ニョキっと手から小人が生えた。テクテクと歩いて女湯に入っていくのを見守る。
小人の視界は良好。《死体化》で生命反応や気配を隠蔽しているので気付かれにくい上に、鹵獲時の対策もしてある。こうしているといつぞやの覗きを思い出す。
あの阿呆たちはあの後覗きの面子でパーティを組んだと便りが届いた。同封された写真には覗きがばれて襤褸布になった山積みの阿呆達の姿が。この写真の撮影者は一体誰なんだ・・・・
写真に写っている全員が揃って一抹の悔いが無い誇らしげな顔をしている辺り、相変わらず救えない馬鹿野郎どもだぜ・・・
何はともあれ元気そうで何よりだ。
カルディナでも覗きの常習犯かつ模範囚として今日も牢屋で奉仕作業をする日々。罰則として指定のモンスターを討伐するクエストを受けたりしているらしい。
何回も収監されて、もはや牢屋の顔馴染みなんだとか。アイツらの周囲の風評被害を恐れぬクソ度胸と温泉を出禁にされても覗きに通い続ける執念深さには、レジェンダリアンのバイタリティに通ずる所がある。
俺も後で視界を共有しているカーソンのお仕置きは避けられないだろう。何回かベッドの上で殺されるかもしれない。
【死霊王】の最終奥義は《死が一人を分かつまで》というもので、自分の肉体からアンデットモンスターを作り出すスキルだ。
込めるステータスや使用した体の体積によってアンデットモンスターの性能が上下し、込めたステータスは24時間で元通りになる。
今の俺は自在に融合した姿を変化させる事が出来るため、手足の区別が曖昧になっている。
だからかアンデットモンスターもその性質を引き継いでいた。スキルを使わずとも自在に姿を変える事ができたのだ。
他にも意思の共有、巨大化、保有スキルの同期などの大きな特徴があるが、どの特徴もカーソンが融合していない状態だと使用できなかった。
明確に俺とは別の存在として切り離された感覚だ。融合時はそんな感覚は無く、俺の体の様に動かすことも出来た。複数の体を動かすのは変な感覚だったが。
明らかに最終奥義に【カーソン】、もっと言えば《星の救世》が大きく影響している。
おそらく融合時の肉体から作られたアンデットモンスターは俺であり、カーソンでもある。
だから俺が融合しているカーソンの体を動かす様に動かせたし、様々な特徴を備えていたのだろう。ステータスを元に戻す統合も出来た。
だからステータスを分けた俺のもう一つのアバターとも言える。
一方、材料が俺のみの場合作られたアンデットモンスターは別のモンスターとして存在する様になる。
俺の意思は無く命令には忠実だが、ステータスは同一では無いし、スキルも同期する事は出来ない。テイムモンスターの扱いだ。だから別の存在として存在を確立したから統合は出来なかった。
そんな訳でカーソン用のアバターを作った。メイデン体の姿を再現していて、俺のスキルも使用できるので俺同様の死ににくさを持っている。
そして最大の利点はステータスを増やす事が出来るという事。本来の仕様では無いバグというべきものだが。
例えばカーソンのアバターを全体の50%のステータスを込めて作ったとして、俺は50%のステータスになる。
24時間後元通りの100%のステータスになった俺にカーソンのアバターを統合すると、150%のステータスになるのだ。
そして時間が経つ毎に割合が増えていく。150%を50%と100%に分けて、24時間後200%に。
これで元のステータスの2倍だ。もっと効率良く1%と99%も出来るだろうが、俺が貧弱極まりなくなってしまう。その逆もあまり意味が無い。
50%の方が計算し易く、戦力配分的にちょうど良いのでこれから50%ずつ増やしていこう。
デスペナルティになったら文字通り元の木阿弥になるのだろうが。まぁ、そう死にはしない。
副次的効果で俺の体が予想外の事態で死んでも、カーソンのアバターを俺のアバターにする事でデスペナルティを回避できる。
それに三体目、四体目と適当にアバターを作ってしまえば・・・
まぁ、スキルを封印なり使用不可能にされると一巻の終わりだろうが、それが可能な総数は多く無い。多分。
というか大半の存在の天敵だからどうしようもないと思う。対策のしようも無いし。
今の俺は全てが本体であり、その全てを殺してもそれぞれが復活するという質の悪いバグの様な存在になっている。
俺を殺し切る存在は多く無い。
普通と言って良いのか疑問だが、普通なら怨念を供給し続ける【忌騎融鎧】や怨念をMPというリソースに変換する【竜禍喰匣】などのリソースの供給手段を絶った上で何千回か延々とリソースが尽きるまで殺し続ける必要があるからだ。
あとは問答無用の【極毒】のような規格外による殺害。しかし【極毒】も減少量より回復量が上回れば生存は可能。それに【極毒】でそのアバターが死亡しても別のアバターがいる。
無限とは言えないがステータスがある限り幾らでもアバターを作り続けられる為、その全てを鏖殺できる力が絶対条件となる。
復活に必要なカロリーストックは消費量よりも補充量が上回っており、使用回数も減ってきた。
その貯蓄量は《窮鼠精命》の状態異常のデメリット相殺で物理的な消滅状態である【全身消失】になってさえ戦えてしまえる程だ。
敵に殴られる体がそもそも無いので一方的に敵を殴れるという無敵モードになれるが、普通に復活してから戦った方が消耗効率が断然上なので使う機会は多分無い。
そんな分かりきっている事より、目の前に広がる理想郷を楽しむとしますかね・・・
視界を遮る湯気など、温泉の湯に浸かってしまえば目標をダイレクトに観測できる。
目の前に広がる◯っぱい。グレートですよコイツァ・・・!
全く、レジェンダリアは最高だぜ!自然魔力が多いからか色々と発育が良い女性が多い!
様々な◯っぱいがあって・・・どれもが良い◯っぱいだ。小さくてもベネ。これはエルフだな。綺麗なまな板だ。
隣で知らないレジェンダリアンがコクリと頷いて同意を示した。
俺達はガッと握手を交わした。
フレンドが増えた。
・・・・・
野生のレジェンダリアンの抗争が終わった。
そう届けが来たのはつい最近の事だ。
色々とあったレジェンダリアの滞在もあと僅かとなっていた。
これはとある夢のVRMMOの物語。
真の不死。個にして群であり、圧倒的な力で殺そうが塵も残さず消滅させようが何度でも彼は蘇る。遠い未来、彼を知る者は彼を不定形の怪物と呼んだ。
戦場毎に姿が変わるからだ。
それは騎士であり、獣であり、蟲であり、大樹であり、精霊であり、竜であり、天使であり、
ーーー不死者であった。
ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート
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一人(抗菌と同じく特典化)
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双子
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五つ子(五等分の花嫁√(嘘))