本作のジャンルは「ハードボイルドサスペンスミステリー」かなと個人的に考えておりますが、私自身は今回のようなクッソくだらない話も好きだったりします。
またメイドさんたちのイラストは、絵師様がつばこの無茶なリクエストを何とか形にしていただけた素晴らしいイラストでございます。皆さまの推しメイドが見つかれば幸いでございます(´∀`*)ウフフ
ではでは、いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!(*ノω・*)
天野は富樫と別れた後、1人の男に電話をかけた。
相手は天野の数少ない友人。
天才クソ野郎の『相棒』こと、
佐伯涼太
はぁい。
涼太ちゃんだよ。
天野勇二
勇二だ。
今いいか?
どうせヒマだろ。
佐伯涼太
ほいほーい。
どしたの?
また依頼が来たの?
悪友は相変わらずチャラさ全開だ。
天野はニヤニヤと悪い笑みを浮かべた。
天野勇二
お前、富樫にメイド喫茶を教えただろう?
涼太は「ヒュー」と呟き、感心したように笑った。
佐伯涼太
あはは。
勇二はデビルイヤーだねぇ。
どこからそんな情報を仕入れたの?
誰にも言ってないのになぁ。
天野勇二
富樫本人から話を聞いてな。
あいつが1人でそんな遊びを開拓するとは思えない。
悪い遊びを教えるヤツとえば、お前だよな。
涼太はケラケラと笑った、
佐伯涼太
ビンゴビンゴ!
富樫くんは女っ気がないからさぁ、最初はメイド喫茶で免疫をつけるのもアリかな? と思ったんだよ。
なかなか良い娘が揃っててさ。
天野勇二
そうか。
どこのメイド喫茶を紹介したんだ?
涼太は不思議そうに唸った。
天野がメイド喫茶に興味を持つなんて珍しい。
空から槍でも降ってくるのではないだろうか。
佐伯涼太
どうしてメイド喫茶を知りたいの?
天野勇二
たまには違う味のコーヒーを飲みたいじゃないか。
俺様も俗にまみれた男だ。
メイド喫茶、実に興味深い。
佐伯涼太
えっ!?
マジで言ってんの!?
うっひょお!
涼太は歓声をあげた。
天野と涼太は幼い頃からの友人だ。
佐伯涼太
(勇二がメイド喫茶って! 勇二もついに女の子に興味を持ったのかな!)
涼太は全力でガッツポーズを決めていた。
天野は中学生の頃に色々あってグレてしまい、女性に対する興味を失ってしまった。
それが『メイド喫茶』という俗世間的に興味を持ったというのだ。
悪友としては堪らなく嬉しかった。
佐伯涼太
いやぁ、勇二が興味を持つなんて嬉しいよ。
あのね、秋葉原にある『メイドさんまでイッテQ』って店だよ。
天野勇二
下品な名前だな。
お前のオススメは誰だ。
佐伯涼太
ぐへへ。
ミルクちゃんって娘がオススメだね。
たまんないおっぱいちゃんでさぁ。
富樫くんも気に入ったみたいだよ。
天野勇二
クックックッ……。
そうか。
ありがとよ。
天野は電話を切ると秋葉原へ向かった。
日本を代表する二次元とアイドルの街。
天野には一生理解できない趣味の看板が並んでいる。
天野勇二
ここか。
天野はスマホで店の情報を調べ、入口をためらいもなく開け放った。
メイドさん
お帰りなさいませ!
ご主人様!
数人のメイドがやって来て、短いスカートを持ち上げて挨拶する。
天野勇二
この店は初めてなんだ。
何かオススメはあるかい?
席に座りながら尋ねる。
メイドは嬉しそうにメニュー表を取り出した。
胸元の名札には『ピンクちゃん』という名が書かれている。
ピンクちゃん
この『メイド印』がついてるメニューがオススメなんですよぉ。
天野勇二
そうか。
できればコーヒーが飲みたいな。
ピンクちゃん
じゃあ、この 『特製アイスコーヒー』がオススメです!
メイドは500円のアイスコーヒーを勧めてきた。
天野は感心した。
思ったより良心的な価格だ。
そこらの喫茶店と変わらない。
天野勇二
じゃあ、それを頼むよ。
ピンクちゃん
はぁい!
ご主人様は甘党ですか?
天野勇二
甘いものは苦手なんだ。
ブラック派だ。
そう言うと、見るからにメイドのテンションが下がった。
天野は不審に思い、注意深くメニューを調べた。
そして、この店のカラクリを知った。
天野勇二
(な、なんだこれは……! ガムシロとミルクがそれぞれ500円だと!? ふざけてんのか! アイスコーヒーと値段が変わらねぇぞ!)
