クリスマスに爆弾テロなんて怖いですね……。
皆様お出かけの際はお気をつけください(´・ω・`)
天才クソ野郎の事件簿24 -TWENTY FOUR-
第17話「天野くんのクリスマスイブ 16:00~17:00」
12月24日 16:00~17:00
12月24日。クリスマスイブ。
夕暮れ時の16時。
佐伯涼太
ヒュー……。
これってもしかして……。
一本の線で繋がっちゃうんじゃないの……。
天野勇二
一本の線?
何のことだ?
佐伯涼太
いやね、実は僕も『爆弾』のことで、お台場に来てたんだよ。
天野勇二
何だと? お前も?
佐伯涼太
うん。僕の場合はお台場全体じゃなくて、前島さんを狙ってる、っていう噂を掴んじゃってさ。
天野勇二
……何だと?
おい、それ詳しく聞かせろ。
天野の声がより一層真剣になる。
涼太は生唾を飲み込みながら言葉を続けた。
佐伯涼太
11月頃から、渋谷のクラブに『爆弾を作ってる』と吹聴してる男がいる……って噂になってたんだよ。
このご時世だから怖いねって、結構評判だったんだよね。
天野勇二
そいつが今回のイベントで仕掛けてくる、と言うのか?
なぜそんなことがわかる?
佐伯涼太
いや、そこまではわからない。
でもさ、何か気になってね。
こっそり調べてたんだ。
天野勇二
なぜ俺様に言わなかった?
涼太は乾いた笑い声をあげた。
佐伯涼太
うぷぷ。
そんなの勇二が信じるワケないじゃん。
もし前島さんに『爆破予告』でも送りつけられれば、頼れる『お師匠様』に依頼するだろうしね。
天野は低い声で唸った。
確かに「爆弾魔がいる」という噂程度で動かなかっただろう。
涼太に「噂が真実たり得る確証を見つけてこい」と命じたはずだ。
頼れる相棒はそこまで計算しているのだ。
佐伯涼太
それでようやく、噂の『爆弾魔』に接触した女の子を捕まえたんだ。
噂の男は電子工学の専門家で、自称アーティストで、インテリ風味のイケメンで、手が綺麗で指も長くて、クリスマスと前島さんが大嫌い。
そして名前は 『ヤマサキ』っていうらしいんだよ。
天野勇二
なんだと……!
天野は肉食獣のような唸り声をあげた。
天野勇二
桃香が見た男も、前島を狙うようなことを言っていたらしい。
佐伯涼太
うげぇ、マジで?
しかもその人、イルミネーションの総責任者なんでしょ?
天野勇二
電子工学のプロ、とも呼べるな。
佐伯涼太
しかもアートデザイナーってことは。
天野勇二
アーティストを名乗ってもおかしくあるまい。
佐伯涼太
クリスマスと前島さんが大嫌いなら。
天野勇二
今宵のお台場は、爆弾を仕掛ける絶好の機会になるだろう。
涼太は「ひぃぃ」と叫んだ。
佐伯涼太
それ、もうほとんどビンゴじゃん!
冗談じゃないよ!
ヤマサキはお台場のイルミネーションを前島さんごと爆破させる、ってこと!?
……あっ、いけね。
涼太は慌てて口元を押さえた。
周囲にいた観光客が、この物騒なご時世に「爆破させる」なんて危険なワードを叫ぶとは何事か、と言いたげな瞳で涼太を見ている。
佐伯涼太
も、桃香ちゃん、こっち来て!
天野桃香
うわっ!
涼太兄ちゃん待ってよ!
桃香の手を無理やり引っ張りながら、涼太は叫んだ。
佐伯涼太
勇二!
爆弾を見つけるなんて無理だよ!
『シンボルプロムナード』は西から東まで約2kmある遊歩道公園なんだ!
ステージもあるし、人は多すぎるし、通行規制されていて立ち入り禁止になってる場所もある!
関係者しか入れない箇所に仕掛けられたらお手上げだ!
僕らじゃ爆弾を見つけられない!
天野勇二
そんなことわかってる。
だが、それしか手段がないんだ。
天野は苛立ちながら言った。
天野勇二
警察はアテにならない。
ステージに侵入して山崎を見つけることも困難。
そもそも近づくことさえ出来やしない。
涼太は青ざめながらステージと人の群れを見つめた。
今やお台場には、1万人を越える人々が集まっている。
まだまだもっと増えるだろう。
そもそも、『シンボルプロムナード』とはそれほど広い場所ではないのだ。
佐伯涼太
前島さんは!?
前島さんに電話してみようよ!
天野勇二
もう電話した。
出やしないんだ。
それも無理はないさ。
ステージを見ろよ。
涼太は彼方にあるステージ、そして時計を見つめた。
間もなく17時になろうとしている。
佐伯涼太
生放送か!
もう歌番組が始まるんだ!
これじゃ、前島さんは捕まるワケない!
天野勇二
マネージャーの川口も捕まらない。
俺様がTKプロのSPといっても、さすがに歌番組の舞台裏には入れない。
揉め事を起こせば、警察に連行されるのは俺様だよ。
涼太の顔がどんどん青くなる。
佐伯涼太
まずいじゃん……。
ど、どうしよう!
天才クソ野郎の作戦は何かないの!?
灰色の脳細胞をブンブン回して何か閃いてよ!
それにここまでの話をまとめると、山崎はお台場全体を狙うんじゃなくて、前島さんをピンポイントで狙う可能性が高いじゃん!
天野はしばし黙った後、重い口を開いた。
天野勇二
……実はもうひとつ、最高に厄介なことがあるんだ。
涼太の背筋は凍った。
これだけでも絶体絶命の状況なのに、このクソ野郎はもう一段階先がある、と言っている。
佐伯涼太
な、な、な、なにが、あるの……?
天野勇二
俺様の『最愛の妹』が見つからない。
迷子になってやがる。
どこにもいない。
涼太は「うひゃぁ」と叫び声をあげた。
天野が最愛する妹。
桃香の下にいる、末っ子。
佐伯涼太
胡桃ちゃん!?
なんで胡桃ちゃんがいないの!?
天野勇二
知らねぇよ。
あいつ、待ち合わせの場所に来なかったんだ。
佐伯涼太
ま、ま、ままままさか勇二……。
爆弾というより、胡桃ちゃんを探してるの!?
天野は即答した。
天野勇二
当たり前だろう。
胡桃を連れてこの場から離れる。それが最適解だ。
佐伯涼太
そりゃ、そうだけどさ……!
涼太は震えながら時計を見つめた。
もう17時になる。
生放送が始まってしまう。
このままでは、前島もお台場も爆破されてしまう。
涼太は頭をかきむしりながら叫んだ。
佐伯涼太
最悪ッ!!!
最悪すぎる!!
今年のクリスマスはもう中止にしようよぉぉぉ!!!
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