あまの「俺様のウチワは台風に匹敵するぞー!」
あまの「ご主人様はエッチなのだ!」
あまの「ミルクも『たっぷり』と頼むぞ」
↓
あまの「これの何が楽しいんだ? 気持ち悪くて反吐が出そうだ」
本当かなぁ…( ゚д゚)
おぬし、なんだかんだでそれなりに楽しんでいるのでは……?
ではではいつも応援やコメント、本当にありがとうございます!!!
天野と富樫がテラスで会話した数日後。
富樫はその日もミルクちゃんと会うため、秋葉原を訪れていた。
ピンクちゃん
お帰りなさいませ!
ご主人様!
富樫和親
えへへ。
また来ちゃった。
デレデレと情けない笑みを浮かべ、店内に足を踏み入れる。
富樫和親
……あれ!?
そして、1人の男を
富樫和親
天野さんじゃないですか!
店内に天野こと、天才クソ野郎の姿があった。
数人のメイドたちとトランプゲームをしている。
天野勇二
あっはっは!
俺様はフォーカードだ!
また俺様の勝ちだ!
ほれ、ウチワを貸せ!
ミルクちゃん
もうご主人様ぁ。
ポーカーが強すぎますぅ。
天野はウチワを手にすると、メイドの足元から「ブンブン」と風を送り始めた。
メイド服の生地はしっかりしているが、いかんせんこの店はスカートの丈が短い。
ウチワで下から風を送ったりすると大変ハレンチだ。
天野勇二
ほーれほれ。
俺様のウチワは台風に匹敵するぞー。
クリスちゃん
きゃぁ!
ご主人様のエッチぃー♡
富樫は何度も目をこすった。
女性に一切の興味がないことで有名な天才クソ野郎が、メイド相手に大はしゃぎしている。
天野勇二
まだまだ!
俺様のウチワが唸りを上げるぞ!
ミルクちゃん
もういやぁ!
パンツ見えちゃいますぅ♡
天野はメイドと楽しめるゲームのひとつ、『メイドさんと楽しいポーカー』をして遊んでいた。
1回の勝負が2000円もするという、闇ポーカーも真っ青な価格だ。
ちなみに勝利すると『3000円の追加料金でウチワを借りる権利』を取得することができる。
しかも「好きな場所を30秒間あおいで良い」というサービスタイム付きだ。
天野勇二
あっはっは!
君は白。
君は黒。
君は何かなぁ?
ハニーちゃん
やだぁ、ウフフ♡
ご主人様のエッチー♡
天野勇二
ご主人様はエッチなのだ!
あっはっは!
メイドさんはスカートを押さえつつ、さり気なくボディタッチしてご主人様の性的な
本当にどうしようもないメイド喫茶だ。
富樫和親
あ、天野さん……?
な、な、何をしているんですか……?
富樫に気づくと、天野は平然とウチワを差し出した。
天野勇二
富樫じゃないか。
お前もあおげよ。
富樫和親
い、いや……。
その、僕は……。
富樫はチラリと天野の隣を見つめた。
愛しのミルクちゃんが天野にべったり寄り添っている。
ミルクちゃん
富樫様ぁ!
お帰りなさいませ!
富樫和親
や、やぁ、ミルクちゃん……。
ミルクちゃん
もしかして富樫様、天野様とお知り合いなんですかぁ?
天野がミルクちゃんの肩を抱き、偉そうに告げた。
天野勇二
コイツは俺様の後輩なんだ。
こう見えてなかなかの切れ者だぜ。
殺人者を追い詰めたこともある現代の名探偵なんだ。
ミルクちゃん
へぇー!
富樫様、カッコイイですね!
ステキです!
天野勇二
富樫よ。
いつまで立っているつもりだ?
早く座れよ。
天野が顎で指示する。
富樫は椅子に腰掛けると、恨めしげに天野を見上げた。
富樫和親
さ、さては、涼太さんから聞いたんですね……。
僕がこの店に出入りしてるって……。
天野勇二
何を言っているのかよくわからんな。
ここは俺が
富樫和親
ウソだ。
絶対にウソです!
天野勇二
人聞きの悪いことを言うなよ。
俺がウソなんか吐いたことあったか?
天野はヘラヘラと下品な笑みを浮かべている。
天野勇二
なぁ富樫よ。
もしかして、お前はあのミルクが好みなのか?
偶然だなぁ。
俺様もあんな巨乳が好みなんだ。
さて、どうやって口説き落としてやるかな?
富樫和親
や、やめましょうよ。
天野さんには
天野勇二
前島?
アイツは恋人じゃない。
弟子だ。
富樫和親
違いがわかりませんよ。
僕、本当にミルクちゃんが好きなんです。
天野勇二
ならば富樫よ。
この高身長かつ、イケメンかつ、医者のボンボンかつ、天才の頭脳を持つ俺様というライバルに勝たねばならんな。
富樫和親
や、やめて下さい!