メイドは気を取り直し、天野に尋ねた。
ピンクちゃん
ご主人様、軽食なんていかがですか?
うちのメニューは豊富でお手頃なんですよぉ。
天野はフードメニューを見て、またげんなりと顔を歪めた。
確かにこちらもお手頃な価格だ。
主力商品であるオムライスは700円。
だが、オプションメニューが酷い。
◎メイドさんのお手入れ… 2,000円
◎メイドさんの「あーん♡」… 4,000円
◎メイドさんの「スペシャルあーん♡」… 7,000円
天野はメニュー表を放り投げた。
天野勇二
今は腹が減ってないな。
コーヒーだけでいいよ。
天野が宣告すると、メイドのテンションは氷点下まで落ちた。
しょんぼりと口唇を尖らせる。
ピンクちゃん
はぁ……。
ご主人様に『スペシャルあーん♡』をしたかったですぅ……。
ご主人様、イケメンで凄く好みなのに……。
残念ですぅ……。
天野は白い目でメイドを見つめた。
これは心からの言葉ではない。
完全に『マニュアル』の発言だ。
経営者に「ブリッ子を演じて客から金を搾り取れよ」と教育されているのだろう。
ピンクちゃん
ご主人様、ご利用のお小遣いが5000円未満の場合は、テーブルチャージが1時間ごとに5000円発生しますので、注意してくださいね!
いつでも『スペシャルあーん♡』を注文してください!
それではごゆっくりとお過ごしください!
メイドは恐るべき言葉を残して去った。
天野は呆然と椅子にもたれこむしかなかった。
とんでもない店だ。
もうこの時点で5500円のアイスコーヒーを飲むことが確定している。
オプションメニューを頼まなければ、無理やりにでも金を搾り取る仕組みなのだ。
天野勇二
(まったく……。メイド喫茶とはよくできたシステムだ。病院に取り入れたら儲かりそうだ。待合室は1時間1000円のチャージ料金が発生、とかな……。俺様はそんなクソみたいな病院には行きたくないなぁ……)
天野がタバコを吸いながらアイスコーヒーを飲んでいると、店内を駆けまわる目当ての娘を発見した。
天野勇二
ねぇ、君。
ちょっと話さない?
ミルクちゃん
はいはーい!
ご主人様お呼びですかぁ?
ぼよんぼよんと自慢の胸を上下に揺らしてミルクちゃんがやって来た。
実はこの店には指名料金というものが存在しない。
オーダーを取った女の子に『キックバック』が入る仕組みだ。
それにより、メイドが客に呼ばれたら、いち早く飛んで行く仕組みを作っている。
天野勇二
コーヒーにミルクを入れたいんだ。
君に入れてもらいたいな。
ミルクちゃんはニコニコと営業スマイルを浮かべ、伝票を素早く取り出した。
ミルクは500円。
その内50%のキックバックがミルクちゃんに入る。
つまり、客にミルクを入れるだけで、メイドさんは250円の利益を手にすることができるのだ。
ミルクちゃん
はぁい!
1杯の『少し』と、ダブルの『たくさん』がありますよぉ?
どちらになさいますかぁ?
ミルクちゃんは名前通り、ミルクを入れる一流のプロだった。
通常であればミルクなんて1杯で十分。
しかし、ミルクちゃんはその程度では満足しない。
天野勇二
そうだな……。
天野は思案しながらニヤリと笑った。
この男は医者のボンボンだ。
基本的に金をあり余るほど所持している。
勝負に出る時は金をケチらない。
天野勇二
じゃあ、『たくさん』のトリプルで。
ミルクちゃんの顔が興奮に染まった。
ミルクを6杯、ということだ。
なんとミルクだけで3000円もする。
ミルクちゃん
ありがとうございますぅ☆
ミルクがいっぱい絞りだしちゃいますね!
ミルクちゃんは自慢のおっぱいを持ち上げ、性的な魅力を強めた。
天野勇二
(なるほど。この店は性的なオプションサービスがウリなのか)
そう理解した天野は、すかさずフードメニューを取り出す。
天野勇二
小腹も空いちゃったな。
オムライスが食べたいね。
ミルクちゃん
はぁい!
ウフフ☆
ご主人様に、『あーん♡』させていただけませんかぁ?
ミルクちゃんがすかさず『あーん』をせがる。
天野勇二
そうしようかな。
『スペシャルあーん♡』も、トリプルで。
ミルクちゃん
えぇっ!?
いいんですかぁ!
やったぁ!!!
ミルクちゃんのテンションは一気にマックスまで上がった。
『スペシャルあーん♡』は7000円で、こちらも50%キックバックされる。
客に「あーん」するだけで3500円も手に入るのだ。
これがトリプルなのだから、ミルクちゃんが喜ぶのも当然だろう。
ミルクちゃん
かしこまりましたぁ!
