死闘……!
まさにこれこそ、死闘……!
そして、恐るべき処刑……!
さらに、完全敗北を察しても、取引を持ちかけて逃げようとする、狡猾なアルカナの黒幕……!
ちなみに『遠隔殺人者(トリックメイカー)』とは、『天才クソ野郎の事件簿』の「彼と上手に決着をつける方法」などに登場する謎の人物のことです。
ご興味ございましたら読んでください!
アルカナ編も残り2話になりました!
いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!!!
※本作品は残酷描写が含まれている可能性がございます。
ミルクちゃん
フフフフッ……!
ムシュー、キミのことは調べたと言ったよね……!
ミルクちゃんがベッドに飛び乗る。
スプリングを利用して跳躍した。
ミルクちゃん
残念だけど、ボクのアルカナは、キミの卑怯すら超えるんだよ!
天野は小瓶を投げ捨て、最後の力を振り絞って立ち上がった。
天野勇二
クソがぁっ……!
ミルクちゃんは右足を振りかぶっている。
天野の左腕は骨折しており、ガードすることはできない。
無防備な左側頭部への蹴り。
それで天野を仕留めるつもりだ。
天野勇二
(まずい。これは避けられない)
青ざめる天野を見て、前島が動いた。
前島悠子
おんどりゃああっ!
部屋にあった椅子を振り上げ、ミルクちゃんに叩きつける。
さすがのミルクちゃんも叩き飛ばされた。
ミルクちゃん
チィィッ!
前島ァ!
前島悠子
どこまでも人を傷つけて、あなたは何がしたいんですか!?
前島が吼える。
前島悠子
そんなに私が憎いなら、私だけを狙えばいいじゃないですか!
沢山の人を殺して、みんなを傷つけて……!
私は絶対にあなたを許しません!
あなたみたいな、
前島はもう一度椅子を振り上げた。
ミルクちゃんが舌打ちしながら前島を睨みつける。
無力な前島から殺すべきか。
最大の
その迷いが、天野に反撃の隙を与えた。
天野勇二
おらぁぁっ!
ミルクちゃん
ぐぅッ!
天野の
天野勇二
前島!
よくやった!
だがお前は富樫を止血しろ!
富樫が死ぬぞ!
前島悠子
は、はい!
天野勇二
ミルクよ。
立ちやがれ。
今の一撃じゃ、お前は倒せないはずだぜ。
ミルクちゃんがその声を受けて立ち上がる。
ミルクちゃん
……フフッ。
実に紳士的じゃないか。
それとも追い打ちする体力がないのかな?
どちらにしろ、ムシューのそういうところ……。
ボクは気に入らないね。
ミルクちゃんは右脚を鞭のようにしならせ、天野の左側頭部を狙った。
鋭いハイキック。
天野は身体を反らして避ける。
しかし、ミルクちゃんはくるんと一回転し、左踵で追撃の
天野勇二
ぐはっ!
天野の左頬に衝撃が走る。
無防備な左半身への攻撃は避けようがない。
天野勇二
なんて女だ……!
まだそこまで動けるのかよ!
蹴り自体の威力は小さい。
だが、ガードすることはできず、靴には鉄板が仕込まれている。
カウンターで叩きこまれれば、天野でも失神しかねない。
しかも未だに動きが
かなりのダメージを与えている。
それなのにミルクちゃんの動きは衰えない。
平常時の天野でも苦戦間違いなしの相手。
想像以上の強敵だった。
ミルクちゃん
ムシュゥゥ!
シネェェェェ!
ミルクちゃんの右肘が軌道を描いて飛んでくる。
天野勇二
ならば、これならどうだ!
天野は肘打ちを顔面に受けながら、ミルクちゃんの顔面に自らの額を打ちつけた。
ガツン!
骨同士がぶつかる鈍い音。
お互いの顔から
天野勇二
もう一発だ!
ミルクちゃんの短い髪を掴み、もう一度
天野の身体は限界を超えており、蹴り技や掌底を放つことはできない。
片手では得意の関節技に持ち込めない。
絞め落とすこともできない。
よろけるミルクちゃんを掴み、何度も
天野勇二
おらぁ!
おらぁ!
おらぁっ!
全身を打ち付けるように
「バキッ」とミルクちゃんの鼻骨がへし折れた。
お互いの服が鮮血で汚れていく。
天野はミルクちゃんの『耳』に噛みついた。
ミルクちゃん
きゃあああああ!
ミルクちゃんの金切り声が響く。
激しい出血が耳元から吹き上がる。
天野は「ぺっ」とミルクちゃんの『肉片』を吐き出すと、また
天野勇二
おらぁ!
おらぁ!
おらぁぁぁっ!
天野の額からも血が吹き出す。
ミルクちゃんの顔面はもう真っ赤だ。
さすがのミルクちゃんも意識が
天野勇二
はぁ、はぁ、はぁ……!
ナメやがって。
もう一発だ!
プシュゥゥゥ
ミルクちゃんが天野の顔目掛けて、口から真っ赤な
鼻骨がへし折れ、口の中に流れ込んだ血を、天野の顔面に
天野勇二
ぐああああああ!
天野の顔がミルクちゃんの血で染まる。
視界が完全に潰された。
何も見えない。
天野勇二
このクソアマがぁぁぁ!
目を瞑りながらミルクちゃんの首を掴む。
もうここで死のうとも、背中の皮膚が裂けようとも、長い入院生活を余儀なくされようとも、何もかもがどうでも良かった。
天野は完全にキレていた。
天野勇二
うおおおッ!
ミルクちゃんの首を握り潰すように掴み、部屋の壁に押しつけた。
残る力の全てを右腕にこめる。
ミルクちゃんの首がメキメキと絞まる。
ミルクちゃん
は、はな、セェ……!
