重鎮去った自民「厚労族」、日医に強い風当たり…「今さら助けてと言われても」
読売新聞 / 2021年12月15日 7時35分
政府が今月決定する2022年度の診療報酬改定を巡り、自民党内での議論の構図が変化している。これまで議論を主導してきた「厚労族」から重鎮議員が去り、新たなキーマンの手腕も未知数なためだ。党の有力支持団体の日本医師会(日医)への風当たりが強まっていることも影響している。
厚労族世代交代 日医へ反発
7連続プラス
「大幅なプラス改定を目指して頑張っていく」
14日の党社会保障制度調査会の会合で会長の加藤勝信・元厚生労働相は、診療報酬のうち医師の人件費などに回る「本体」部分の引き上げに意欲を示した。
だが、国民の医療費負担の増加に慎重な岸田首相の下、財政規律の面からマイナス改定を主張する財務省の圧力は強まっており、プラス改定は困難な見通しだ。
原則2年に1度の診療報酬改定で、党内議論への影響力を持つのが、厚労族と呼ばれる議員たちだ。厚労相経験者や医師免許を持つ議員らが該当し、引き上げを求める日医や厚生労働省と、財務省とを調整してきた。選挙での協力を期待し、厚労族が日医の顔を立ててプラス改定に導くことも多かった。08年度以来、本体は7回連続でプラスだ。
力学に変化
もっとも、重鎮の伊吹文明・元衆院議長らが先の衆院選で引退するなどし、力学の変化が起きている。新たなキーマンは加藤氏とされるが、自民党関係者は「これまでの重鎮ほど、財務省ににらみがきくかは不明」と指摘する。田村憲久・前厚労相はこの日の会合で、「医療機関の経営は決して良い状況ではない」と危機感をあらわにした。
自民党と日医の関係もかつてほど良好ではない。日医の横倉義武・前会長は安倍元首相や麻生副総裁ら政権中枢と蜜月で、過去のプラス改定は安倍内閣時代に財務相だった麻生氏の横倉氏への配慮もあったと指摘される。
一方、現在の中川俊男会長は、新型コロナウイルス対策などで、政府に批判的な姿勢が目立つ。党内には「今さら助けてくれと言われても応じる気にはなれない」(中堅)と冷淡な声が広がっている。
「メンツ潰れる」
過去の改定議論では、決着前に首相と日医会長の面会がセットされることが多かった。岸田首相の就任後に中川氏は面会を実現できておらず、厚労族の一人は「このまま面会できなければ日医のメンツが潰れてしまう」と心配する。
日医の置かれた厳しい現状に、財務省内には「日医が横倉氏に泣きつき、プラス改定に向けて麻生氏を動かす可能性もある」との観測も流れている。
この記事に関連するニュース
-
自民党の茂木氏、足場固め着々=派内結束・参院選に不安も
時事通信 / 2021年12月11日 16時53分
-
<独自>診療報酬「本体」微増へ 看護師増収と不妊治療で+0・5%
産経ニュース / 2021年12月7日 23時51分
-
自民党税調に「異変」 幹部一新、「重鎮」不在で首相官邸と党の綱引きが激化中!
J-CAST会社ウォッチ / 2021年12月5日 10時0分
-
付き添い入院、厚労省が実態調査 家族の負担把握、対応策を検討へ
共同通信 / 2021年11月24日 18時42分
-
「新しい資本主義とは一体なんなのか」岸田首相が安倍氏や麻生氏と距離を取り始めたワケ
プレジデントオンライン / 2021年11月18日 9時15分
トピックスRSS
ランキング
-
1西鉄バス事故、運転手に禁錮1年6月求刑 居眠り運転で12人けが
毎日新聞 / 2021年12月14日 18時43分
-
2「寂しさで胸が張り裂けそう」=被害生徒の両親、思いつづる―愛知中3刺殺
時事通信 / 2021年12月14日 21時0分
-
3生コンサイロに転落した男性2人生き埋め、7時間半後に現場で死亡確認
読売新聞 / 2021年12月14日 21時44分
-
4「子ども格差」に募る不満、10万円給付で所得制限なくす動き…再生相「独自財源なら止めない」
読売新聞 / 2021年12月14日 21時42分
-
5王将が6万3千食を子ども食堂に無償提供 「お子様弁当」で子育て支援
京都新聞 / 2021年12月14日 18時3分
ミッション中・・・
記事を最後まで読む