように指を動かす。最初の頃はこれはただくすぐったかった。でも今は「ふ…」と詰めた息が漏れてしまう。ズボンのベルトまで下りる指に緊張する。さすがにその下までそんなに優しく触られると相手が宇髄でも反応してしまうんじゃないかと思う。腹筋の形を探るように這わされた指が離れると、その大きな手のひらを善逸の左胸に当ててくる。どんどこどんどこと祭りの太鼓のような音を立てる心臓の音が自分でもうるさい。耳と振動で宇髄も善逸の心臓がそんなんになっているのを気付いているだろうに、なんの揶揄もしてこないのが逆に本当に居たたまれない。 宇髄の指も手のひらも、その視線も呼吸も音も情欲の熱を帯びているわけではない。触診というか、何かを確認しているという表現が正しいかなと思う。 「善逸、」 「っ、なに?」 「……――いや、いい」 宇髄の言いたいことを善逸は知っている。本当はズボンも脱いで欲しいのだこの男は。善逸の足が触りたいらしい。でもさすがにそれは善逸もどうかと思うし、万が一にでも誰か来た時に、上半身にシャツだけ羽織って下半身はパンツ1枚の男子生徒が美術教師の足に跨っていたらそれはもう通報だろう。 「善逸、」 「うん…」 下はすぐに諦めた宇髄は、両腕で善逸を囲むように抱きしめる。慰めるみたいに片手は背中を優しく叩き、もう片方の手で善逸の頭を撫でる。まるで「よくやった」と言われているみたいだと、いつも思う。でもそれが大体終わりの合図だから「ご苦労様」ってことなんだろうと善逸は解釈している。
「…ねぇ、宇髄先生」 「ん?」 脱ぐのは善逸だけど、着せるのは宇髄の役目だ。小さなシャツのボタンを器用に大きくて太い指で止めて、首の後ろに手を回してネクタイを締める。その時は善逸の中で優しい時間であるけれど、ちょっと物足りないとも思ってしまう。善逸は宇髄に、贔屓はされているけれど特別な感情なんて持っていないはずなのに、何か言葉にしなくてはならない気がして仕方がない。 「俺、別におやつが無くても言うこと聞かないわけじゃないですよ?」 「……?」 言われた意味がわからなかったのか、宇髄はやや首を傾げる。説明しろと目が言っていて、善逸は溜息を零した。 「だから、アンタいつも俺が言ったこと覚えてていろいろ買ってきてくれるでしょ?嬉しいですよもちろん。嬉しいですけどね、取引みたいなのが嫌っていうか、もう今更俺と宇髄先生で遠慮みたいなの無いでしょ?いや教師と生徒で遠慮が無いってのもどうかと思うけど。とにかく、俺はアンタが俺を触るのを人助けみたいなものだと思ってるから、それを物やお金で交換しているみたいなのがなんだか違うっていうか…だから別に言ってくれれば触っていいしっていうか…、…いや触るって言っても今みたいに授業がある時に呼ばれたり時間延ばされたりしたら俺も一応学生なんでね困るけれども!別に触られるのは嫌じゃないっていうかちょっと最近はもどかしいっていうかなんていうか、俺を触るときの宇髄先生の空気感がもうちょっと違くてもいいんじゃないかとか、まあそんな感じなんですけどね!?いやいや俺も何言ってるかよくわかんないんで気にしなくていいですからね!?以上!!もういいです!!」 どうにも途中から恥ずかしくなって大声になってしまえば、宇髄はぽかんと口を開けていた。せめて何か言って。 「…もっと触れってことか?」 「違う!いや違わないけども!そうじゃなくてですよ!――ふぉぅっ!?」 またぎゅっと抱きしめられた。制服をちゃんと着ていても、教師の膝に座った生徒が抱きしめられていればそれだけで通報される案件ではないだろうか。 力いっぱい宇髄が抱きしめてくるものだから肩の骨が鳴った。あれ俺の骨ちゃんとくっついてるのそれ。けれど宇髄が嬉しそうな音を体中から猫みたいにゴロゴロ響かせてくるものだから、善逸は何も言えない。 「俺はもっと触りたいよ善逸。死ぬって竈門が言ったのはあながち間違いでもない。お前に触れない時は落ち着かない。でもお前が騒いで喚いてる姿を見ているだけでも俺は嬉しくなる。