ミルクちゃんは苦しげに顔を歪め、天野の腕を何度も殴りつけた。
それでも天野は手を離さない。
ミルクちゃんの首を掴み、徐々に持ち上げていく。
ふわりとミルクちゃんの身体が浮く。
口と鼻から「ゴボッ」と苦しげに血を漏らした。
ミルクちゃん
(フフッ……。見事だ……)
この時、ミルクちゃんは薄れ行く意識の中で、この場所を選択した天野の『トラップ』を賞賛していた。
ホテルの部屋は狭い。
ここでは機動力を生かしたムエタイの戦闘力が十分に発揮できない。
ミルクちゃん
(ボクと、戦闘になることまで、想定していたのか……。フフッ……。なんて、男だ……。ボクの、完敗だ……)
天野は手負いだ。
だからこそ、この狭い場所にミルクちゃんを誘い込んだ。
ミルクちゃんは最後の力を振り絞り、天野に語りかけた。
ミルクちゃん
ムシュー……!
ボクと、取引を……!
しないか……!?
天野はそれに答えない。
ギリギリとミルクちゃんの首を絞め上げる。
ミルクちゃん
うぐぐグぐッ……!
聞きなよムシュー……!
ボクは、キミのことを、調べ上げた……!
だから、知ってる……!
キミに、迫る、ひとつの『脅威』を……!
天野勇二
……なに?
ミルクちゃん
ボクを、見逃せば……!
教えるよ……!
キミを狙う『
その言葉はまるで稲妻のように、ホテルの部屋に
右手に決死の力を込める天野。
富樫の止血に励む前島。
2人の視線がミルクちゃんの顔に注がれる。
前島悠子
師匠、それってもしかして……!
前島が困惑して天野を見る。
天野はニタリと極悪の笑みを浮かべた。
天野勇二
それがどうした?
俺様を見くびるなよ。
アルカナのクズめが……!
天野の右手に更なる力が込められる。
天野勇二
どんな条件があってもな、貴様のようなクズを見逃す選択肢なんて、俺様にはないんだよ!
ミルクちゃんの首を締めたまま、自分の顔と同じ高さまで持ち上げる。
そして頭からミルクちゃんの顔面に飛び込んだ。
バキッ
ミルクちゃんの身体から力が抜ける。
天野はそれで終わらせる気はない。
抵抗の消えたミルクちゃんの頭を右脇に挟み、フロントチョークで首を固定して絞め上げる。
天野勇二
トドメだ!
その体勢から素早く自身の体ごと、時計回りに180度反転した。
首をロックしたままミルクちゃんを床に叩きつける。
一切の手加減がなかった。
フロントチョークからのスイング式ネックブリーカー。
確実に首を破壊する危険技だ。
ミルクちゃんの体が床に崩れ落ちる前に、「グキッ」と鈍い音が響いた。
もうさすがにミルクちゃんは立ち上がれない。
天野も背中の皮膚がバリバリと音をたてて裂けていくのを感じていた。
天野勇二
クソがぁ……!
おらぁ!
死ねコラァ!
天野は本当に卑怯で非情で、相手が女性だろうと一切の容赦がなかった。
痛みを堪えて立ち上がり、ミルクちゃんを踏みつけ、サッカーボールキックで蹴り上げる。
恐ろしいまでの処刑だ。
天野勇二
はぁ、はぁ……。
前島よ。
スタンガンを貸せ。
前島は富樫の首元に布を当てて止血していたが、涙目になりながら天野に従った。
落ちていたスタンガンを持たせながら叫ぶ。
前島悠子
師匠!
血だらけです!
もうやめてください!
相手も死んでしまいます!
天野勇二
死ねばいいのさ。
鮮血に染まる目元を拭い、天野は極悪の笑みを浮かべた。
天野勇二
『天才クソ野郎の女』に手を出すヤツは、死ねばいいのさ。
スタンガンを振りかぶる。
タロットに切り裂かれた頬や腕。
背中にはナイフ。
そして火傷によって傷ついた皮膚。
全ての箇所が血を噴いており、天野の全身は赤く染まっている。
天野は血だらけの悪そのものだった。
前島悠子
師匠!
やめてください!
本当に死んでしまいますって!
天野勇二
知ったことか。
処刑してやる。
もう気絶しているミルクちゃんにスタンガンを突き刺す。
ミルクちゃんはビクンビクンと痙攣して、完全に沈黙した。
天野は満足したようにベットに倒れこんだ。
天野勇二
はぁ、はぁ……。
もうダメだ。
前島、救急車と警察を呼んでくれ。
前島はコクコクと頷き、富樫の止血をしながらフロントに救急車と警察を頼んだ。
部屋は激戦を物語るような血の海。
天野もさすがに意識が遠くなってきていた。
天野勇二
クックックッ……。
生意気なんだよ。
何が『アルカナの導き』だ。
そんなものがあっても、この天才クソ野郎にかかれば、全てうまく、いくんだよ……。
天野も体力を使い果たし、そう呟くのが精一杯だった。
26,947
死闘……!
まさにこれこそ、死闘……!
そして、恐るべき処刑……!
さらに、完全敗北を察しても、取引を持ちかけて逃げようとする、狡猾なアルカナの黒幕……!
ちなみに『遠隔殺人者(トリックメイカー)』とは、『天才クソ野郎の事件簿』の「彼と上手に決着をつける方法」などに登場する謎の人物のことです。
ご興味ございましたら読んでください!
アルカナ編も残り2話になりました!
いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!!!
オトナ限定comicoに移動しますか?
刺激が強い作品が掲載されています。