天野さんには勝てません!
勘弁して下さいよ!
富樫はすっかり涙目だ。
これ以上からかっても良かったが、天野はこの辺りで飽きてしまった。
苦笑しながら手を広げる。
天野勇二
クックックッ……。
まぁ、冗談だ。
ミルクねぇ。
俺様には何がいいのかさっぱりわからんが、お前のことを応援してやるよ。
富樫はその言葉を聞き、ようやく天野の目的を理解した。
富樫和親
まさか天野さん……。
マデューと会うために……?
天野は不敵な笑みを浮かべた。
天野勇二
ああ、そうだ。
お前の話が気になってな。
俺様と似た性質を持つ殺し屋。
是非ともお会いしたいと思ったんだよ。
天野は右手を上げると、指を「パチン」と鳴らした。
それを見た店中のメイドが天野に向かって飛んで行った。
ミルクちゃん
はいはーい!
ご主人様ぁ!
ミルクが来ましたぁ!
一番にミルクちゃんがやって来た。
それを見て他のメイドは舌打ちをする。
この店のキックバックはオーダーを受けたメイドに入るのだ。
富樫は首を傾げながらその様子を見ると、天野の前に置かれた伝票に目をやった。
富樫和親
げげぇ!
あ、天野さん!
もうこんなに使ってるんですか!
伝票は3枚目に入っている。
注文の数がぎっしり。
とんでもない数だ。
天野勇二
ミルクよ。
富樫にアイスコーヒーをくれてやれ。
ミルクも『たっぷり』と頼むぞ。
ミルクちゃん
はぁい♡
ご主人様、かしこまりましたぁ♡
ミルクちゃんがスキップで厨房に入っていく。
富樫は恐る恐る尋ねた。
富樫和親
あ、あの……。
今日、いくら使ったんですか?
天野勇二
お前も知っている通り、俺様は医者のボンボンだ。
金なら腐るほどある。
まだ10万ほどしか使ってない。
富樫はげんなりと天野を見つめた。
この店は金持ちに優しく、貧乏人に冷たい店だ。
天野は最高の太客だった。
ピンクちゃん
ご主人様ぁ♡
私に御用はありませんかぁ?
ピンクちゃんがブリッ子全開で尋ねる。
天野に全力の色目を使っている。
天野勇二
さっきミルクを使いにやったからな。
とりあえずないな。
ピンクちゃんが肩を落として下がる。
次にクリスちゃんというメイドがやって来た。
クリスちゃん
私、いっぱいご主人様にご奉仕したいです。
クリスのことも呼んでくださいね♡
天野勇二
ああ、次は君にしようかな。
クリスちゃん
うふふ♡
楽しみに待っておりますね。
クリスちゃんはトレードマークである赤いメガネを
富樫は改めて金という力の恐ろしさを知った。
凄まじいまでのVIP待遇だ。
富樫和親
ここまでメイドさんが色目を使う姿なんて見たことありません…‥。
貧乏人には夢のような光景です……。
天野はメイドがいなくなると、即座に本音をぶちまけた。
天野勇二
だがこんなもの、面白くもなんともないぜ。
富樫に訊きたかったんだが、これの何が楽しいんだ?
気持ち悪くて
悪態を吐いていると、ミルクちゃんがアイスコーヒーを持ってやってきた。
天野勇二
ミルクよ。
君の帰りを待っていた。
さぁ、早く富樫を魅了してやれ。
ミルクちゃん
はぁい!
ウフフ♡
富樫様ぁ……。
ミルクのミルク、いっぱい注いじゃいますねぇ……♡
ミルクちゃんが官能的なセリフを叫び、富樫のアイスコーヒーをカフェオレにした。
天野勇二
ほらよ。
俺様の
飲め。
富樫和親
あ、ありがとうございます。
申し訳ないです……。
天野勇二
気にするな。
これが医者のボンボンという力だ。
富樫和親
しかし、どれほど通ってるんですか?
今日初めて来たってワケじゃないですよね。
天野勇二
そうだな。
お前とテラスで話した日から、毎日通っている。
富樫は仰天した。
富樫和親
テラスで話したのは5日前ですよ!
ま、まさか、それから毎日10万円使っているんですか!?
天野勇二
そうだ。
金をドブに投げ捨ててるような気分だ。
それも10万じゃない。
最低でも毎日30万は使っている。
しかもまだ、マデューとかいう殺し屋には出会えてないんだぜ。
富樫はすまなそうに頭を下げた。
富樫和親
す、すみません……。
しかしなぜ、天野さんはマデューに会いたいと?