あぁ元気だなって。お前がそう言ってくれるなら難しい時はなんにも用意できないかもしれねぇけど、善逸が美味そうになんか食ってんの見ると良かったなって思う。だから、善逸がそう言ってくれて俺は嬉しい。ありがとう」 「~~っ、そっ、それほど、でもっ…」 あんまりにもストレートに言われると善逸は狼狽える。これだから男前は本当に困る。 「――じゃあ耳も触っていいんだな?」 「ヒェッ!?いやいやいやいや耳は無理だろっ…――あー!あー!いいですよこんちくしょう!男我妻善逸に二言は無いですよ!好きに触りゃあいいじゃないですか!!やっぱりアンタ俺が耳弱いの知ってたんだろぉ!?」 断りかければまるで愛玩動物の耳がしょん、と垂れているのが見えた。こんな輩がかわいく見えるとかおかしい。 「口の中も?」 「くちっ…!って、えっ!?な、中!?中なの!?それは一体どういうこと!?どういうこと!?」 増えていく箇所に宇髄の期待が膨らむようで、キラキラと宝石のように瞳が光っているように見えてしまう。恥ずかしい。とにかく恥ずかしい。あー!と叫んで頭を掻きむしって、善逸はびしっと宇髄に指を差した。宇髄の膝の上に乗っている近距離だから、善逸の指先は宇髄の眉間に触れてしまいそうだったけれど。 「あぁもう!ほんとしょうがないですねアンタって人は!!そんなに俺のこと触りたいの!?触りたいのね!?俺を触ることで安心するってんなら気が済むまで一緒に居てやりますから触りなさいよ!!もうほんと覚悟しなさいよ!?」
それから後々、善逸は宇髄と同居をすることになる。同居の初日、宇髄から「あれプロポーズだったんじゃねぇの?」と言われて、善逸は羞恥で転げまわることになる。
キメツ学園軸の記憶無し転生
中身があんまり無いのでお暇つぶしに深くは考えずにお読み下さい…
ねずこのね(ネのほう)の漢字が出ないんだけどどうすればいいの…
下記は吐き出すところが無かったつぶやきです。※単行本派
鬼滅にはまってからまだ1か月も経ってないのにいろいろ初体験しました。オタク歴は長いつもりでしたが初めて「興奮しすぎて呼吸ができなくて吐きそうになる」を経験しました。皆様が「かわいすぎて吐きそう」とかよく仰ってるのは比類なきかわいさを表現するためのただの比喩だと思ってて本当にごめんなさい。人間は好きすぎると本当に息できないし吐きそうになるもんなんですね。アニメ22話23話は見終わった後にものすごく走った後みたいな呼吸になってて「あれ?視聴中自分息してなかったかも」と思いました。アニメは1話から見てましたけど最初は「竈門兄妹かわいいな」で沼が遠くに見える程度だったんです。その後時間なくて先月にようやく録画を一気見して善逸が出てきた途端に足元に沼がありました。霹靂一閃で沈んでました。これほど急激に落とされたことがなかったので本当に混乱しています。アニメで柱が出る前に原作読みたいと思って単行本を大人買いしました。大人ってほんと素晴らしい。
この話は宇髄さんが弱々な感じで書いてしまったんですが、彼、元忍びだから表情とか感情とか動かさないのは得意なんでしょうけれども、身内にはだめですよね。嫁が危険になったら判断力が明らかに落ちるようなので、ふところに入れた人に何かあったらものすごく弱くなるのではないかという妄想と期待(?)からです。それにしても宇善の体格差はやばいですね。善逸は元々小柄で(時代にしては身長あると思うけど)各パーツが小さいんじゃないかと勝手に思っているので、宇髄さんと並んでいるだけでとても心昂ぶります。宇善の抱っこはお姫様よりもお米様派。お姫様抱っこは禰豆子にして欲しいし炭治郎には頭に飛びついて欲しい。宇善はやっぱり遊郭編なんですけれど、どうしてほんと炭治郎と伊之助はちゃんと着替えたのに善逸だけはあのままなの…善逸が喋るとギャグになるのにかっこいいとかもうほんとどうすればいいの。そんなんで吐き出さないと本気で自分の身がやばそうなので今回吐き出してみました。読んで下さってありがとうございます。