ミルク、特製オムライスを持って来まぁす!
ミルクちゃんが大急ぎで厨房に走る。
天野はその後姿を見つめ、大きくため息を吐いた。
メイドさんに「あーん」されるとはいえ、総額20000円を超えるオムライスだ。
これが高いのか安いのか。
それは富樫たちキモオタの客が決めることだ。
天野勇二
やれやれ……。
これでマデューがいないんだから泣けてくるぜ。
店内を見回すが、富樫の言っていたマデューは見当たらない。
真っ赤なマニキュアを塗った謎の殺し屋は、この日来店していなかった。
ミルクちゃん
ご主人様ぁ!
お待たせしましたぁ!
ミルクちゃんが戻って来た。
自慢の巨乳に細いミルク入れを挟みこんでいる。
まずはミルクからの提供だ。
ミルクちゃんは甘い声をささやきながら、天野のアイスコーヒーにミルクをドボドボと注ぎ込み始めた。
ミルクちゃん
あぁん♡
ミルクのミルクがいっぱい絞り出されちゃってますぅ!
こんなにいっぱい!
白いのいっぱい出ちゃってます!
ミルクの白いミルクが白いのでミルクいっぱい白くてミルクもうおかしくなっちゃいますぅ!!!
グラスから無駄なミルクがこぼれ、テーブルをどこまでも白く汚している。
天野勇二
おいおい。
机がドロドロじゃないか。
ミルクちゃん
ウフフ♡
ご主人様のミルクがいっぱいですねぇ。
ミルクちゃんはこぼれたミルクを指ですくい取り、「ちゅぱちゅぱ」と音を発しながら舐める。
ミルクちゃん
次はぁ、オムライスを持って来ますねぇ♡
厨房に走ると、すぐさまオムライスを持って来た。
見るからに安物の冷凍食品だ。
ミルクちゃん
ご主人様のお名前はぁ、なんて言うんですかぁ?
天野勇二
俺は天野というものだ。
ミルクちゃん
じゃあ、天野様のオムライスにぃ、ミルクがケチャップぶっかけちゃいます!
ミルクちゃんはオムライスにハートを描くと、中心に「あまの」と文字も書いた。
その皿を片手に持ち、天野の膝の上に股がった。
天野勇二
そこにいられちゃ食べにくいじゃないか。
ミルクちゃん
いいんですよぉ。
これが『スペシャルあーん♡』なんですぅ。
ミルクちゃんは自らの豊満な谷間を「これでもか」と見せつけると、
ミルクちゃん
はい!
あぁーーん♡
天野の口にオムライスを押し込んだ。
ミルクちゃん
ご主人様ぁ。
美味しいですかぁ?
天野勇二
そうだな。
美味いし、目の前の絶景も見事だ。
ミルクちゃん
いやぁん♡
ご主人様エッチですぅ♡
じゃあ、特別サービスしちゃいますねぇ♡
相手は『スペシャルあーん♡』のトリプルをオーダーした太客だ。
ミルクちゃんは確実に自分のリピーターにするため、オムライスの入ったスプーンを自慢の巨乳で「むぎゅっ」と挟み込んだ。
ミルクちゃん
どうですかぁ?
ミルクの『おっぱいあーん♡』ですぅ!
こぼれちゃうんで早く食べてくださぁい!
こぼれたりしたらぁ、ミルクおかしくなっちゃいますぅ!
天野はにやにやと笑みを浮かべ、谷間に挟まれたスプーンを頬張った。
ミルクちゃん
あぁん♡
こぼれちゃいましたぁ♡
ミルクちゃんはスプーンを落とし、わざとらしく谷間を天野の顔に押しつけた。
これがミルクちゃんの必殺技だ。
どんなご主人様もミルクちゃんの
天野勇二
あっはっは。
ミルクちゃんは可愛いね。
また君に注文しようかな。
ミルクちゃん
ありがとうございますぅ!
じゃあ、またオムライスをあーんしますねぇ♡
天野は「ぐっちゃぐっちゃ」とオムライスを
天野勇二
ああああッ!
うざってぇ!
これで7000円か!
重たい女だな!
こんな店の何がいいんだ富樫ッ!
と、心の中で怒号をあげていた。
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本作のジャンルは「ハードボイルドサスペンスミステリー」かなと個人的に考えておりますが、私自身は今回のようなクッソくだらない話も好きだったりします。
またメイドさんたちのイラストは、絵師様がつばこの無茶なリクエストを何とか形にしていただけた素晴らしいイラストでございます。皆さまの推しメイドが見つかれば幸いでございます(´∀`*)ウフフ
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