天野勇二
ただの好奇心さ。
大した理由じゃない。
天野はまた右手を上げると、気障ったらしく指を「パチン」と鳴らす。
メイドがパブロフの犬のように飛んで来る。
今回はミルクちゃんではなく、別のメイドが競り勝った。
ハニーちゃん
ご主人様ぁ♡
御用をお申し付けくださぁい!
ハニーちゃんというメイドが上機嫌で尋ねている。
普段のハニーちゃんはかなり無愛想かつ、空気の読めないマイペースな娘で、サービスに積極的ではないことで有名だ。
富樫は改めて、金という魔力の恐ろしさを知った。
天野勇二
俺様の連れが寂しそうだ。
『プリン』を食わせてやれ。
富樫は慌てて首を横に振った。
富樫和親
いいですよ。
そこまでご馳走になれません。
天野勇二
遠慮することはない。
俺様が親のスネをしゃぶって出てきた最低の端金だ。
『特製最高級プリン』を食ってこい。
富樫和親
と、特製最高級ですって!?
『特製最高級プリン』とは、「狭い個室でメイドさんと密着しながらプリンを食べる」という、大変美味しいスイーツだ。
個室は1畳もないほど狭い。
そこで何が行われようとも、それはご主人様とメイドさんだけの秘密だ。
富樫和親
それ一番高いメニューじゃないですか!
3万円ですよ!
さすがに悪いです!
天野勇二
ああ、そういえば。
天野は大事なことを思い出した。
天野勇二
お前の目当てはミルクだったな。
おーい、ミルクよ。
こっち来い。
ミルクちゃんが胸をぶるんぶるん揺らせながらやって来た。
ミルクちゃん
はぁい!
ご主人様、ミルクをご所望ですかぁ?
天野勇二
ああ、富樫に『特製最高級プリン』を食わせてやれ。
ミルクちゃん
はぁい!
かしこまりましたぁ!
ミルクちゃんが嬉しそうに飛び跳ねる。
『特製最高級プリン』のキックバックは80%だ。
ご機嫌になるのも当前だろう。
ハニーちゃん
えぇー?
ご主人様ぁ。
私と食べるんじゃないんですかぁ?
ハニーちゃんがスネたように言った。
天野勇二
それもそうだな。
じゃあ富樫、ハニーとも食ってこい。
ダブルプリンだ。
富樫は汗をダクダク流しながら天野を見つめた。
6万円もする夢のようなプリンだ。
ピンクちゃん
あぁー。
いいなぁー。
ミルクちゃんとハニーちゃんだけズルいー。
クリスちゃん
そうですよ。
次は私を呼んでくださいってお願いしたのにー。
すかさずピンクちゃんとクリスちゃんも飛んできた。
天野勇二
うるさいメイド共だ。
じゃあ、ピンクとクリスよ。
お前らも富樫にプリンを食わせてやれ。
ピンクちゃん
わーい!
ご主人様ステキィーー!
4人の歓声を聞きながら、さすがに富樫は青ざめた。
個室に自分以外のメイドさんが4人。
もはやプリンなんかどうでもいい。
富樫和親
天野さん!
それは申し訳ないですよ!
3万円が4人ですよ!
12万円ですよ!
天野勇二
気にするな。
夢のような時間を過ごせ。
富樫和親
い、いいんですか!?
本当にいいんですか!?
天野勇二
ああ、だが一生、俺様に忠誠を誓えよ。
富樫和親
はい!
死ぬまで天野さんに忠誠を誓います!
ご馳走になります!
ミルクちゃん
ウフフ☆
富樫様いきましょ♡
富樫和親
はい!
行きましょう!
富樫たちが個室に消えて行く様子を、天野は鼻で笑いながら眺めていた。
天野勇二
クックックッ……。
古来から男を操るには、『金』と『女』と『ドラッグ』。
やはりこれらが鉄板だ。
そして、俺様のお目当てが、ようやく来やがった。
メイド喫茶の入り口に1人の男が現れた。
髪に銀のメッシュを入れ、赤いマニキュアを塗っている。
殺し屋マデューの登場だ。
天野は飢えた肉食獣のような瞳でマデューを睨みつけ、ゆっくり立ち上がった。
12,457
あまの「俺様のウチワは台風に匹敵するぞー!」
あまの「ご主人様はエッチなのだ!」
あまの「ミルクも『たっぷり』と頼むぞ」
↓
あまの「これの何が楽しいんだ? 気持ち悪くて反吐が出そうだ」
本当かなぁ…( ゚д゚)
おぬし、なんだかんだでそれなりに楽しんでいるのでは……?
ではではいつも応援やコメント、本当にありがとうございます!!!
オトナ限定comicoに移動しますか?
刺激が強い作品が掲載されています。